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台風少年2



カカシは、割と困っていた。
周囲を炎に包まれて、一人、取り残されていたのである。
結界を張ってあるから、焼死はしないけど、暑いねえ。
のんびり、そんなことを考えている。
敵を掃討したのは良かったのだが、最後の敵の一人が火を放ったのだ。
火の勢いは強く、辺りは一面、真っ赤に染まっている。
ま、しばらくすれば、火も弱まるでしょ。
それを待てばいい。
そしたら、一気脱出だ。



「ん?」
結界の中で、カカシは自分の方に向かってくる気配を、僅かに感じた。
全速力で疾走しているようで、ぐんぐんと近づいてくる。
「もう、誰よ。助けなんて、いらないのに。」
カカシの実力を考えれば、火が鎮まるまで、結界の中にいることは容易い。
それをカカシを知るものならば、承知しているはずである。
「どこのバカだよ、全く。」
ぶつくさ言いながらも、近づいてきた気配に応じて、結界を弛めると、熱気と共に小さな影が飛び込んできた。



その影は「ゲホッ・・・。」と一回咽び、その後、ゴホゴホゴホと咳き込んだ。
煙を吸い込んだらしい。
カカシは、体に纏わり付いていた小さな火を消してやった。
体はあちこち焼け焦げいて、服や髪はボロボロだ。
「なーに、やってんの?死んじゃうでしょうが。」
顔に付いた煤を拭ってやると、ようやく、誰だか分かった。
「あ、あんた、イルカだね〜。この前、アスマと一緒の時に助っ人で来た・・・。」
「助けて!」
「は?」
イルカは、いきなりカカシに、縋り付いてきた。
黒い目を見ると必死なのが分かる。
カカシの腕を掴む、手が震えている。
「アスマさまが敵に捕らわれて救出にはアンタの力が要るって。」
だから早く行って、とイルカは早口で言い、懐から巻物を一本取り出した。
「これ、水遁のすごい術の巻物。アンタなら使いこなせるからって。」
言い切ると、イルカは再び、咳き込んだ。
咳が続き、立っていられないようで、座り込んでしまう。
そんなイルカの背を摩りながら、カカシは心底、呆れていた。
「そのためだけに、こんな無謀で無茶で考え無しなことしたの・・・。」
イルカの首が横に振られる。
アスマのためだと言いたいのか?
「本当、バカだね。」



やれやれ、と思いながら、カカシはイルカから受け取った巻物を開き、瞬く間に火を消してしまった。



「さーて、と。」
動けないイルカを、カカシは背に負うことにする。
怪我人を置いてはいけないし、イルカを背負って走ることなど訳ない。
なのに、イルカは掠れた声で、拒否をした。
「い、い。後で・・・行、く、から。先にアスマ・・・まを。」
カカシは溜め息をつくと、有無を言わさず、イルカを抱き上げ走り出した。






イルカが目を覚ますと、そこは病院で、傍らにはアスマがいた。
「ア・・・。」
アスマさま、と言いかけて、喉に鋭い痛みを感じ、顔を顰める。
「まだ、話すな。煙で喉をやられたんだぜ。」
そう言い、アスマはイルカの口に水を含ませた。
飲み干すと、少し声が出る。
「ご無事で?」
聞くと、アスマが大きく頷いた。
「ああ、ありがとよ。助かったぜ。」
アスマが微笑むと、イルカの顔にも笑みが浮かんだ。
「よ、かった。」
安心したのか、瞼が落ちてくる。
「寝てて、いいぞ。」
傍にいるから、とアスマの優しい声を聞くと、イルカは完全に眠りに就いた。






「あの〜。俺は?」
カカシは、アスマとイルカのやり取りを、同じ部屋で一部始終見ていた。
アスマとイルカは、見ていて微笑ましく、まるで父と子のようで。
なかなか、入り込む余地がなかったのだ。
そんなカカシの肩を、アスマはポンポンと叩いた。
「悪かったな、無理させて。イルカの代わりに礼を言うぜ。」
「えー、アスマが〜。」
カカシは不満そうだ。
「イルカがいいな〜。」
「あのな・・・。」
あ、そだ、とカカシはウキウキした声を出した。
「これも何かの縁だし。俺がイルカの傍にいるから、アスマは帰っていいよ。」
看病ってしたことないしね〜、と言うカカシを見て、アスマはキッパリと言った。
「お前が帰れ。」



それからカカシは、イルカの見舞いに何回か訪れて、ちょっと親しくなれたらしい。



台風少年 1
台風少年 3






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