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うちの子どんな子かわいい子、おれのあの子はかわいい子18



任務とは勿論、暗部の里外での長期の任務に間違いなかった。
明日の早朝に集合せよと、時間と場所が記されていた。
「なんでだよ・・・。」
眉間に深く皺を寄せたカカシから不機嫌な声が出る。
「休暇って、あと一ヶ月はあるはずだろ。」
暗部の仕事は任務期間も休暇も確定されることはなく、臨機応変に対応しなければいけないのは解っているが・・・。
頭では解っているのだが、割り切れない。
「いっつもこうだ。」
馬鹿やろー、と誰ともなしに呟いてカカシは肩を落とした。



「・・・イルカに何て言おう。」
何て言えばイルカは納得してくれるだろうか。
納得してくれても、きっと悲しむに違いない。
そして任務のことを告げた時のイルカの気持ちを考えるとカカシの胸は詰まる。
ずっと一緒にいるって言ったのに。
イルカに嘘をついてしまった。
いや元から、ずっと一緒にいるなんて不可能だって解っていたけれど。
でも、イルカに言ってあげたかったのだ。
だって・・・。
そこまで考えてカカシは深い深い溜息を吐いた。



でもとか、だってとか言い訳したって現実は変わらない。
上からの任務の命令は絶対だし、逆らうことはできない。
ましては暗部に在籍している今、そんなことは以ての外だ。
それは自分が、よく解っている。
激しく心が乱れたが、自分が動揺していてはイルカを更に悲しませることになる。
カカシは、とりあえず落ち着くことにした。




夕方、イルカが任務を終えて帰ってきた。
「ただいま!」
元気よく言って家に入ってくる。
入ってくるというより、飛び込んできたという方が正しい。
手洗いや嗽を済ませたイルカは夕飯を作ってくれていたカカシの簡単な手伝いながら一日にあった出来事を話した。
どちらかというとカカシに纏わりつきながら話をして、ついでに手伝いをしていたといった方が正しいかもしれない。
「ねえねえ、カカシさん、それでね。その時に烏が鳴いてさ〜。」
おかしいでしょ〜と言うイルカはカカシが明日にはいなくなるとは、微塵も思ってないらしい。
「うん、そうだねえ。おかしいね。」」
相槌を打ちながら、カカシは明日、自分がいなくなったらイルカの話を聞く相手は誰もいなくなるのか、と思うと切なくなってしまった。
誰もいない暗い家に帰ってきて、たった一人で過ごすのか、と、そんなイルカを想像してしまう。



また一人きりでビデオを見てテレビの前で、そのまま寝てしまったり、食事も食べなくなるのかと考えると本当に心配だった。
「あのさあ。」とカカシは食事時に切り出してみた。
なるべく自然に。
「イルカは、もう一人で何でも出来るよね?」
そう訊いてみる。
するとイルカは箸を止めてカカシの方を見た。
真っ直ぐな視線を、こちらに向けてくる。
その瞳は不思議なほど澄んでいて何もかも見透かしてしまいそうな、そんな瞳であった。
それからイルカは一瞬だけ目を閉じた。



次に目を開けた時には、にっこりと笑って頷いていた。
「うん、もう何でも出来るよ、一人だって全然平気!」
「・・・・・・そう?」
「そうだよ!」
イルカは明るく笑う。
カカシの言葉に敏感に何かを察知したのかもしれない。
明るく振舞う様子にカカシの胸は痛んだ。
だが、言わなければならない。
「あのね、イルカ。突然で申し訳ないんだけど、俺、明日の朝には任務でいなくなるんだ・・・。」
「そうなんだ〜。」
「うん、それでね・・・。」
「じゃあ、カカシさんの荷物はどうするの?」
先手を打ってイルカが言いにくいことを訊いてきてくれる。



「うん、荷物はイルカが使うなら置いていこうかなって思っているんだけど。」
「使わないから、いらないよ。」
イルカは食事を再開させなら、あっさりと言った。
「置いていかれても困るよ。俺の部屋狭いし、人の持ち物壊したら大変だし。」
大人のように言う。
「そっか、そうだね。じゃあ、持って帰るよ。」
「うん、そうして。」
言ったイルカは、その日に限ってカカシより夕飯を早く食べ終わった。
今まで一度もカカシより早く食べ終わったことなんてなかったのに。
「ご馳走さま〜。」と手を合わせたイルカは食べ終えた皿を流しに運んで手早く洗うと、さっさと風呂に行ってしまった。
特に感情の起伏を見せたりせずに淡々としている。
「泣くかと思ったのに・・・。」
もしくは拗ねたり怒ったりするかとも思ったのだが、その全部とイルカは違った。
「こんなもんなのかな〜。」
肩透かしを食らったようなカカシであった。




夜、いつもどおりに一緒にベッドに入り眠る。
カカシの荷物は既にイルカの部屋からない。
イルカが風呂に入っている間に自分の家に運んでしまっていた。
分身や忍犬を使えば荷物を運ぶなどカカシにとっては容易いことだ。
隣で眠るイルカを見守りつつ、最後の夜だなあ、とカカシは感傷に耽っていた。
イルカとは不思議な縁で、こうなってしまったけれどイルカを過ごした日々は楽しかったなと思う。
でも、と寂しくなる。
今日のイルカはカカシに背を向けて手足を縮めて、小さく丸くなって眠っていた。
いつもはカカシの側に寄り添ってくるのに。
イルカの肩から落ちた布団を掛け、寝顔を見つめる。
幼い子供の寝顔だ。



寝ているイルカの肩を撫でて、布団から出ていた手を布団に戻そうと触れる。
するとカカシの手をイルカが、ぎゅっと握ってきた。
イルカは寝ている、確かに。
なのに、カカシの手を握ってくるのだ。
明日は早朝に集合なのでイルカには、イルカが寝ているうちに出て行くと言ってある。
その時も聞き分けよくイルカは頷いていた。
でも、本当は・・・。
ただ我慢していただけなのか、とカカシは今になって思い至りイルカに握られた手を、そっと握り返した。
そして小さな体を引き寄せて、優しく優しく抱きしめたのだった。





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