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うちの子どんな子かわいい子、おれのあの子はかわいい子30




どきどきする心臓が収まってくると更に気を落ち着かせるために冷蔵庫を開けて冷えたジュースで、からからになっていた喉を潤す。
乱れていた気持ちも、だいぶ静かになってきた。
混乱していた頭の中も今は考えないことで治まってきていた。
浴衣を脱ぎ捨てたイルカはそれを洗濯機に放り込み、自分の服に着替える。
寝ようと思ったがカカシの傍に行くのが躊躇われ、興奮気味でもあるので眠れそうにない。
結局、イルカは現実逃避したのだった。
現実逃避といっても朝までテレビの前に座り、父親の形見のビデオを見ていたのだ。
怖さを怖さで打ち消す。
一番、怖いと思われるホラービデオを見ながら、イルカはカカシがしたことについて考えるのを無意識にストップさせていた。
カカシが怖い。
そんな思いを打ち消したかったし、忘れたかった。
だが、上手くはいかなかった。



朝まで徹夜してしまったイルカであるが、徹夜しても任務はある。
目を覚ますためにもイルカは熱いシャワーを浴びることにした。
昨夜は風呂に入りそびれてしまったし、せめて、体だけでもすっきりさせて任務に行きたい。
傍らのカカシに目を向けると、カカシは穏やかな顔で眠っている。
カカシを起こさぬようにイルカは、そっと風呂場へと行った。
シャワーを浴びて、すっきりしたイルカだったが、洗面所の鏡に映る自分を見て思わず声を上げていた。
「・・・これ、なんだ?」



イルカの首筋や鎖骨のあたりに、点々と赤黒い痣のようなものが無数ついていた。
昨日まではなかったのに。
それは勿論、昨日のカカシの行為からなるキスマークだったのだがイルカは、キスマークという言葉を聞いたことはあっても見たことはない。
だから解らなかった、キスマークだとは。
「・・・病気かな?」
しかし体は、いたって健康である。
痛いところもないし、怪我でもなさそうだった。
「もしかして・・・。」
イルカは、はっとなった。
血の気が下がる。
「これって、呪い!」



呪いのことは、ずっと頭の隅から忘れたことはなかった。
月日が過ぎれば忘れるかと思いきや、イルカはそうではなく逆に強く心に残ってしまっていた。
だから、なんとなく呪いに関する本を読んだり、忍術ではないが解く方法はないかとか調べたりしていたのだ。
しかし、何の手がかりも見つからなかった。
「呪いが発動したってことなのかな・・・。」
ぽつり、とイルカは一人呟いた。
「・・・死ぬのかな、俺。」





シャワーが終わり忍服を身につける。
朝食を食べる気分ではなかったイルカは冷蔵庫から牛乳を取り出した。
気は進まないが、牛乳くらいは飲んでいこうと思ったのだ。
その時、後ろから声がした。
「うー、頭が痛い〜。」
カカシの声だった。
どうやら目が覚めたらしい。
気持ち悪い〜とか、吐き気がする〜とか言って呻いている。
おそらく二日酔いだろう。



牛乳をコップに注いでいたイルカはカカシの声に動揺して、牛乳を溢してしまった。
治まっていた心臓が再び激しく動き出し、どきどきと音を立てる。
手が震え、上手くコップに牛乳が入らない。
やっとのことでコップに注いだ牛乳を一口、飲んだとこでカカシが普通にイルカに声を掛けてきた。
「おはよう、イルカ。」
声は、いつものカカシだ。
「・・・お、はようございます。」
振り向かずイルカは、声が震えないように、と願いながら朝の挨拶を返す。



「・・・イルカ、俺、すっごい喉が渇いていて。何か飲み物貰えないかな?」
カカシは酒を飲んだ所為で喉が渇いているらしい。
「・・・あ、はい。」
イルカは飲んでいた牛乳を、そのままカカシの元へ持っていった。
「これでいい?」
「うん、ありがと。」
コップに手を伸ばしてきたカカシと指先が触れた。
それに驚き、弾みでイルカはコップを落としてしまったのだが、上手いことカカシはコップをキャッチしてくれて牛乳が零れることはなかった。
「イルカ?」
カカシが訝しげにイルカを見る。
「・・・どうしたの?」



イルカの様子が、どこかおかしいことにカカシは気がついたらしい。
「具合でも悪い?」
心配そうにイルカの額に手を当ててこようとするのを、咄嗟にイルカは避けてしまった。
「・・・だ、大丈夫です。」
「でも。」
「そ、それより俺、任務に行かないと・・・。」
「そう・・・。」
カカシはイルカが気掛かりなようだ。
額宛をつけたりベストを着たりと、任務へ行く準備をするイルカを見ながらカカシは牛乳を飲んだ。
「あれ?」
カカシが声を上げた。
「これ、砂糖が入ってないね。」
「えっ、そう?」
「前は、すごく甘かったのに。いつの間に砂糖なしで牛乳を飲めるようになったの?」
訊かれたが、そんなことカカシに訊かれるまで動揺の余り忘れていた。
平静を保っていたつもりだったが、そうではなかったらしい。
どう返事すればいいか、とイルカが焦って考えているとカカシが別のことを訊いてきた。



「昨日さ・・・。」
「えっ、昨日!」
「俺、酔っぱらっちゃったみたいで神社の境内でビールを飲み終わったところから記憶がないんだよね・・・。」
「そ、そう。」
「酔っ払ったんだよね、俺。イルカが俺のこと家まで連れてきてくれたの?」
「うん、そうです。」
「そっか。」
カカシはベッドの中から頭を下げてきた。
「ごめんね、迷惑掛けて。」
「・・・迷惑だなんて。」
「他には俺、何か困ったこととかしなかった?」
「・・・・・・何も。」



会話の流れでカカシは何気なく訊いてきたのだろう。
しかし、何があったか話す勇気はイルカにはなかった。
話せるほど冷静になっていない。
今だってカカシの顔が、まともに見れなかった。
目を逸らしながら会話をしている。
「あの、じゃあ・・・。」
イルカは玄関に急いだ。
「俺、任務に行くから。」
「あ、うん。行ってらっしゃい。」
行って来ます、と言おうとしたのだがカカシに遮られた。
「イルカ、首に絆創膏が貼ってあるけど・・・。怪我したの?」



首回りに不自然に貼ってある、たくさんの絆創膏をカカシは、ちゃんと見ていた。
「うん、昨日、転んだ時に怪我したみたい。」
カカシの顔も見ず、早口で答えるとイルカは「行って来ます。」と家を飛び出した。
これ以上、カカシといるのが、どうにも辛い。
辛いというより怖いのか・・・。
カカシは安心できる人なのに、一緒にいると胸が苦しくなる。




そうしてカカシのことを一日中考えていたイルカが家に帰ると、そこにカカシの姿はなかった。
机の上に置手紙があり、任務で暫く帰れないとある。
その事実にイルカは、ほっとしてしまった。
ほっとしてしまったことに悲しくなりながら。
カカシがいないことで安心してしまった自分に悲しい気持ちになったのだった。





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