うちの子どんな子かわいい子、おれのあの子はかわいい子12
「あのねえ、イルカ。」
とりあえずカカシは素早く立ち直った。
目眩がするからといって、倒れている場合ではない。
「ご飯っていうのは、お米やパンを食べることです。」
説明してみた。
「でなければ麺類とかでもいいんだけど。」
「俺、ラーメンは好き。」
イルカが元気いっぱいに言う。
「大好きなラーメン屋さんあるんだ!」
「そう、イルカはラーメンが好きなんだ〜。」
危うく綻びそうになった顔をカカシは慌てて引き締めた。
「そういうことじゃなくてね。ご飯を食べないと大きくなれないんだよ。」
優しく諭す。
「大きくなったら、ちゃんとご飯食べるよ。」
イルカが巧みに切り返してきた。
「だから大丈夫!」
何が大丈夫なのか自信たっぷりに言う。
その答えに再び、カカシは目眩を感じた。
「イルカ・・・。」
両手を腰に手を当ててイルカを見下ろしてカカシは、ちょっとだけ怖い顔になった。
「ご飯を食べないと駄目です。パンと牛乳くらいは買いなさい。」
「ええ〜。」
イルカは抗議の声を上げた。
そして、いやいやと首を振る。
「今日はいいです。」
「今日はいいなら、いつ買うの?食べるの?」
「えっと・・・。いつか、かな?」
「いつかっていつ?」
「うーんとねえ。」とイルカは言い訳を探しているのか、うろうろと目が泳いでいる。
「とにかくご飯を食べなさい。ね?」
カカシが言うとイルカが眉を八の字のして情けない顔になった。
そして小さい声で告げる。
「だって、お金、そんなに持ってないもん。」
「・・・・・・あ、お金か。」
籠の中味を買う分しかイルカは所持金がないらしい。
イルカは下忍だし任務のランクも低いので報酬は少なく、所持金が小額なのは当たり前かもしれない。
カカシはイルカの買おうとしているものを止めさせるのは、さすがに酷だと思い、さしあたって簡単な食事になるような物をカカシが買い、ついでにイルカを家まで送ることにした。
夜道を子供だけで歩かすのは危険だと思ったのとイルカの家の場所が知りたいと、下心が少しだけあったからであった。
カカシは成り行きのままイルカの家まで行くことになったのだが、それに対してイルカは異論を唱えず嬉しそうにしていた。
買物が終わると外は、すっかり夜の帳が下りており暗くなっている。
暗い夜道を歩きながら、イルカは何回もカカシに訊いた。
「本当に俺んち来るの、カカシさん?」
「うん、まあね。」
「本当に本当?」
そんなことを言ってはカカシに纏わりついている。
「これ、買ったの俺だからイルカと一緒に食べる権利はあるでしょう?」
正しくはイルカと一緒の食べるではなく、食べる権利があるだけなのだが。
カカシはスーパーで買った物が入った袋を持ち上げてイルカに示す。
そこにはパンやら牛乳やら何やらが入っていた。
「イルカにも食べさせたいし。食べたら大きくなれるよ。」
食べることを強調してみる。
「そっか、俺んちにカカシさん、来るんだね!」
そっちの方がイルカには重要らしい。
うきうきとしている。
「いつまでいるの?」
「いつまでって、イルカを送って・・・。」
「いつまででもいていいよ!」
そんなことを言ってイルカは、にこにこしている。
「うーん、そうだねえ。」
イルカの家にいる・・・。
なんとも魅力的で楽しそうだ。
そうしたいのは山々だが、いずれカカシは任務で里を離れなければならない。
一緒にいたいが、もしもカカシがいなくなったらイルカが、どんな顔をするか考えると不憫になる。
ぽんとカカシはイルカの頭に手を置いた。
自分の周りで、はしゃぐイルカの頭を撫でる。
今日、ちょっと会っただけなのに、こんなに俺に懐いてくれるとは・・・。
イルカが、すごく可愛く見えた。
目の中に入れても痛くないとは、このことかもしれない。
最初は俺のことを警戒しているようで行動が不審だったけど懐いてくれたら、こんなにも可愛いとはねえ。
子供の素直さ、無邪気さからくる諸刃の剣となる言葉もあるけれどね・・・。
おじさんと呼ばれたり、ピチピチってなに?と聞かれたことを思い出しカカシは苦笑いをした。
そんなことを思い出していると、どうやらイルカの家に到着したようだった。
「俺んち、ここだよ。」
そうイルカが指差したのは、忍用に作られた集合住宅の一つであった。
主に下忍と中忍が住んでいる。
「へえ、ここがねえ。」
ポケットから鍵を出したイルカは、かちゃりと玄関の扉を開けた。
あの鍵はカカシが届けた鍵だろうか?
「散らかっているけど、どうぞー。」
家の鍵を開けたイルカは、すたすたと先に部屋の中に入っていってしまう。
「じゃ、遠慮なく。」
カカシは下足を脱いでイルカの家に足を踏み入れた。
「お邪魔しまーす。」
ここがイルカの住んでいるところかと思いつつ、住居が分かればいつでも来れると密かに思ったのだった。
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