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どうにか里に帰ってきたものの、イルカ先生に会いにいけず。
そのまま、次の任務を入れて里を出た。
本当は会いに行きたかったけど。
そうすると、多分俺は記憶が戻ったのを誤魔化せない。
記憶が戻ったのが知れると、その先に待っているのは最悪なことしかないように思う。
イルカ先生のことを思えば、早く言ってあげたほうがいいのだろうけど。
早く俺から開放してあげた方がいいんだろうけど。
俺は自分の都合を優先して、嫌なことから目を背けた。
イルカ先生を自分のものにしておくために。





そんなことが一週間も続けて。
五代目に不審がられた。
「カカシ、お前どうしたんだい?最近、随分と任務熱心じゃないか?」
「ええ、まあ。」
言葉を濁す。
「そんなのどうでもいいじゃないですか?任務を数多くこなした方がいいでしょ。」
五代目は俺をジロジロと遠慮なく見た。
「早く任務をくださいよ。五代目。」
ぴくりと五代目の片眉が跳ね上がった。
「カカシ、お前。」
検分するように俺を観察する。
「お前、記憶が戻ったね。」

一瞬、俺は半歩後ろに引いてしまった。
失敗だ。
記憶が戻ったのを誰にも悟られないようにしていたのに。
「戻っていませんよ。」
白々しく惚けてみせた。
「しらばっくれても無駄だよ。記憶が無い時は、ずっと私のことを火影さまって呼んでいたじゃないか?急に五代目なんておかしいだろ。」
五代目に詰めよられて逃げられない、と感じた。
もう誤魔化せない。
「白状しな、カカシ。」
きつく五代目に睨まれて。
俺は本当のことを言ってしまった。



「実は一週間前に戻っていました。」
ああ、もうイルカ先生にばれてしまう。
もう一緒にいられないんだ。
五代目は俺の告白に深々と溜め息を付いて。
「そうか、イルカの勘は当たったな。」と呟いた。

「イルカってイルカ先生が、どうしたんです?」
「イルカはな。」
五代目が咎めるような視線を俺に向ける。
「任務が終わったら、どんなに忙しくても必ず会いに来てくれた恋人が急に会いに来てくれなくなった。理由を考えてみたが、多分記憶が戻ったのではないかと言っていたんだ。」
イルカ先生がそんなことを。
「突然の心変わりの理由はそれくらいしか思いつかない、カカシの記憶が戻って実は自分達が恋人の関係ではなかったから会いに来なくなったんじゃないか、と悩んでいた。」
まさに、その通りなのだが。
いや、会いに行かないんじゃなくて行けないんだ。
「だから、イルカはな、カカシ。」
そこで五代目は俺に問うように言った。
「自分の記憶も戻すことが本当にできないか、改めてもう一度検査してほしいと言って来たのだ。」
ふうと五代目は溜め息をついて。
「だから、要望どおりに再検査してみたよ。詳しくいろいろと検査した。だが。」
視線が遠くを見る。
「前の検査では分からなかったが、脳に小さな僅かな損傷があるのが見つかった、記憶を司る部分に。」
どういうことか分かるか、カカシ、と聞かれる。
俺は目を見開いて動けない。
だって、それは。



「残念だが、イルカの記憶はもう戻らない。カカシとは違うケースで記憶を喪失したんだ。カカシの場合は強く、頭を打ったショックで起こった一過性の記憶喪失だった。」



もう治ってはいるが、確かにイルカ先生の頭の傷は深かった。
でも五代目が治療したから大丈夫だって、イルカ先生が言っていたから安心していたのに。
でも・・・脳の損傷は五代目でも治せない、か。
「イルカ先生は・・・。」
喉がからからに渇いて、声が出にくい。
「イルカ先生は、そのことを・・・。」
「教えたよ、隠していたってしょうがないからね。」
五代目はぴしゃりと言った。
「あの子は冷静に、それを受け止めていた。そして次の日に私のところに来て、こう言った。」
「な、なんて?」
声が震えた。



「『直ぐにでも暫く里を離れたい、自分が里にいなくなればカカシさんも里に帰って来やすいから。』ってね。」
帰って来やすいって、イルカ先生のいない里になんて帰って来たくない。
「私は、二人で会って話し合うことを勧めたがね。」
ちらりと俺を見て。
「イルカは『カカシさんが自分に会いに来ないのが答えだ。』と言っていた。」
がくりと俺は床に膝をついた。



なんてことだ、なんてことだ。
「イルカ先生・・・。」
ここにはいない人の名を呼んだ。
「ごめん。」
ごめんね、イルカ先生。
辛い思いをさせて、辛いことを言わせて。






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