それからどしたの?うさぎちゃん 3
俺が一瞬の哀愁に浸り、人生の終焉を覚悟した時、ガサリと茂みが動いた。
途端、カカシ先生とパックンが身構える。
当然、俺に振り下ろされかけたクナイも止まった。
そして、そこから思いもよらぬ人物が。
さっきの敵の一人だ。
しかも、おかしな煙玉を投げて、その場にいた全員を兎に変化させた奴。
お前のせいで〜。
俺は耳を掴まれたまま、足をジタバタさせた。
お前のせいで俺は、ここで兎として人生を終わらせる羽目に〜。
そういう抗議をこめてジタバタしていると、敵は俺をすっと指差した。
「その兎・・・。」
「今、食べようとしてんの、あげないよ。」
「いや、欲しいわけじゃない。」
「じゃあ、やられたい訳?」
「待て、交戦の意思はない。」
敵は一歩下がると、懐から小瓶を出して地面に置いた。
また一歩下がる。
「これをその兎に飲ませろ。そいつはさっき、俺が兎に変化させた木の葉の忍だ。」
「はあ?何、言ってんの?」
「疑うのは無理はないが本当だ。」
その証拠に、と敵は俺の右足を指して。
「その怪我は人間だった時に俺が投げたクナイが当たったものだ。ほら、あっちに投げたクナイが落ちているだろ?」
あっちを見ると確かに敵のクナイが落ちていた。
だが、カカシ先生は冷静だった。
「だから?敵のあんたが、何でワザワザ、危険を冒してまで変化を解く薬を持ってきたのさ。」
信じられると思う?とクールに反撃している。
さすがに上忍は状況判断が早く、頭の回転がいいなあ。
敵は「信じられなくて当然だ。」と頷いた。
「だがな、そいつは俺が兎に変化して斥候していた時。・・・罠に嵌った兎の俺を助けてくれたんだ。」
恩は返さないとな、と妙に格好つけている。
罠に嵌った兎。
確かに助けたけど、あれって敵だったのか。
しかも目の前の。
よくよく抜けた敵だなあ。
俺は、ちょっと呆れてしまった。
だがカカシ先生はかなり呆れた様子で「馬鹿じゃないの?あんた、本当に忍?」と突っ込んでいる。
敵は、その言葉を華麗にスルーして、さりげなく落ちていたクナイを拾い「と、とにかく、その兎は木の葉の忍に間違いない。喰ったら、共食いだぞ。」と言い残し去ろうとした。
「あ、ちょっと。」
その敵をカカシ先生は呼び止めた。
「木の葉の忍びって、どんな忍よ?」
「身長はお前より僅かに低いくらいの、黒髪黒目で、顔に横一線の傷がある少年だ。」
少年!
ち、違う、何言ってんだ、成人男性って言えよ!
なんて見間違え、言い間違えしてんだ、そんなだから色々ミスするんだろうが!
だけど俺の心の叫びは届かず。
敵は今度こそ去ってしまった。
呆然としていたが、カカシ先生の声で我に返った。
「信じられる、パックン?」
「さあのう。」
二人して、再び俺を見て。
「食べるの我慢する?」
「仕方ないのう。」
カカシ先生は「万が一木の葉の忍びだったら可哀想だしね。」と俺の怪我に応急手当を施して。
敵の置いていった小瓶を懐に納めて、何故か俺の耳を持ち直した。
「じゃあ、里に早く帰って何か食べようか。」
「うむ。」
どうやら俺を食べないらしい。
良かった、一安心だ。
けれど、どうしてカカシ先生は、ここで解術の薬を飲ませてくれないんだろう?
それに耳を持つのはやめてくれ〜。
すごい痛いです。
帰還途中、耳を持たれて痛さの余り元気がなくなった俺に気づき、カカシ先生は耳を持つのをやめてくれた。
体をそっと、抱きかかられる。
俺は抵抗する元気がないので為すがまま。
「あー、ごめん。」
カカシ先生は、ぼそっと言って兎である俺の体を撫でた。
「ごめんね、耳が弱いんだね。兎って。」
知らなかったよ、なんて言っている。
俺も兎が、こんなに耳が弱かったなんて知らなかったよ。
アカデミーで飼育している兎の耳を持たぬように、人間に戻ったら子供たちに厳しく指導しよう。
戻れたらの話しだけどね。
それからどしたの?うさぎちゃん 2
それからどしたの?うさぎちゃん 4
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