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天使の気持ち1



あれは、いつからだったか。
気がつくと、ある人を好きになっていた。
好きになった気持ちは本当だ。
真実の愛だ。
たとえ、それが俺と同じ男性であっても。



彼と初めて会ったのは、いつだったのか定かではない。
だって気がつくと俺は彼の傍にいるようになっていた。
俺が新しく教えることになった子供たちのアカデミーの担任の先生だったのだ、彼は。
いつも笑顔で、それでいて心配そうにして子供たちの様子を時折り、見に来ていた。
子供たちは彼が来ると非常に喜んで、また非常に懐いていた。
彼も子供たちを非常に可愛がっていて笑顔で、一人一人、丁寧に優しく頭を撫でたりしていて。
その笑顔に俺は、とても惹きつけられた。
彼の名はイルカ先生という。



そういう風に、いつの間にか俺の心に、するりと入り込んできたイルカ先生は礼儀正しく親切で大らかな性格で、お人好しな一面も持っていた。
あと、時々、すごく頑固になる。
自分を曲げない。
そういうところにも俺は好感を持った。
だが後々に、それは災いをもたらした。



中忍試験という公の場で俺とイルカ先生は大々的に口論をしてしまったのだ。
まあ、意見の食い違いから起こったもので、こればっかりは、しょうがないと言えば、しょうがない。
お互いに一歩も引かず、大喧嘩みたくなってしまった。
今、思えば自分でも大人気ないと思う行動だけども、日頃、温厚なイルカ先生が怒っているところを初めて見たので、俺もついね〜。
ほら、なんていうか好きな子を怒らせちゃうっていうか・・・。
自分の意見を述べながら、イルカ先生がもっと怒ったらどうなるんだろう?という好奇心も押さえられず。
結果、俺とイルカ先生の仲には深い亀裂が入ってしまった。



一応、大人としての対面上、謝ったものの・・・。
中忍試験後、イルカ先生は俺の傍からいなくなってしまったのだ。
あんなに仲良かったのに。
少なくとも俺は仲が良かったつもりなのに。
そこに俺にとっては恋愛の延長線上の好意が含まれるものはあったけど、まだ告白もしていない状態だしイルカ先生が俺の気持ちを知っているはずはない。
だから少なくとも、それが理由で避けられている訳じゃない。
そう、イルカ先生にとって中忍試験の俺との口論は悔恨となって残ってしまったのだった。



このままじゃ、俺とイルカ先生の関係が希薄になり消滅してしまう。
危機を感じた俺は焦った。
真面目なイルカ先生のことだから、きっと俺に、特に上忍の俺と口論になったということがネックになっていると察した。
礼を失した態度だったと心の底から思っているに違いない。
それは、お互いさまなのになあ〜。
違うと思ったら意見を言うのは当たり前だと思うし、俺とイルカ先生は立場も違うのだから尚更だ。
なのになあ、と俺は心中、溜め息をついた。
唯一、会える受付所で足繁くイルカ先生のところに通っていたのだが、いつ行ってもイルカ先生は難しい顔をしている。
笑っているところを一度も見ることはできなかった。
せめて俺のいない所で笑っているかと思って、その笑顔を一目見たいと陰から、そっとイルカ先生と見守り続けていたのだけど。
いつ見てもイルカ先生は眉間に深い皺を寄せて固い表情をしていた。



楽しそうにすることはなく。
笑うでもなく。
イルカ先生は、ただただ辛そうにしているだけに俺は思えた。
そんなに思いつめなくてもいいのに。
もう一回笑ってほしい。
どうしたらイルカ先生は笑ってくれるのか・・・。
考えたがいい案は思いつかない。
任務の合い間や休憩時間を縫って、とにかく俺はイルカ先生を見守ることしか出来なかった。



そうして見守り続けた結果。
イルカ先生が階段から落ちそうになる場面に、偶然にも遭遇した。
イルカ先生が階段から落ちそうになる時、俺に向かって「天使」だと言った意味は解らなかったが・・・。
何とか話す切っ掛けを作ることに俺は成功して、話をイルカ先生に切り出した。
「・・・イルカ先生に話が。」
あるんです、と言いかけたのだが。 イルカ先生は俺の話を最後まで聞かず「急用が!」と叫び、身を翻して俺の前から去って行ってしまった。



「ああ・・・。」
イルカ先生〜。
手を空に伸ばしてみたが空しいだけだった。
なんていうか俺は伸ばした手を、じっと見る。
階段から落ちそうになったイルカ先生の体を支え、抱きしめた時に、もしかして。
それは役得で久しぶりのイルカ先生との接触で胸が高鳴ったのだが・・・。
俺の邪まな・・・じゃなくて好意以上の純粋な好意が抱きしめた時にイルカ先生に伝わってしまったのかと懸念したのだった。




災い天使 7
天使の気持ち 2





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