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ネコは人にあらず2



★オリキャラ注意


悪い予感がする・・・。
黒猫は不吉だという昔からの言い伝えを思い出してカカシは咄嗟に思ったのだがイルカは違ったようだった。
「わ!ネコだ!」
嬉しそうな顔で弾んだ声を出す。
「かわいい〜」
動物が好きなのかもしれない。
「ぴんと立った耳が可愛いですねえ」
ネコを見て、うっとりとしているのでカカシは何だか面白くなかった。
「イルカ先生、動物好きなの?」
聞くとイルカは大きく頷いた。
「はい、大好きです。ふわふわの毛皮を見ると撫で繰り回したくなります」
「あ、そ」
カカシは無愛想に応じてから、ふと言ってみた。
「だったら、うちの忍犬、触りにきますか?」
「え!忍犬!」
イルカの視線が黒猫から外れてカカシの方に向く。
黒い目を大きくして期待に満ちた目でカカシを見ている。
そのイルカの様子にカカシは何故だが溜飲が下がった。
「いいんですか!」
「いいですよ、八匹もいますから」
「八匹!」
イルカが両手を胸の前で祈るよな形で合わせた。
「すごいですねえ、八匹も。触りたい放題じゃないですか〜」
カカシさんはいつも触れていいですねえ、と羨ましそうにする。
「いつも触っている訳じゃないですけどね」
「でも、自分の忍犬なら誰にも遠慮せずに触るんじゃないですか?」
「まあ、そうですけど」
しかし本来、忍犬は任務のパートナーでペットではない。
なのでカカシが忍犬を撫でたりすることは稀だ。
滅多にない。
だけどもカカシは、そのことは敢えてイルカには伝えなかった。



「ところで」
カカシは話題を変える。
「薬品を開発の部署って、どこにあるんですか?」
根本的なことをカカシは知らなかった。
「ああ、それはですねえ」
今、二人がいるのはアカデミーの裏庭だ。
「あっちです」
イルカはアカデミーの裏庭から続く森の中を指差した。
森の中は、こんもりと茂った葉で光が遮られて薄暗い。
「あっちの森の奥の、そのまた奥です」
着いてきてください、とイルカは、とことこと森の中に入っていく。
その後をカカシは大人しく付いて行った。



「あ、ここです」
迷路みたいな道を歩いて到達した場所は一見しただけは解らないような造りになっていた。
建物が周りの色合いと調和して上手くカモフラージュされている。
薬品と開発しているのだから里の中では重要な施設なのだろう。
イルカは、その建物の扉と思しきものを何の躊躇いもなく開けた。
こっちです、とカカシを手招きする。
そして一旦、扉を閉める。
中には、また扉があった。
その扉は重厚で暗証番号を押して開閉できるタイプだ。
イルカは、ピポパポと数字を何十回か押した。
それから、ぎぎぎと重そうな扉は開いたのであった。
中に入ると薄暗い。
電灯は必要最低限なだけしか点いていない。
建物の中も迷路のようで何度か入り口のような扉にぶち当たり、その度にイルカは番号を押していた。
「あ、着きました」
やっと着いた先には白い色の扉があった。
コンコンとノックをすると中から「どうぞ」と声がした。
「こんにちは〜」
和やかムードのイルカが入るのに続いてカカシも入室した。



部屋の中は扉と同じく白いテーブルに怪しげな白衣の人。
そして白いテーブルの上には白い小瓶が置いてあった。
中には桃色の溶液が揺れている。
「や、ども」
白衣の人は手を挙げてカカシとイルカを向いいれた。
「どうだった、薬の効き目は?」
早速、昨日の薬の結果を訊かれてイルカが詳細に話している。
「なるほど、なるほど」
白衣の人は、うんうんと頷いてイルカの話を静かに訊いていた。
穏やかな表情なのに隙がなく、年もカカシよりも下なのか上なのか判別できない。
一緒に来たカカシに対して全く興味がないのか、イルカに尋ねもしない。
変なやつ、というのがカカシの感想である。
「じゃあー、次はこれ飲んでみてくれないか。飲んだら一週間後にまた来てよ」
「うん」
白いテーブルの上にあった白い小瓶の液体をイルカは無造作に飲もうとしている。
「ちょーっと待った!」
液体がイルカの口に入る寸前にカカシの腕がイルカの腕を掴んでいた。
そして白衣の人に向き直る。
「あのさ、イルカ先生にむやみやたらに怪しい物飲ませないでくれる?だいたい、許可もなしにイルカ先生を検体にするなんて」
ばっさりとカカシが切り込むと白衣の人は面白そうに口の端を上げた。
「おやおや」
余裕綽々の態度だ。
「許可なら取ってありますよ」
ふっと白いテーブルの上に何枚かの書類が現れた。
「これらを見てもらえば判りますが火影さまを始め、上層部には話を通して許可を貰っています。イルカを検体に選んだのは適性検査の結果、最も適した身体の持ち主であったからです」
薬品の試飲をしてもらっているんだからイルカには最新の注意を払っていますよ、とあっさりと、あしらわれた。
カカシは書類に目を通したが火影のサインは本物だった。
偽証はどこにもない。



言葉に詰まったカカシにイルカは「大丈夫ですよ」と今一度、言うと目を閉じて白い小瓶の液体を一気に飲み干した。
「苦い・・・」
顔をひどく顰めている。
「それに不味い・・・」
口元を押さえて苦虫を噛んだ顔になっていた。
「イルカ先生」
薬の効果が心配でカカシがイルカの背を撫でる。
「平気ですか」
「え、ええ、まあ」
よっぽど薬が苦かったのかイルカの顔は引き攣っている。
「今まで生きてきて一番苦い薬でしたけど」
はは、と引き攣った顔のままでイルカは笑った。
それから白衣の人に「一週間後に来ればいいんだな?」と確認してからカカシと共に、その場所を後にした。



外に出ると空気が新鮮だった。
「変なやつでしたねえ」
カカシが率直に言うとイルカは苦笑いを浮かべる。
「あれでも好いやつなんですよ。見かけより」
フォローになってないようなことを言う。
「それよりも」
イルカは首を傾げた。
「今回の薬は、どんな効き目があるのかなあ」
「いつも知らされないんですか」
「ええ、知らない方が反応が顕著に出るとか出ないとか」
「そうですか・・・」
なんだかカカシを、どっと疲れてしまっていた。
「ねえ、イルカ先生」
「あ、はい」
「仕事が終わっているなら、この後、飲みにでも行きませんか?」
雰囲気と勢いで誘ってしまった。
「本当ですか」
イルカが照れたような笑みでカカシを見つめる。
「光栄です、カカシさんに誘っていただけるなんて」
感激していた。
イルカと二人きりで飲みに行くのは初めてだ。
「嬉しいです」
にこ、とイルカが笑った時だった。
ぴょんとイルカの頭に何かが突き出てきた。



ふわんとして柔らかそうな、それは・・・。
「動物の耳が!」
思わず言ったカカシの言葉にイルカが頭に手をやった。
「あ、なんか、ふわふわとしたものが・・・」
「黒い耳がイルカ先生の頭に生えていますよ」
「ほんとだ・・・」
その耳には覚えがある。
薬品の開発の部署に行く前にカカシとイルカの前を横切った黒猫の耳に、そっくりだった。
「え、ネコの耳!」
イルカが慌てている。
「ええっと、落ち着いてイルカ先生」
突然、頭にネコの耳が生えればパニックにもなるだろう。
イルカも、そうに違いない。
「なんで頭にネコの耳!」
「イルカ先生、とにかく冷静に。ね?」
宥めるカカシを余所にイルカは叫んだ。
「人間の耳とネコの耳、合わせて四つも耳がある!」
どの耳を使えばいいんだろう・・・。
「あ、そっちなのね」
カカシが考えていたこととは見当違いのことで悩んでいる。
そんなイルカを見てカカシは深々と溜め息を吐いたのだった。





ネコは人にあらず1
ネコは人にあらず3



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