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台風少年15



駆け寄ってきたイルカはカカシの前まで来ると「久しぶりだね。」と言って笑った。
「元気だった?」
明るく話しかけてくる。
「あ・・・。ああ、まあまあかな。」
カカシはイルカの笑顔に押されて上手く言葉が出てこなかった。
「俺、夕飯の買出しに来たんだけど。会えるんだったら、借りたお金返したかったのに。」
夕飯の買出しでお金を使って手持ちがなくなってしまったらしい。
「いいよ、そんなの。」
「よくないよ。」
イルカは首を振り「だって、この指輪とか結構な値段したじゃないか。」と、そんなことを言う。
「あ、指輪ね。」
指に嵌めてある指輪を見せられて、カカシは、どきっとしてしまう。

「その指輪さ、ずっと、その指に嵌めてるの?」
その指とは薬指だ。
薬指に嵌めてある指輪をイルカは、どう思っているのだろう。
事も無げにイルカは答えた。
「うん。だって、この指じゃなけりゃ緩いもの。」
イルカは指輪を見て嬉しそうにする。
「この指輪、好きなんだよね。」
ちょっと女の子みたいだけどさ、と恥ずかしそうに言いカカシを見る。
「任務中はベストの内ポケットに仕舞っているけど。持っているとさ、元気が出るんだ、ものすごく。」
そして言った。
「お守りなんだ、俺の。」



指輪を大切にしているイルカを見て、衝動的にカカシはイルカを抱きしめたくなった。
なぜ、抱きしめたかったのか。
胸に込み上げくるものの正体に、やっとカカシは気づき始めた。
あったかくて、ぽかぽかする気持ち、それでいて、妙に気恥ずかしくなるようなものだ。
答えを出す前に、イルカが、するりとカカシの手に自分の手を滑り込ませてきた。
イルカは買い物をした袋を片手で持ち、もう片方でカカシの手を握っている。
ごく自然に、まるで、そうしているのが普通のように、躊躇いもなく手を繋いできたのだ。
イルカの手がカカシの手に重なり心臓は大きな音を立てる。
そんなカカシを知ってか知らずか、イルカが無邪気に誘ってきた。
「折角、久しぶりに会ったんだし、時間があるなら歩きながら少し話さない?」




手を繋ぎながら歩き里中を抜けて、静かな道を歩く。
歩きながらイルカは淡々と話した。
「俺ね、また、援護部隊に戻ったんだ。」
「援護・・・。最初に会った時に所属していたところだね。」
「うん。そこが一番、俺に合っている様な気がして。申請したら戻れたんだ。」
「へええ。」
イルカの話はカカシにとって興味深いものだ。
目の前のいるイルカのことなら、何でも知りたい気持ちに駆られた。



「援護だからね、もしピンチの時は助けに行くよ。」
目を細めて、にこりとイルカは揶揄うように笑ったのだが、カカシは真面目に言った。
「うん、じゃあ、その時は頼むよ。イルカが助けに来てね、俺のこと。」
「・・・まあ、行くけど。」
助けなんていらない、と言われるのを予想としていたのかイルカは当てが外れたような顔をした。
「俺より強いくせに、変なの。」
イルカは、おかしそうに笑った。
「俺が強いって、なんで?」
「うん、そりゃ、知ってるよ。」

イルカは俯き、視線を地面に落とす。
「最初は知らなかったけど。アスマ兄さまからも少し聞いたし、みんな言っている。」
強い人だって、と言ったイルカの手から力が抜けて、繋いだ手が離れそうになった。
カカシはイルカの手を離さないように力を込めて、ぎゅっと手を握り直す。
「俺って、まだまだなんだなあって、つくづく思った。」
あっさりとイルカは言ったが、それはどこか後悔や苦悩のようなものが滲み出ていた。



「強いって言ってもいろいろあるでしょ。」
カカシも、やはり、あっさりと言った。
「俺の強さとイルカの強さは違うよ。」
イルカを慰めたかったし、イルカにはいつも元気でいてほしい。
「力が強いばかりが強さじゃないし。仲間を助けに行くとか、そういう気持ちも強い証拠だよ。」
「気持ち?」
「俺はねえ。」
話しているうちに、なんとなく、カカシの中でイルカへの気持ちが固まりつつあった。



「人を想う気持ちも強いものだと思うよ。優しさとか思いやりとか愛情とか。」
イルカは黙って聞いている。
「そういう気持ちを実行に移したりするのも強さだよ。」
技とか術は目に見えるから強い弱いが判定しやすいだけで、実は目に見えないものの方が強いこともある。
カカシがそう言うとイルカは、ぽつりと呟いた。
「強さはいろいろ・・・か。」
「うん。・・・と言っても、俺が勝手に考えたことを言ったまでだけど。」
悪戯めいた顔でカカシはイルカに笑いかける。



「だから、俺がピンチの時はイルカが助けに来てね。」
「分かった。」
今度はイルカも頷いた。
そうして晴れやかに笑ってカカシを見た。



目と目が合ってカカシとイルカの視線が重なり、じっと二人は見つめあう。
穏やかで落ち着いた雰囲気が漂った。
告白するにはいいかもしれない。
「あのさ。」
喉が渇くような感覚に陥りながらカカシは言った。
「実はイルカに言いたいことがあるんだ。」
「なに?」
「指輪のお金はいらない。俺からイルカに贈らせて。」
「え?でも・・・。」
どうして、という顔でイルカはカカシを見ている。
「それはさ、指輪を贈る相手ってっさ。」
ごくりとカカシは唾を飲む。
「どういう相手か知っている?」
「うーん、相手って言われても・・・。お世話になった人とか?」
「違うよ!」



カカシは勢いよく、イルカの肩を掴むと顔を寄せ言った。
「結婚式で指輪を贈るでしょ!」
「ああ、そういえばそうだね。」
カカシの迫力とは対照的にイルカは悠長だ。
「で?」と首を傾げている。
「結婚式っていうのは、つまり・・・。」
つまり・・・、その先をカカシが言おうとした時にイルカが腕時計の時間に気が付いた。



「やばい!ごめん、俺、もう帰らないと。明日、早いんだ。」
そう言ったイルカはカカシの手をすり抜けて行ってしまう。
「またねー。」と振り向いて手を振ると姿が消えてしまった。



「つまりさー。」
カカシは寂しく独りごちた。
「好きな人に指輪って贈るわけでしょう。」
いなくなったイルカに言っている。
声が届かないのは承知の上だ。
「だから俺は、イルカに指輪を贈りたい。」
あー、もうっ、とカカシは頭を掻き毟った。
「上手くいかないなあ。」
がっくりと肩を落とす。



先ほど自分で気が付いた感情をコントロールできない。
伝えることも難しかった。
好きだという感情を。



カカシがイルカを好きだという感情をだ。
イルカが愛しかった、とても。




台風少年14
台風少年16




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