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それはいわゆる一つの恋愛感情 10



「これは・・・」
突然の自分の体の変化にイルカは目をぱちぱちとさせて、おそるおそる頭の生えた耳に触ってみた
「わー、柔らかい」
自分で自分の耳に触って和んでいる
「それに、ふわふわだ〜」
腰の下の方にある尻尾も、ふわふわとした毛が生えている
イルカが試しに尻尾を動かしてみると上下に、ゆっくりと振れた
「うわー、すごーい」
耳と尻尾の出現にイルカは面白そうにしている



「あー、それはだな」
綱手は、ごほんと咳払いをして眉を顰めた
「イビキが試作品としてもってきた試薬の効果なんだ、 改良型で服の上から尻尾が生えてしまう優れものだ」
「イビキさんが?」
綱手の説明にイルカが首を傾げた
強持てのイビキと可愛らしい犬の耳と尻尾が、どうにも結びつかなかったのだ
「なんでも苦痛を与えない尋問とやらを実行するために作ったらしい」
それと犬の耳と尻尾が何の関係があるのか
ますます訳が分からない
「つまり、尋問する相手にこの薬を飲ませて犬の耳と尻尾を生やす」
「はあ」
「犬は耳と尻尾で感情を表現するから例え、尋問する相手が嘘をついても 生えた犬の耳や尻尾の動きで嘘を言っているかどうか判るって寸法なんだと」
「なるほど」
道理は一応、合っている



「それで薬が試作できたから私のところに報告がてら持ってきて」
そのまま、忙しさにかまけて忘れていたらしく、 それをイルカが誤って飲んでしまったということなのだ
「でも」
イルカを見ていたシズネが呟いた
「これは失敗ですね」
「え、なんでですか?」
「だって」
何故かシズネは微笑んだ
その笑みは穏やかで癒されたと顔に書いてある
「イビキさんのアイデアは奇抜で斬新ですけど致命的な欠点が、今、判明しました」
「ああ、そうだな」
傍らの綱手も同意する
そして二人して声を揃えて言った
「犬の耳と尻尾が可愛すぎる!」



「これじゃあ、尋問なんて無理ですね」
「ああ、尋問なんてしたら、こっちが罪悪感が沸くよ」
綱手とシズネの二人は興奮したように口々に言っている
「この、ふわんとした犬の耳にきゅんとします」
「尻尾がくるんとしているところも愛らしいねえ」
徹夜明け特有のハイテンションなのか二人の勢いはとどまるところを知らない
「耳が、ぴくぴくと動いて超可愛いです!」
「ものすごく撫で繰り回したくなる気分になるねえ」
そんな二人が少しだけ怖くてイルカは一歩退く
当然、耳は伏せられて尻尾は垂れ下がっていた
犬が怖がっている時の仕草だ



「あ、そうだ」
そんなイルカを見てシズネは火影室の戸棚から何か持ってきた
にこにことしてイルカに何かを差し出してくる
また、変な薬か?と思ったのだがシズネの手の平には、 どこからどう見ても普通の饅頭が一つ乗っていた
「これ、どうぞ、美味しいですよ」
甘さ控えめです、とシズネが言う
本来イルカは甘い物が嫌いではないし、疲れていた時は甘い物が欲しくなる
なので饅頭がとても食べたくなってしまう
続けてシズネは言った
「ほら、あの有名なお店、老舗のお饅頭ですよ」
シズネが言った店の名はイルカも、よく知る店の名だった
和菓子が美味しいと評判の店だ
「いいんですか?」
イルカが尋ねると「はい」とシズネは答えて依然、にこにことしている
「ありがとうございます」
結局、イルカは饅頭を受け取った



そんなイルカを見た綱手とシズネは二人して「可愛い〜」と、うっとりとしている
「え、何がですか?」
意味が分からず二人を見つめ返した
「何がってイルカさんですよ」
弾むような口調でシズネが言う
「お饅頭を受け取る時、それは嬉しそうに耳と尻尾が動いていましたよ」
「えっ」
「嬉しいのが丸分かりで可愛くて和みます」
「そ、そうですか」
自分でも気づかないうちに犬の耳と尻尾は勝手に動いてイルカの意思とは別に感情を表していたのだ



その時だった
イルカの耳が、ぴんと立った
何かの音を察知したらしい
同時に尻尾も激しく上下に振られている
どうしたのだろう、と綱手とシズネが思った時だった
ばばーんと火影室の扉が大きな音を立てて開いた
そしてカカシの姿が、そこにあった
カカシの姿を見て、笑顔になるイルカ
にこにこ、笑っている
笑顔に比例するかのように尻尾は振られて耳は、ぺたんと伏せられていた
犬の耳は怖い時も伏せられるが、この場合は怖いのではなく嬉しくてしょうがない時の犬の感情を表している
イルカはカカシに会えて嬉しいのだ、とてもとても



カカシといえば・・・
犬の耳と尻尾をつけたイルカを凝視したまま動けずにいたのであった




それはいわゆる一つの恋愛感情 9
それはいわゆる一つの恋愛感情 11



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