AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する
楽天カードで2000ptゲット
【【もれなく】】全員をDisneyへご招待!!


台風少年4





久しぶりに里で過ごす休日を、カカシは満喫することにして外に出た。
馴染みの店で食事でもして、本屋にでも行って欲しかった本を買おう。
今日はのんびりしよ〜、と伸びをするカカシの視界に見慣れた二人の姿が目に入った。
アスマとイルカ。
二人は仲良さそうに並んで歩きイルカが身振り手振りを交えてアスマに何やら話している。
アスマは煙草を吸いつつ時々イルカの話に楽しそうに相槌を打ち、二人の間には非常に和やかな雰囲気が流れていた。
アイコンタクトをしては、嬉しそうに笑い合っている。
いいなぁ。
そんなことを思いながら、カカシの胸がチクリとする。
俺も・・・。
俺も何だろ?
その先が思い浮かばない。
イルカを見ていると、その先にあることが分からなくなることが多い。
里に帰ってきてから会いに行く、というのも実行できずにいた。
今だって、アスマとイルカは共通の知り合いなのだから、声を掛ければいいだけなのに上手くいかない。
カカシが逡巡しているうちに、アスマの方から声を掛けてきた。




「なんだ、カカシじゃないか。どうしたんだ?」
「あー、アスマ。今日、俺休みなんだよね。」
「そうか。これから、俺たち飯に行くんだが一緒にどうだ?」
カカシが傍らのイルカに目をやると、ペコリと頭を下げてきた。
「いいよな。イルカ?」
アスマの問いにイルカは頷く。
「はい。」
それはイルカの本心なのか、とちょっと疑ってしまうカカシだが、嬉しいという気持ちが湧き上がってのが先立った。
「そう?じゃあ、一緒に行こうかな〜。」
話がまとまり、どこの店がいいかという段になり、式が舞い降りてきた。
カカシではなくアスマの元に。
式は任務を伝達する。
アスマは式にさっと目を通すと「悪い。」と言いイルカを見た。
「急な任務だ。俺は抜けるが、飯はカカシと行ってくれ。」
「はい。任務気をつけて下さいね。」
イルカはニッコリ笑って手を振る。
少しも残念そうにも寂しそうにも見えない。
アスマは少し眉を潜めると、「じゃあな。」とイルカの頭を撫でて消えた。




「行ってらっしゃい。」
イルカはそう呟いて、その場にしばらく立ち尽くしていた。
アスマがいなくなった途端、寂しいという雰囲気が全身から滲み出る。
カカシから見たイルカの背中は取り残されて、しょんぼりしているように見えた。
「あの、イルカ。」
話しかけにくかったが話しかけてみる。
「どこにご飯食べに行く?」
イルカは問いかけに静かに頭を横に振る。
「いい、行かない。」
「え?」
アスマがいないからだろうか。
「修行に行くからいいよ。・・・ごめん。」
イルカはカカシの方を見ずに歩き始めた。
「ちょっと待ってよ。」
慌ててカカシは後を追いかけた。



夜半過ぎに演習場でカカシは汗だくになっていた。
こんなことは珍しい。
真面目に修行するなんて。
イルカの相手をしているのだが、結構手強い。
組み手で掛かってきたところを上手く避けて、後ろでに手首を取った。
「イルカ、もういいんじゃないの?」
手首を軽く捻り上げながら言うと、すぐさまイルカから素早い蹴りが飛んできた。
ひょいと、後ろに下がるカカシ。 「こんな暗くなちゃって、夜は寝ないと駄目だよ〜。」
はあはあ、と荒く息するイルカはどっと地面に座り込んだ。
「分かった、止めるよ。」
座り込んだイルカの横にカカシも座った。
「いっつも、こんな修行してるの?」
飲まず食わずでという言う意味だ。
アスマと別れてから、結局演習場に来てしまった。
「うん。」
まだ、息を切らせながらイルカは言う。
「だって、敵に遭ったとき、常に腹いっぱいとは限らないだろ。」
「そりゃ、まあね。」
「おまけに、昼じゃなくて夜に遭遇することの方が多いし。」
「うん。」
「自分に不利な状況の時でもに可能な限り戦えるようにしておきたいんだ。」
「・・・そう。」
イルカの考えは正論で立派だと思うけど。
でも、とカカシは考える。
修行ばっかりで、イルカの楽しみってないの?
「ねえ、イルカは何か楽しいことあるの?」
「楽しいこと?」
急に話題が変わったのでイルカはびっくりしている。
「ええと、三代目やアスマさまと会ったり話したり食事したりすることかな?」
「・・・あとは?」
「あとは時々、三代目が異国のお菓子をくれるんだけど、それがすごく美味しいこととか?」
「・・・あとは?」
「あとは・・・・・・ない、かな?」
「それだけ、って本当?」
カカシは信じられない面持ちでイルカを改めて見た。
若者がたった、それだけのことで満足するのか?
自分なんて愛読書がないと生きられないし忍犬も好きだし寝るのも好きだ。
休みの日は一日中ごろ寝とかよくある。
イルカはカカシの何故驚くのか、と不思議そうにしていた。



「実は、もう一個あるんだ?」
内緒話でもするようにイルカが小声になる。
「何?」
勢い込んで聞くと、イルカが恥ずかしそうにした。
「誰にも言わないって約束するなら言うけど。」
「約束する。」
とりあえずね。
カカシは心の中で付け足し、促した。
「あのね、前にアカデミーの女子が話していたのを聞いたんだけど。」
清らかな心と体のまま死ぬと、死んでから妖精になって天国に行けるんだって。
「だからね、死んで妖精になったら天国に行って・・・。」
イルカは真面目だった。
「天国にいる人に会いたい。」
真っ直ぐな瞳でカカシを見る。
天国にいる人というのはイルカの両親だろうとは思う。
しかし。
「じゃ、じゃあ。イルカは死んでからのことのために生きてるの?」
それは、少し悲しい。
「そうじゃないけど・・・。」
イルカは俯いて地面を見た。
声に力が無い。
これ以上言うとイルカの心を傷つけてしまうかも。
胸に重い塊がこみ上げてくる。
「・・・会えるといいね。」
そんな子供の話なんて信じられないがカカシは堪らず口に出した。
「きっと、天国の人もイルカに会いたいって思ってるよ。」
「本当に、そう思う?」
イルカが上目遣いで聞いてきた。
月明かりの加減のせいで瞳が潤んでいるように見える。
「ああ、もちろん。うんうん、大丈夫だよ。」
何が大丈夫なんだろ、元気付けるためとはいえ、こんなこと言っていいのか?
心の内でカカシが葛藤していると、イルカが更に衝撃的なことを聞いてきた。
「ねえ、清らかな心と体になるには、どうしたらいいと思う?」
アスマさまに聞いたら、清廉な魂を持ち何でも好き嫌いせずに食べることだって言っていたけど。
そんなの自分に聞かれても困るっての、アスマめ逃げたな、とカカシは思ったのだが。
「俺もアスマが言ったとおりだと思うよ。」
と言うに留まったのだった。



台風少年 3
台風少年 5






text top
top