それはいわゆる一つの恋愛感情 11
「カカシさん!」
火影室に現れたカカシをイルカは、にこやかに出迎えた
「お帰りなさい!任務から帰られたんですね!」
その間も尻尾は、しぴぴぴと上下に忙しく振られている
伏せられている耳も、伏せられながらも、ぱたぱたと動いてカカシに会えて嬉しいことを伝えていた
「こ、れは・・・」
犬の耳と尻尾が生えているイルカに驚きながらもカカシはイルカから目が離せない
めちゃくちゃ可愛い・・・
犬の耳と尻尾が生えたイルカに胸が高鳴っていた
忍犬使いであるカカシは犬の感情が表す動作をよく知っている
知っているからこそ、今のイルカのカカシに対する耳と尻尾がしている行為の意味も解った
イルカ先生は俺のことが好きなのだ、と
「あの、イルカ先生」
「はい」
カカシがイルカに話しかけてみると尻尾が何かを期待しているように動きが変わる
ゆっくりと振られて、構ってほしいと誘っているかのように
その様子にカカシは有ろうことか、くらり、ときた
余りの可愛さに、抱きしめたい!と切実に思う
任務明けで疲れていたところへの理性の箍が外れそうになるのを慌てて引き締める
「ええと、あのですね」
とりあえずイルカの手を握り、逃がさないように捕獲状態にしてからカカシは綱手に目を向けた
滅多にないイルカの可愛らしい姿に動揺して、沈着冷静なカカシの胸の鼓動が早くなっている
「ああ、その・・・、なんだな」
カカシとイルカを様子を目にした綱手は、カカシに事と次第を手短に説明した
「・・・ということでな、その耳と尻尾の効果はだいたい半日くらいで切れるらしい」
「そうですか」
「体にも副作用はないから大丈夫だ」
「そうですか」
「故意に飲ませた訳ではなく、あくまで事故みたいなもんだからな」
「そうですか」
説明を聞いている間カカシは、ぼうっとしたようにイルカを見ていて生返事ばかり返している
そんなカカシをイルカは心配そうに見つめた
「カカシさん、どうしたんですか?」
大丈夫ですか、と覗き込まれてカカシは、はっとした
「だ、大丈夫です、から」
「だったらいいんですけど」
イルカは未だ、カカシに手を握られていたのだが特に疑問に思っていないらしい
単なるスキンシップの一環と思っているようだ
「ええっとですね」
大きく息を吸い込んだカカシは綱手に言った
「あの、火影さま」
「ん、なんだ?」
「まあ、あのですね」
「だから、なんだ?」
「イルカ先生なんですが」
「・・・ああ」
「俺が連れて帰ってもいいですよね?」
一応、許可を得ようとしているものの、ほぼ断定的な口調であった
「こんな姿のイルカ先生を置いてはいけません絶対に、俺には無理です」
「ああ、いいよ」
脱力したように綱手は頷いた
「ええっ!」
それに、びっくりしたのはイルカであった
「な、なんでですか!どうして、俺がカカシさんと?」
「どうしてって、言われてもさあ」
「どうしてって言われても」
カカシと綱手は同時に溜め息を吐く
「その耳と尻尾が何よりの証拠だろうが」
「何の証拠ですか?」
きょとんとして綱手を見るイルカ
全く解っていないようであった
「ほら、この前のことだけどさ」
なんとなく憂鬱な顔をして綱手はイルカに言う
「カカシのことをイルカは好きだって言っていただろう?」
「あ、はい」
綱手は自分を指差した
「私のことは好きかい?」
「はい、好きです」
イルカの尻尾が、ゆらゆらと揺れる
「じゃあ、シズネは?」
「好きです」
またもや尻尾は、ゆらゆらと揺れた
綱手の時と同じように
「で、カカシは?」
「好きです!」
そう答えた時イルカの尻尾は、ゆらゆらとではなく、ぶんぶんと大きく上下に揺れた
「ほらな」
綱手がイルカの尻尾を指差した
「カカシのことを好きだって言った時だけ、尻尾の揺れ方が違うぞ」
「え、嘘・・・」
「嘘じゃないって、ものすっごく尻尾が強く振られている」
なあ?と綱手が傍らのシズネに訊くと「同感です」と首を縦に振る
「でも、そんなことないです」と首を横に振りながら否定するイルカにカカシは厳かに宣言した
「イルカ先生」
「はい」
カカシとイルカは見詰め合う
手を握り締めあいながら
「それは、いわゆる一つの恋愛感情なんです」
はっきりと言い切ったのだった
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