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うちの子どんな子かわいい子、おれのあの子はかわいい子14



イルカの部屋に重苦しい雰囲気が漂っている。
・・・と思っていたのはカカシだけのようでイルカは本棚からビデオテープを手に取ると明るく言った。
「ねえ、カカシさん、一緒にビデオ見ない?」
「ビデオ?これから?」
「うん、そう。」
楽しそうにイルカはビデオをビデオデッキにセットしてしまう。
テレビの下の見ない場所にビデオデッキは隠れていた。



「これさ、いっつも最後まで見れないんだよねえ。途中までしか見てないんだ。」
イルカはテキパキとビデオを再生するボタンを押す。
「ふーん。」
内容が怖すぎて最後まで見ることができないのだろうか?
「ねえ、イルカ。」
カカシはビデオのタイトルの気になっていた部分を聞いた。
「この十五禁とか十八禁とか書いてあるビデオは、もう見たの?」
「見てないよ。」
けろり、としてイルカは答える。
「その十五禁、十八禁ってやつは、その数字の年齢にならないと見ちゃ駄目だって、父ちゃんが言っていたから見てないよ。でも、十五禁のビデオは来年見れるから、ちょっと楽しみ。」
「・・・えっ!」
カカシは、その言葉に驚いた。



「イルカって十三歳じゃなかったけ?」
「ううん、もう十四歳。」
簡潔にイルカは説明する。
「だって、先々月くらいに誕生日きたもん。」
「・・・そっか。」
そういえば、イルカはあの時、十三歳で来月誕生日だと言っていたような気がする。
イルカは誕生日が来て十四歳になったのか、とカカシは感慨深く思った。
子供の成長は早いなあ、と。



そして関係ないことを頭の隅で密かに思う。
俺も、もうすぐ十八歳になるから、そしたら常々読みたいと思っていた、あの本が読めるなあ。
十八禁の本は今のカカシの年齢では読めない。
ちょっと、わくわくしてしまった。
「あ、カカシさん。」
イルカがカカシの気配を敏感に察知したらしく言ってきた。
「今、変なこと考えていたでしょう?」
「変なこと?」
「・・・やらしいこと。顔が、にやけているよ。」
的確に指摘される。
「あ、いや、これはね・・・。」
まさか、十八禁の本が読めるから嬉しく思っていたとはイルカには言えない。



カカシは、ごほんと口に手を当てて、尤もらしく咳払いをすると軽く話題を逸らした。
「ああ、ほらほら。ビデオが始まるんじゃないの?」
「あ、ほんとだ。」
慌ててイルカはテレビの前の掛け布団を引っ張ってくると、それで体を覆う。
目だけ出して、そっとテレビの画面を見ている。
「・・・いつも、そうやって見てるの?」
カカシが聞くとイルカは口を尖らす。
「だって怖いんだもん。」
「怖いのに見るの?」
面白がって更に聞くとイルカは頬を膨らませる。
「怖いけど見たくなるんです。えーと、いわゆる恐怖への探究心ってやつだって父ちゃんが言ってました。」
「あー、そうなの。」
くすくすと笑うカカシに対して、イルカは難しい顔で眉間に皺を寄せていた。



ビデオの内容は子供向けで、古びたお城に子供同士で肝試しに行くという、ありふれた話であった。
暗闇の中を探検するという、子供にとっては、ちょっとドキドキする内容のような気もしたが、カカシは途中で欠伸が出てしまいそうになるのを堪えてしまっていた。
こんなのよりも任務の方が何倍も凄いよね〜。
それを言っちゃあ、お終いだと思うので口には出さないが、そう思っていた。
だがイルカは違ったようでビデオが始まった途端に布団に包まった体をカカシに寄せてきて怖い場面では、お約束のように声を上げては、ぶるぶると震えている。
・・・こんなので、怖がっちゃって大丈夫かなあ。
カカシは少し心配にしてしまう。
任務では、もっと怖い目にたくさん遭うのに・・・。



ふと、気づくとイルカがカカシの手を、しっかりと握っていた。
小さい両手がカカシの片手を、ひしと離さぬように掴んでいる。
怖さの余りらしく、イルカも気がついていない。
・・・ホラービデオも悪くないかも。
思わぬ特典で、ほくそ笑んでしまう。
さり気なくイルカの手を握り返しながら、もっとイルカが怖がったらどうなるだろうと期待してしまったが、いつの間にかイルカの怖がる声も動きも止まっていた。
「イルカ?」
そっと呼びかけるが応えはない。
代わりに、すうすうと寝息が聞こえてきた。



イルカはカカシに寄りかかり手を握ったままで眠ってしまっていたのだ。
安らかな寝顔は幼く見える。
「あらら、可愛い顔して寝ちゃって、この子は。」
額に落ちた前髪を指で掬うとイルカが身動ぎした。
もっと寝心地のいい場所を無意識に探してカカシの方へと身を寄せてくる。
そしてカカシの腕の中に、ぽすんと倒れてきた。
暫く、腕の中のイルカの寝顔に見入ってしまったカカシだったが先ほどのイルカの言葉を思い出した。
『いっつも最後まで見れないんだよねえ。』とイルカは言っていたが、いつもこうしてビデオを見ながら眠ってしまっているので最後まで見れないのではないのだろうか?
両親の話も何でもないことのように話していたが・・・。
寂しさを怖さで紛らわしていたのだとしたら?
イルカの胸中を思うとカカシの胸は苦しくなる。
「無理しちゃって。」



溜息を吐いたカカシは眠ってしまったイルカを布団ごと抱き上げてベッドに運んだ。
そのままイルカを置いて帰ろうとしたのだが、イルカはカカシの手を握っていて離さない。
眠っているのにイルカはカカシの手を握っているのだ。
それがイルカの心の内を表しているような気がして、カカシは無理に手を離すのを潔く諦めた。
ベッドで寝ているイルカの横に体を横たえる。
どうせ、自分は休暇中で特に予定はない。
家に帰るのは、いつでもいい。
そう思ったカカシは横で眠っているイルカの寝息につられるように目を閉じて、いつしか眠っていたのだった。




朝日が眩しくてカカシは布団に潜り込んだ。
朝は好きじゃない、もっと寝ていたい。
いつも、そう思う。
今日の朝の気分は、すっきりとしていて熟睡した感じだけど、まだ起きたくない・・・。
昨日の夜は楽しかったのになあ。
・・・昨日の夜?
そこまで考えてカカシは、はっと目を開けた。
ついで身を起こすと、そこは昨夜、横になって寝てしまったイルカのベッドの上だった。
体から、はらりと落ちた掛け布団は昨日イルカが包まっていたものだ。



「イルカ?」
部屋を見渡すと既に身支度を終えたと思われるイルカがいた。
「あ、カカシさん。おはようございます。」
「・・・おはよう。」
朝風呂に入ったのかイルカの体からは石鹸の香りがする。
「今日、俺は任務なんで。」
「あ、そうなの。」
寝起きのカカシは頭が上手く回らない。
だから気がつくのが遅くなった。



イルカはガラスのコップにいれた色鮮やかな、一目でジュースと分かるものを朝から飲んでいた。
ジュースを飲み干したイルカはコップを流しに置く。
「じゃあ任務に行ってきますね。遠慮なく、ゆっくりしていってください。」
「あ、うん。」
「部屋の鍵は掛けないでいいですから。」
「うん。」
そこまで話してカカシは、やっと気がついた。
「イルカ、牛乳は?朝に飲むように言ったでしょ!パンも食べないと・・・。」
「えーとえーと、この次に!」
言うが早いがイルカは玄関に向かう。
そして下足を履くや否や「行って来ます!」と、ばびゅーんと玄関を出て行ってしまった。
逃げ足は速い。



「逃げられた・・・。まったく、あの子は〜。」
してやられたカカシは、お冠だ。
イルカは結局、朝からジュースだけを飲んで任務に行ってしまったのだ。
「あれほど牛乳飲めって言ったのに〜。」
柄にもなく、きーっとなってしまう。
「あんなんじゃ、絶対にご飯なんて、真面目に食べないよ・・・。」
困ったなあ、と呟くカカシの目に、窓の外の一羽の白い鳥が目に入った。
白い鳥は任務を伝える式である。
「えー、休暇中なのに任務〜。」
ついてないなあ、とカカシは朝から、がっくりと肩を落としたのだった。





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