AIで普通の動画を3D動画に変換する
ハイスペック専用サーバー
39周年!BIGサンクスキャンペーン


Slow Starter4



「ところでさ、イルカは何歳なの?」
イルカに装ってもらったご飯を口に入れながらカカシは質問した。
二人は今、朝餉を食べている最中だ。
「何歳に見えますか?」
既に三杯目のご飯を装ってイルカは食べている。
「そうだねえ。」
カカシはお茶を、ごくりと飲み干すと言った。
「十歳はいってるよねえ、さすがに。」
途端にイルカの眉間に皺が寄る。
「十歳!」
まさか、そんな年に思われているなどとは露ほど思っていなかったらしい。
「十歳なわけないでしょう。俺は、もう十六歳ですよ。カカシさんこそ、俺より年下だったりするんじゃないですか?」
「なわけないでしょう。」
なんとなく、むきになってカカシは反論した。
「俺は九月で二十歳で〜す。は、た、ち。」
ふふんと自慢げに言うとイルカは、ぷいと横を向く。
「そんなの自慢になりませんよ、人は、いつか二十歳になるんですから。だいたい、もう直ぐ二十歳とか言って、その眠たそうな目でやる気が皆無なのは覇気がなさすぎですよ。」
「覇気なんていらないもんね〜。」
「若者なんだから勢いとか元気があってもいいと思いますけど。カカシさん、若々しさから遠ざかってるじゃないですか。」
「いいのいいの、俺はイレギュラーなんで。」
憎まれ口を叩くカカシをイルカは軽く睨むと、ぼそりと呟いた。
「そんななのに、それでも、かっこ良く見えるなんて、ずるい。」
悔しそうなイルカを見て、何故かカカシは笑いが止まらなかった。



一頻り笑ったカカシにイルカは、むっとしたように言う。
「そんなに笑うことないでしょう。」
既に朝餉は終わり、膳は下げられていた。
「ごめんごめん。」
笑いすぎて出た涙を拭きながらカカシはイルカに謝った。
「だってさ、イルカが子供みたいで、あんまりにも可愛かったからさ。」
「俺は子供じゃありません。」
「分かった分かった。」
はいはい、とカカシはイルカの頭を撫でた。
「まあまあ、機嫌直して。ところで、ここは朝は風呂使えるの?ちょっと浸かりに行きたいんだけど。」
そう尋ねるとイルカは、ぱっと顔を輝かす。
「朝風呂も入れますよ。」
途端に嬉しそうな顔になった。
風呂が好きらしい。
「俺も行きますから、一緒に入りに行きましょう。」
機嫌は、とっくに直っていた。
うきうき、と入浴の準備をするイルカをみてカカシは聞こえないように言った。
「やっぱり子供で可愛いじゃん。」



朝の風呂は人けがなく、カカシとイルカの二人の貸切状態であった。
体を簡単に洗ったカカシは広い風呂に入った。
風呂は温泉を引いているようで、浸かっていると体の芯まであったまるのが分かる。
「ここの温泉て、肌にいいんですよ。」
イルカも体を洗ってから風呂に浸かった。
「温泉て、すごく気持ち良いですよね〜。」
「そうだねえ。」
非常に、のんびりとした空気だった。
ほかほかと湯気の立つ、風呂に漬かりながらカカシは、何のためにここに来たのか忘れてしまいそうになる。
イルカは肩までお湯に浸かって「いい気持ち〜。」と言いながら目を閉じて、ご機嫌だ。
カカシも、ゆっくりしたのは久しぶりで、安らかな気持ちになってくる。



「あ、でも、もう、そろそろ、上がって準備しないと。」
ざばあっと湯を体から撒き散らしながらイルカが立ち上がった。
「ターゲットと接触できる時間帯に差し掛かるんですよね〜。」
「あ、そうなの。じゃ、俺も上がろうかな。」
そして何気なくイルカの背中を見たカカシの視線は、そこに釘付けになった。
余り日焼けしていない、まだ小さな背中には火傷の跡が一面にあったのだ。
治りかけのようだが、見ていて痛々しい。
カカシの視線に気がついたのか、イルカが振り返った。
「どうしました?」
「・・・背中。」
「ああ、これですか。」
イルカは、何でもないことのように、さらりと答えた。
「開発中の起爆札の実験に失敗しちゃったんですよね。」
大したことないですよ、と笑顔で言う。
「ここで二週間、情報収集している間、温泉にも浸かれて、だいぶ、傷口は良くなりました。」
「・・・そう。」
「あ、俺、先に部屋に行ってますから。」
イルカが風呂から消えると広い風呂にカカシは一人になる。
「情報収集の任務をしてるのに起爆札の開発?」
いったい何者なんだ、と呟いた。



カカシが部屋に戻るとイルカは既に着替えていた。
忍服ではなく、少し大きめの半袖の服に、両膝が抜けたジーンズを履いている。
髪は、昨日、初めて会った時のように頭の天辺で結っていた。
「あ、お帰りなさい。」
部屋に帰って来たカカシを見てイルカは言った。
「もう、行くの?」
「ええ、まあ。今頃、起きてくる時間なんで。」
「今頃?」
朝と言える時間は、とっくに過ぎている。
「ターゲットは、ここの宿場町の一番大きな宿の一人息子で結婚もせず、ぐうたら、だらだらしてるんですよ。」
「へええ。」
ちょっと興味が出たカカシは聞いてみた。
「そんな奴から情報収集してるんだ?」
「はい。何でも、子供好きだそうで。子供でも男の子で十三、四歳くらいの子が好きなんだそうですよ。」
そう言われて見ると、イルカは十六歳であるが、もう少し下の年齢に見える。
カカシも、十歳を越えたくらいの年だと思ったほどだ。
イルカは自分の荷物の中味を忙しく改めながら言った。
「子供好きなら、早く結婚して子供を作ればいいと思いますがねえ。」
ねえ?とカカシにも同意を求めてきたが、カカシは頷けなかった。



それって、子供好きの意味が違う!
そういう趣向の人間だって!
激しく思ったが、子供好きの意味を自分と取り違えているイルカには言い出し難い。
そんなカカシを知ってか知らずか、イルカは言う。
「二週間掛けて、知り合いになって親密になったんですけどね、俺に恋人はいるのかって、しつこく聞いてくるので参ります。」
「・・・そりゃあ、聞いてくるかもねえ。」
カカシは眩暈を感じながら言った。
そして思った。
誰だ、イルカをこんな情報収集の任務に着けた人間は!
イルカは、あははは〜と何も知らずに暢気に笑っている。



「俺みたいな子供に恋人なんているわけないのにねえ。変なの。」
どうやら、イルカは恋愛の方面に関して完全に疎いらしい。
少なくともカカシは、そう思ったのだった。




Slow Starter3
Slow Starter5









text top
top