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記憶がなくなっても、一応、俺は忍びとしては使い物になった。
体が忍びの業を覚えていたので、口で教えてもらえれば直ぐに何とかなったしね。
周りの人間も、俺が記憶が無いというのに普通に接してくれていた。
病院に迎えに来た男、アスマと云うのだが、そいつは「記憶があってもなくても、ちっとも変わらねえなあ。」と褒めているのか何なのか失礼なことを言う。
長い黒髪の紅という、くの一は「違和感無いわね。本当に記憶喪失なの?」と云う始末。
俺って記憶があってもなくてもたいして変わらないんだなあ。
イルカのほうは、記憶が無くても、やはり教えられれば、すぐに対応できるようになり火影さまに重宝がられている。
イルカは事務仕事が得意なようだ。
記憶が無くても、イルカと一緒に過ごせる事が本当に嬉しくて。
毎日、楽しくて仕方が無い。
俺の過去を何人から聞いた。
思い出せないけどさ。
俺はこう思う。

記憶があった頃の俺にも、記憶があった頃の俺に関わり持った人たちにも。
俺は今、幸せだから心配しないでって。
思い出せなくてごめん、でも体のどこかに記憶が沈んでいるだけだから。

いつか、思い出すかもしれない。
それまで待っていてって。
イルカに時々そういうことを話した。
イルカは頷いて「俺も同じです。」と微笑んでくれる。
それだけで幸せだった。

ただ、一つ気がかりなことが。
木の葉の里の最高峰の医者、火影さまの治療を受けているというのに。
イルカの頭の傷の治りが予想以上に遅くて、それだけが心配だった。






しかし、災いは忘れた頃にやってくる。
もとい、災いではないが。
この場合、天罰と云うのか。
俺の記憶が、ひょんなことから戻ってしまったのだ。
ものすごく詰まらないことで。
それは、任務に出て敵からのクナイを避けようとして、偶々、木の上にいた俺が足を滑らし地面に頭から落ちて。
その拍子に戻ったのだ。

総てが。
崖から落ちたイルカ先生を助けた日から今日までのことが。
次々に蘇る記憶の数々。






記憶が無かった時の記憶も当然残っている。
なんてことだ。
戦闘中だというのに、俺は真っ青になって体が震えてきた。
今の幸せは嘘の上に成り立っていたなんて。
いや、自分が招いたことだ。
自分が全部悪いんだ。
敵が襲い掛かってきたけど、こんなことしているやってる場合じゃない。
敵を一瞬で蹴散らした俺は、任務が終了したので里へと急いだ。

イルカ先生に会わないと。
「イルカ先生に会って・・・・・・。」
ふと足が止まった。
会って、どうするんだ。

嘘を付いていました、ごめんなさいとか言うのか。
恋人だったなんて嘘でした、と。
俺達、本当は恋人じゃなかったんです、と。
じゃあ、今の関係はどうしたらいい?
だってイルカ先生のことは本当に好きだ。

好きだから、嘘をついた。
好きなのに、嘘をついた。

なんていえば解ってもらえるだろう。
許してくれるだろう。






でも、解ってもらえないかもしれない。
騙したことで作った恋人関係なんて。



罪悪感の中で最悪なことが思い浮かんだ。
別れないといけないかもしれない。
離れないといけないかもしれない。



イルカ先生の傍にいられない。



そんなことは、死よりも辛い。



どうしたらいい、どうしたら?



胸が変な風にドキドキしてきた。
生きてきて、こんな目に陥るなんて思ってもみなかった。
途方に暮れた俺は。
空を見上げて目を閉じた。






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