それからどしたの?うさぎちゃん 4
里に帰ったカカシ先生は、一旦俺を自分の家に置いて報告書を出しに受付け所に行ってしまった。
パックンは餌を貰って食べてから、巻物の中に戻ってしまって。
俺はカカシ先生の家で一人きり。
お腹空いたな。
カカシ先生は俺を大きなダンボールの中に入れていったので外に出ることは不可能だ。
体当たりしてもダンボールは倒れない。
兎って非力だ。
しかし腹減ったな〜。
こってりしたもの、ラーメンなんか食べたいな〜。
そんなことを考えていると俺の腹がぎゅるるとなった。
兎でも腹の音ってなるんだ。
変なことに感動していると、ギッと玄関のドアが開く音がした。
カカシ先生が帰ってきたのだ。
「ただいま〜、寂しかった?」
嬉しそうに俺に話しかけてきた。
両手には大きな荷物を抱えている。
何だろう?
カカシ先生は機嫌良さそうに「好い物買ってきたんだよ〜。」と言いながらガサゴソと荷物を開いた。
そこには所謂、兎の飼育セットが一式。
飼育ゲージに、ペットが自分で水が飲めるペット用の水飲みボトルと、あとは野菜だった。
野菜は人参にキャベツ、ブロコッロリーにレタスにパセリとか緑の野菜が多い。
俺が普段、人間の時に殆ど食べない野菜がどっさり。
あれ、俺が食べるのか、やだなあ。
そんな俺の顔色を読んだのか、カカシ先生がつんつんと俺の頬を突いた。
「こら、そんな顔しても駄目だよ。兎の間は野菜をしっかりと食べなさい。」
めっと俺を睨む。
睨まれてしまった、でも。
今の言い方だと俺が人間だと目処がついたような、分かったような感じだ。
俺が誰か分かったのかなあ。
カカシ先生の顔を見ていると、ん?とこっちを向いた。
「自分が誰か分かったのかなあって顔してるよ?うん、さっきね、受付け所に行って調べたら未だ帰還していない少年の忍で、さっき里まで帰ってきたルートを通った忍がいてね。」
カカシ先生が、その忍の名を言った。
それは俺がよく知る名ではあったが、俺の名ではない。
俺のではないけれど、俺が嘗てアカデミーで受け持った生徒だった。
いつも笑っていた顔と明るい茶色の目を思い出した。
あいつ、任務に出て行方不明になっているのか・・・。
はっきり言って自分の状況が、もうどうでもよくなった。
自分の心配より元生徒の方が心配だ。
任務に行って、どうしたんだろう?
何か失敗でもしたのか、怪我でもして動けないのか。
兎のまま、おろおろとする俺をカカシ先生はするっと抱き上げてくれた。
「お前はその少年の忍だろ?大丈夫だよ、お前のことは受付けに届けてきたし怪我が治ったら解術の薬も飲ますから。」
ね?と言われても、だって、それ俺じゃないし。
俺は気が急くばかりで、カカシ先生の人の悪い笑顔に気づけなかった。
「それよりねえ、もう一人行方不明の忍がいてね。そっちのが気がかり。」
も、もう一人?
誰だ、また俺の元生徒とか言わないだろうな。
「イルカ先生って言って、アカデミーの先生なんだけどね。」
イルカって・・・俺か、なんだ俺か〜。
じゃ、いいや。
俺は安堵して体の力を抜いた。
「捜索隊が出るそうなんで見つかるといいけどね。」
カカシ先生は心配そうだ。
俺のことを心配してくれているのかな。
たいした交流もないのに、ちょっと嬉しいなあ。
「イルカ先生がいないとナルトが寂しがるからねえ。」
俺が心配じゃなくてナルトか・・・。
まあ、いいや、良しとしよう。
俺だってナルトが心配だし。
と、思ったけど俺の捜索隊!
見当違いな捜索隊なんて出さないで、俺の元生徒を捜索してくれ!
そう言いたいのに、何分、俺は兎だった。
「ああ、心配しないの。」
カカシ先生は何かを察したのか、俺の体を撫で回して。
安心させてくれた。
それからカカシ先生は「名前がないと不便だよね。」と言って俺に名前を付けてくれたのだが。
「うさぎちゃん。」
それって名前か?
それからどしたの?うさぎちゃん 3
それからどしたの?うさぎちゃん 5
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