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台風少年17



ひらり、とカカシの前に舞い降りたイルカは不適の笑みを浮かべている。
「そっちが来ないのなら、こっちから行くぞ!」
きらり光る刀を顔の前で交差させると、その瞬間に敵に突っ込んで行く。
だが無謀な突っ込み方ではない。
敵の隙を上手くついて、切り込んでいた。
ガッとかカンとか刀が、ぶつかる音が炎の中で響く。
イルカと敵は炎の中を掻い潜り、熱と煙の最中にいた。
「イルカ。」
不安になったカカシはイルカの名前を呼ぶ。
答えはない。
赤い火が邪魔をしてイルカの姿を隠していた。



刀がぶつかる音はしているのに姿は見えない。
「イルカ!」
カカシが再び、名を呼ぶとイルカは、やっと姿を現した。
服も髪も火で焼け、焦げている箇所もある。
顔は煤で黒くなり、露出している手や手首は明らかに火傷をしていた。
赤くなった火傷に構うことなくイルカはカカシに近づいてくる。
そして告げた。
「一旦、敵は退散したようだけど、きっと、また来るよ。」
ポケットから何かを取り出す。
それをカカシの口元に持ってきた。
「これ、飲んで。」
「なに、これ?」
兵糧丸とは違う錠剤のようなものだ。
薬品の匂いがする。
「これは精神安定剤。強いやつだよ。」
「なんで、こんなもの飲まなくちゃいけないのさ。」
「なんでって逃げるために水の中を渡るから・・・。」
「それに水の中を渡る術は禁止されているんじゃなかったのか!なんで来たんだ?」



非常事態なのにも関わらずカカシはイルカに突っかかっていた。
危ないことをするイルカが心配でならなかったのだ。
「なんでって言われても。」
困ったようにイルカは苦笑いをする。
「任務だからだよ。」
簡潔に答えたのだが、カカシは気に食わなかった。
「だいたいイルカは!」
こんな時なのに不満が噴出してしまう。



「自分を抑えすぎだ。禁止されている術なのに任務だからって使うのか!嫌なら断ればいいだろ。」
カカシはイルカの肩を掴んで強く言った。
イルカの瞳には自分が映っているのが見える。
揺れる瞳の中にカカシがいた。
「アスマにも遠慮することはないのに。旧知の仲なんだろ、一応。そんなのムカつくけど、そういう間柄だったら『さま』とかつけて呼ばなくていいじゃないか。」
今まで溜めていた想いが一気に口から出た。
「俺、初めて会ったときから、なんかイルカのことが心の片隅にあって、ずっと忘れられなくて。頑張るイルカが気になって心配で、だから・・・。」



肩を掴んでいた手をイルカの背に回す。
「イルカ。」
ぎゅっとイルカの体を抱きしめる。
大きくなったとはいえ、イルカの体はカカシよりは、まだ一回りも小さい。
「もういいよ、イルカ。頑張らなくて。」
護ってもらっている立場なのにカカシにはイルカが、ひどく頼りなく感じた。
儚く散ってしまいそうな・・・。
自分を助けにきたイルカは、あっさりと、その命を投げ出してしまいそうに思う。
カカシを護り助けるために。



今まで一度も考えたことがなかったことがカカシの口をついて出た。
「イルカ。」
二人の背後には炎が迫っている。
炎に照らされながらカカシは言った。
「ここで、このまま死のう。イルカと一緒なら死んだっていい。」
イルカの黒い瞳が真っ直ぐにカカシを見ている。
「それくらいイルカが好きなんだ。」



少しの間、イルカは黙ってカカシを見詰めていた。
それから静かにカカシの名を呼んだ。
「カカシ。」
会ってから初めて、イルカはカカシの名を口にしたのだった。




台風少年16
台風少年18





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