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うちの子どんな子かわいい子、おれのあの子はかわいい子26



祭りに行くと約束した日。
早めに終わった任務からイルカが大急ぎで家に帰ってくるとカカシが、にこにこして待っていた。
なにやら、見慣れないものを手にして。
「それ、なあに?」
カカシの手に持っているものを指差すとカカシが、それを広げて見せた。
「浴衣だよ、イルカの。」



それは白い生地に、ぴょんぴょんと跳ねる兎と三日月が描かれた可愛らしい模様の浴衣だった。
「これ、俺の?」
「そうだよ。」
にこやかにカカシが笑う。
「ちょっと遅いけど、中忍試験の合格のお祝い。下駄も買ってきたから、今日はこれ着てお祭りに行こうよ。」
カカシの心遣いにイルカは心底、嬉しそうな顔になる。
「すごい!浴衣だなんて、本当のお祭りみたいだね!」
「本当のお祭りでしょ。」
言いながらカカシはイルカを手招きした。
「おいで、着付けしてあげるから。」



カカシは浴衣の着付けまで出来るのか、とイルカは感心してしまう。
カカシさんて、何でも出来るんだなあ、と尊敬の眼差しになる。
・・・といってもカカシは浴衣を買う際に着付けのレクチャーを店員にしてもらい、それを写輪眼でコピーしてイルカに浴衣を着せているのだが、勿論、イルカはそんなこと露ほども知らない。
ぱぱっとカカシは浴衣をイルカに着せた。
「はい、お終い。」
最後に帯を、きゅっと締めてイルカの着付けは終わった。



浴衣を着たイルカが、くるりとカカシの前で一回転する。
「似合う?」とカカシに訊いてきた。
「似合う似合う。」
カカシは目を細めた。
「俺の見立ては完璧だね。」と自分を褒めている。
「でも。」
イルカは、ちょっと残念そうにカカシを見た。
「カカシさんは浴衣、着ないの?」
「え?」
「どうせなら、一緒に着たかったな〜。お揃いのとか・・・。」
せっかくのお祭りなのに、とイルカは口を尖らせている。



「まあ、俺はねえ。」
苦笑いをしたカカシはイルカの頭を撫でた。
「次の機会にでも着るよ。」
「じゃあ、その時、お揃いの着ようね。」
「分かった。」
約束と指切りをする。
嬉しい約束ができた、とイルカは素直に喜んだ。



そしてカカシは嬉しいことを、もう一つ約束してくれた。
「今日は中忍試験の合格祝いだから、俺が全部、欲しいもの買ってあげるよ。」
「ほんと?」
きらり、とイルカの目が輝く。
お祭りに行けば色んな魅力的な屋台が出ていて欲しいものが、たくさんあるのは間違いない。
あれも欲しい、これも欲しいとイルカは頭の中に様々なものを思い浮かべる。
それは主に甘くて冷たい食べ物だったが。
「なんでも?」と訊くと「なんでも。」とカカシは頷く。
なんでも、ということは本当に何でもいいのだ。
イルカの胸は躍ったのだった。



神社に行く道すがらイルカはカカシに何気なく訊いた。
「カカシさんさ〜。」
イルカの下駄が、カランコロン、と気持ちよく音を立てる。
「浴衣とか下駄とか・・・。よく俺のサイズが分かったね。」
不思議そうにしている。
「そりゃあね〜。」
カカシは何故か眉を顰めた。
「一緒にいれば、それくらい判るよ。・・・普段から、熱心に見ていれば。」
「そういうもんなの?」
「そういうもんです。」
「ふーん。」



イルカは判ったような判ってないような顔をしている。
大人の話って難しい、と思っていた。
その時、どてっと音がしてイルカが、素っ転んだ。
見事に。
転んだ拍子に脱げた下駄が、どこかに吹っ飛んでいく。
「イルカ、大丈夫?」
カカシは、ささっと下駄を拾ってイルカを抱き起こした。
実は、家を出てからイルカは履きなれない下駄で何回も転んでいるのだ。
膝小僧が擦り切れて、少し血が出ている。



イルカの浴衣の汚れを払いながらカカシはイルカに下駄を履かせてやった。
片足立ちさせたイルカに、しゃがんだカカシの肩に掴まるように指示する。
素足になったイルカの足首は細さばかりが目立っていた。
足の汚れも丁寧に払い優しい手つきで、その足に下駄を履かせるとカカシはイルカに向き直った。
「転んでばかりだけど平気?」
「・・・うん。」
下駄で歩くのはイルカにとって難儀らしい。
歩く速度も遅い。
ちょっと失敗したかな、とカカシは密かに後悔した。
足も痛そうだし、いざとなったらイルカを負んぶして帰るかと思ったりする。



それでもイルカの速度の合わせて、ゆっくりと歩き、徐々に同じ方向に向かう人が増えてくることで神社が近いのが知れた。
神社に着くと境内は溢れんばかりの人で、ごった返していた。
人ごみって危険じゃないのか、もしかして・・・。
人が多くなったことで、ある不安に抱きカカシは後ろを振り返った。
「イルカ、迷子になるから手を繋ごう・・・。」
・・・と、そこにはイルカの姿は既になかった。
たった今までカカシの後ろにいたはずなのに。
ほんのちょっとだけ目を放した隙にイルカはいなくなってしまったのだ。
「迷子になるの早っ。」
お約束の展開に、もっと早くイルカと手を繋いでおけばよかった、とカカシは激しく悔やんだのだった。





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