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台風少年11




次の日の朝、ぱちりと目を開けたイルカの第一声は叫び声から始まった。
「ぎゃー!ここ、どこ?」
がばりと布団から起き上がり、周りと不安そうに、きょろきょろと見ている。
「うっさいなあ。」
一緒のベッドの隣で寝ていたカカシは布団に潜り込んだ。
「まだ眠いよ〜。寝かせて。」
欠伸交じりで、そう言うとカカシは、また目を閉じた。
「寝かせてって、ここ、どこ?」
同じ質問を繰り替えるイルカをカカシは布団に引き摺り込む。
「俺んち。イルカも、まだ寝てなさい。休みなのに起きるのは早すぎる。」
「休みって、なに?俺んちって、どこの俺んち?」
質問を繰り返すイルカをカカシは強い力で抱きしめると、そのまま眠りの世界に旅立ってしまった。


抱きしめられているイルカは動けない。
一応、抜け出そうと、藻掻いてみたのだがカカシの腕は外れなかった。
隣で、すうすうと眠っているカカシを見るとイルカは何故か自分も眠たくなってくる。
カカシの眠りに引き込まれて、いつの間にやら眠っていた。



再びイルカが起きた時には、カカシはイルカの横にはいなかった。
「あ、起きた?昨日は土手で話していたら眠ちゃったから俺の家に連れてきたんだよ。」
気配を察してカカシが隣りの部屋から顔を出す。
「朝ご飯できてるよって、もうお昼だけど。食べる?」
「え?昼なの。」
イルカが傍にあった目覚まし時計を見ると正午を過ぎていた。
「こんな遅くまで寝ていたなんて初めてだ・・・。」
呆然とイルカは呟く。
遅く起きることが悪いと思っていたからだ。



「おいでよ、簡単に、ご飯作ったから。」
カカシの促され、隣の部屋に行くとそこはキッチンで食卓の上には、焼いたトーストと目玉焼き、紅茶とシンプルなメニューが乗っていた。
イルカが席に付くと、カカシはティーポットから紅茶をカップに注ぎイルカに手渡してきた。
「はい、どうぞ。」
「あ、ありがと。」
イルカは受け取ったカップに口を付け、紅茶を一口飲む。
「美味しい。」
「良かった。」
カカシは嬉しそうに微笑んだ。
「休みの日は、たまーに紅茶が飲みたくなるんだよねえ。」 いい香り〜とカカシも紅茶を一口飲んだ。
「俺のブレンド、最高。」と自画自賛している。
「イルカは休みの日、何してるの?」
何気に聞いた。



「休みの日・・・。」
イルカは少し考えて「特に何も。」と答えた。
「何もって?」
「朝起きて洗濯掃除して、鍛錬とか術の勉強とか修行してる。」
「あとは?」
「食料品とか日用品の買出し。」
「・・・あとは?」
「時々、アスマ兄さまが食事に誘ってくれる。」
それだけ、ぽつりと言った。



「うーん。」
聞いていたカカシは、急に遣る瀬無さが押し寄せてきて、がしがしと頭を掻いた。
イルカの普段の生活は楽しくなさそうに思える。
以前にも、確か楽しいことはあるのかと聞いたことがあるが、その時の答えと、ほぼ同じだった。
「好きな食べ物は?」
「何でも食べられるよ。」
「嫌いな食べ物は?」
「嫌いなものでも食べられる。」
「休みの日に、お洒落とかしないの?」
「忍服しか持ってない。」
だんだんと頭痛がしてきたのは気のせいだろうか。
「じゃ、趣味は?」
最後の望みを掛けて聞いてみた。
「趣味?」
「そう、俺の趣味は本を読むこと。それから忍犬の散歩と昼寝。」
「俺の趣味は・・・。」とイルカは目を伏せた。


「ないかも。」
寂しそうな声だった。


食卓の上は、しーんとなり、二人の紅茶を啜る音だけが響く。
紅茶を飲み干したカカシは決心した。
「イルカ、今日と明日は俺んちにいなさいよ。」
「なんで?」
驚いた顔でイルカは聞き返てくる。
「なんでって、そんなんじゃ自分の家に帰っても、つまらないでしょうが。俺んちにいる方が楽しいよ。」
「つまらないとか、そういうことは考えたことないよ。」
イルカは真面目な顔をして言った。
「いいの、俺が決めたの。幸いアスマにはイルカが俺んちにいるって連絡してあるし。聞いたら俺もイルカも今日と明日は休みらしいから、グッドタイミングじゃん。」
「でも。」と渋るイルカにカカシは強気で宣言した。



「少しは人生、楽しまないと!」



朝と昼を兼ねたご飯を食べ終わるとイルカは後片付けを申し出て、きちんと片付けてくれた。
そしてカカシの傍に来る。
「楽しまないとって何をすればいいの?」
「それはねー。」
カカシは愛読書を手に取ると、ごろりと寝そべった。
「こうやって、好きなことをすればいいんだよー。」
「好きなこと・・・。」
「そうそう。」
考え込んだイルカをカカシは本を読む振りをしながら、横目で観察した。
正座したまま両手を膝の上に置き、居心地悪そうに眉を八の地にしているイルカは、到底、寛いでいるようには見えなかった。
「あのさ、せめて、横になれば?」
俺のように、とカカシは自分を指差す。
「う、うん。」
カカシの横に真似して寝転がったイルカは、どうしていいのか分からないのか困った風にカカシを見ている。



真面目すぎる・・・。
カカシは心の中で呟いた。
修行ばっかりしていると、こうなっちゃうのかなあ。
自分のことは、さて置き、少々悲しくもあった。



ふと外を見ると天気がよく、気持ち良さそうな風が吹いている。
「イルカ、外に行こうよ。」
カカシは起き上がるとイルカの手を取り引っ張った。
「散歩に行って、途中で何か食べて、何か買って、何かしよう!」
「何かって何?ちゃんと目的を持って、何を買うか決めて行った方が・・・。」
真面目すぎるイルカの意見だった。
「そんなのいいの、いいの。行き当たりばったり、気の向くままに出掛けた方が面白いって。」
カカシは何だか気持ちが浮き浮きとしてきた。


誰かと出掛けるなんて久しぶりだ。


カカシはイルカに、少し大きいが自分のラフな私服を着せ、ついでに括っていた髪も下ろさせると、カカシももまた、楽な格好をして外に出た。
思ったとおり、外は、いい陽気で、ぽかぽかしている。
イルカの手を引いて、カカシは散歩に出かけたのだった。





台風少年10
台風少年12




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