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台風少年10



※シリアス風味



イルカを追いかけたカカシだったが、その姿は程なくして見付かった。
夕闇の中、川の見える土手で膝を抱えていたのだ。
その瞳には川の流れを映していたが、ただ呆然と見詰めていると言った方が当てはまる。



後ろから静かに近づいてカカシは声を掛けた。
驚かすと、また逃げていってしまうかもしれない。
「・・・ねえ。」
顔を覗き込もうとすると、くるりと背を向けられた。
「・・・あのさ。」
再度、顔を覗き込もうとすると、くるりと背が向けられる。
ま、いいか、とカカシはイルカと背を合わすようにして腰を下ろした。
イルカに逃げる気配はない。

慎重にカカシは言った。
「・・・さっきの上忍、俺の知り合いでさ。」
「・・・・・・隊長のこと?」
イルカから、か細い声が聞こえる。 答えてくれたことに、ほっとしてカカシは話を続けた。
「全部、聞いたよ。任務先でのことと、怪我のことも。・・・命令違反したことも。」
「そう。」
短くイルカは答えた。
そこから感情を伺うことはできない。
「大変だったね。・・・色々と。」



暫し、沈黙が落ちた。
どこか気まずい空気が漂う。
「隊長は・・・。」
気まずい空気を破り、先にイルカが言葉を発した。
「隊長には申し訳ないと思っているんだ。俺が勝手なことをしたから・・・。」
「でも、イルカを心配していたよ。」
「・・・それだけ?」
「それだけって、それだけだよ。」
「そうか。」とイルカが大きく息を吐くのが背中越しに伝わってくる。
「じゃあ、肝心なことを隊長は言わなかったんだね。」
「肝心なこと?」
「うん。」
合わせたイルカの背中は少し震えていた。
「俺、命令違反して仲間を助けに行ったんだけど。」
声も震えている。



「その助けた仲間は死んじゃったんだ。」



夕闇は、いつの間にか夜の闇へとなっていた。
暗い川べりでイルカの声が淡々と響く。
「助けに行ったとき、ひどい怪我をしていたんだ。それでも、なんとか敵地から連れ出して隊長たちのところ戻ったんだけど、手の施しようがなくて駄目だった。」
カカシは、じっと黙って聞いている。
だからイルカは一人だけで帰還してきたのか、と思い当たった。
イルカの背中が寄り添うように、ぴったりと、くっ付いてくる。
助けを求めるように、何かも誰かに縋り付きたいのかもしれない。



「死に際を見取ってやれてよかったって隊長は言っていた。」
イルカの背中の震えは止まらない。
「その仲間は、最後に俺に『ありがとう』って言って、それで・・・・・・。」
それで、多分、亡くなったのだろう。
容易に想像できた。
忍者であれば、そのような場面に遭遇することは稀ではない。
カカシにも経験があった。
「俺のやったことって何々だろうって、ずっとずっと考えてた。良かったのか悪かったのか、正しかったのか正しくなかったのか解らない。」
カカシはイルカの告白を聞きながら、そろそろとイルカの横に移動した。



横に移動して肩を並べて座る。
イルカは、どこか遠くを見ていてカカシが移動したことに気づいてはいない。
カカシは震えるイルカの体に手を回すと自分の方に引き寄せた。
もう片方の手は、イルカの震える手を握ってやる。
イルカはカカシに、されるがままに素直にそれに従ってきた。
頭をカカシの肩に乗せて目を閉じる。

本当は誰かに寄りかかりたかったのかもしれない、イルカは、とカカシは心の片隅で思った。
強がって頑張って、決して諦めようとしないから。
イルカの声は、まだ震えていたけれど体の震えは徐々に収まってきていた。



「もっと俺が強ければ助けられたかもしれないのに。・・・強くなりたい。強くなりたいのに。」
どうやったいいのか解らない、とイルカは吐き出すように言う。
自分を追い詰めているようだ。
「もう仲間が死ぬのは嫌だ、でも忍者である限り、それは避けられない。それなのに仲間の死が受け入れられない俺は忍者として・・・。」
その先をイルカが言う前にカカシは、とんとんと軽くイルカの背中を叩いた。
「イルカ、目を開けて。」
苦しそうにイルカは目を開ける。
「ねえ、見てよ。」
カカシは夜空を指差した。
「星が綺麗だよ。」

目を、ぱちぱちさせながらイルカはカカシが指差した空を見上げる。
満点の星空だ。
きらきらと、星が輝いている。
「あの光り、一つ一つが星なんだよね。光りの数だけ星があるんなんて不思議だねえ。」
「星の光りを見ているとさ。」とカカシはイルカに語りかけた。
「自分の悩んでいることが、ちっぽけでくだらなく思えることが多々ある。」
そして肩を竦める。
「勿論、悩むのはくだらなくはないけれど、もう少し肩の力を抜いてもいいいかなあと、よく思うよ。」
まあ、俺、力を抜きすぎている時の方が多いけど。
茶化した風に軽い感じでカカシは言った。



「何もかも、いっぺんに片付けることなんて出来ないんだしさ。」
ゆっくりとやればいいんだよ、焦らなくていいんだよ、とカカシは言った。
「ゆっくり・・・・・・。」
イルカは、その言葉を繰り返した。
「そうそう。ゆっくりと考えて悩めばいいんだよ。どうしようもない時は誰かに助けを求めたっていいんだ。そうして前に進めばいい。」
カカシの言葉を聞いて力が抜けたイルカの体は、ぐったりとカカシに凭れ掛かってきた。



そのまま、二人して土手に座って星を眺めていたのだが、やがてイルカから静かな寝息が聞こえてきた。
眠ってしまったらしい。
やれやれ、と、やけに大人じみた笑顔をカカシは浮かべる。
「まだまだ、子供なんだなあ。」
自分も子供の域を出ていないくせに、そんなことをカカシは言うとイルカを安々と背に負って、夜道を家に向かって歩き出した。





台風少年9
台風少年11




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