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うちの子どんな子かわいい子、おれのあの子はかわいい子21



任務に向かう途中、移動で里の中を通った。
里中は、いつも人で溢れている。
イルカは中忍の仲間、所謂、スリーマンセルを組んでいる仲間と歩いていた。
中忍・・・。
そんな言葉にイルカは感慨深くなる。
十六歳になって、中忍試験を受験し合格して晴れて中忍になれた。
そのことは、とても嬉しく、今は亡き両親に真っ先に報告した。
それと、もう一人・・・。
中忍になったことを報告したい人がイルカにはいた。



イルカの脳裏から常に、その面影が離れない人。
カカシさん、どうしているのかなあ。
時々、空を見上げてカカシの安否に思いを馳せる。
この空の下のどこかで生きているのかなあ・・・。
無事でいてくれたら、といつも願っていた。





カカシとは暗部に食料を届けに行った先で知り合って、偶然にも暗部だったカカシの素顔を見てしまい里に帰ってきてから、これまた偶然に出会ってしまった。
その時にはカカシは暗部の仕事を離れていたのか、通常の忍服を着ていた。
つまりカカシは暗部の人間であったのだ。
カカシが暗部の面を外したときに、カカシの素顔をイルカは見てしまったから通常の忍服のカカシも判った訳なのだが・・・。
暗部のカカシは言っていた、『暗部の面の下を見たものには呪われる』と。
それは恐ろしくもあり、どうしたら呪いが解けるのかと散々、考えたのだがカカシが成り行きでイルカの家に来て一緒に過ごすようになると、イルカの気持ちに変化が生まれた。
カカシさんて、すごく良い人だなあ。
そう思うと呪いのことはイルカの記憶から、だんだんと薄れていった。
呪いのことなんて、どうでもいいような気分になっていったのだ。



だって、イルカの家に誰かが来るなんて初めてことだったし、ましてや両親が亡くなってから一人きりであったので誰かと一緒に家の中で過ごすことができるなんて、途轍もなく嬉しかったのだ。
その嬉しさの前に呪いは霞んでしまった。
カカシはイルカのことだけを気にしてくれて、イルカのことだけを見てくれる。
カカシといると、両親と一緒にいるような安心感をイルカは感じた。
一緒にいる時間が、とても楽しかったのだ。


だが、その楽しい時間も終わりの時が訪れる。
それはイルカも重々承知していた。
イルカは口には出さなかったけれどもカカシは暗部の人間だ。
カカシは自分の家の場所も教えてくれなかったし本名も名乗らなかった。
暗部の仕事が、どんなものかイルカは具体的には判らなかったけれど、とても大変な使命や任務を背負っているというのは下忍ながらに感じていた。
カカシの邪魔をしてはいけない。
心に強く、そう思った。
別れがあることは最初から解っていたのだから。



だから、カカシから『一人で何でも出来るよね?』と言われた時に直ぐに、ぴんと来た。
それは亡き両親がイルカに言った最後の言葉と似ていたから。
『イルカ、一人で大丈夫ね・・・』とイルカの母親は泣きそうな顔で笑って、イルカを強く抱きしめてから家を出て行って二度と帰ってこなかった。
その時、イルカは両親を心配させまいと一生懸命に言った。
『一人でも大丈夫だよ!』
その言葉を同じ事をカカシにも言ったのだ。
言った後、すごく悲しくなって、悲しい顔を見られまいと風呂場に逃げ込んだ。
風呂場で一人になって、気持ちを落ち着けカカシが家を出て行くまで、何とか己を保っていたのだが。



カカシが去ってしまった朝、一人、部屋に残されたイルカはカカシがいなくなってしまった喪失感に呆然としていた。
これが別れというものなのか・・・。
もしかすると、もうカカシとは会えないかもしれない。
感傷的な気持ちで胸が、いっぱいになった。
そんな気持ちを抱えて修行に行くと、その日は有り得ないミスを連発して、挙句の果てに足を滑らせて木から落ちてしまった。
怪我なんかして、散々な一日だった。



一日中、そんな気持ちを引きずって家に帰ってくると、何故か家に前にカカシがいた。
もう、いないはずなのに。
夢でも見ているのか、と呆気にとられているとカカシが近寄ってきてイルカを抱き上げた。
いつものように軽々と、あったかくて大きい手で。
心配そうな目でイルカを見て、優しい声でイルカの怪我を心配してくれた。
そして怪我したイルカを労わる様に、大きな胸に中にイルカを抱きしめてくれたのだ。
カカシの体温に包まれると本当に安心して、我慢していたのものが堰を切って溢れてしまった。



決して言わないと決めていた言葉を言ってしまったのだ。
『行っちゃ嫌だ。』と。
でも、そんなことを言ってもカカシは怒らなかった。
とても辛そうな顔をしてイルカに『ごめんね。』と言ってきたのだ。
それから内緒話でもするようにイルカの耳元で囁いた。
『イルカに俺のこと、待っていてほしい』と・・・。
そしたら次は、ずっと一緒にいるよ、と約束してくれた。
その言葉は、イルカの心の奥底深く残った。
イルカはカカシが帰ってくるのを待とうと決めたのだ。




そして、やっと、その日がやってきた。
里中を歩いていると人ごみの中で、背が高く頭が一つ抜きん出ている人物がイルカの前方にいるのが見えた。
あの特徴のある髪の色は彼の人に他ならない。
イルカは確信を持って、その人物に駆け寄った。
するとイルカの気配を感じたのか、その人物が振り向いた。
その顔は・・・。
「カカシさん!」
ずっとずっと待っていたカカシだった。
誰より会いたかったカカシだった。
カカシが広げた腕の中に迷うことなくイルカは飛び込んだのだった。





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