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Slow Starter3



「ねえ。」
カカシは二つの布団の敷かれた位置を見て素朴な疑問を抱いた。
「この布団の敷き方おかしくない?」
「そうですか?」
イルカは小首を傾げると「どこがですか?」と逆に聞いてきた。
「だって、俺の布団はいいとして。」

カカシの布団の位置は部屋の真ん中であったが、イルカの布団の位置はカカシの布団から一番離れるように部屋の隅の壁際に敷かれていた。
「普通、二人で寝る時って布団並べて寝ない?」
「あー、それですか。」
俺ですねえ、とイルカは恥ずかしそうに言う。
「壁際じゃないと寝れないんです。背中を壁にくっ付けて寝るのが習慣なんで。」
おかしな習慣だとは思ったが、人にはそれぞれ趣向があるのでカカシは、とりあえず納得した。
「そう。じゃ、これでいいよ。」
そうしてカカシとイルカは離れた場所で、それぞれの布団に入り、電気を消して眠りに就いた。



「いたっ!」
夜中、カカシは何かに蹴飛ばされて目が覚めた。
しかも顔だ。
「いってーな。」
蹴られた顔を摩りながら布団に起き上がると、枕の直ぐ横に細い足が、でんと転がっていた。
足を辿っていくと、その先にはイルカの体があった。
浴衣を肌蹴させて大の字になって気持ち良さそうに、すやすやと寝ている。
そんなイルカが寝返りをうつと、ひゅっと、もう片方の足がカカシの元に飛んできた。
カカシは、ぱしっと宙で足首を受け止めると、イルカは半分宙吊りのような体勢なるのに、それでもまだ目を覚まさないイルカをカカシは呆れ顔で見る。
離れた場所に敷かれた布団にイルカは寝たはずなのに、カカシのところまで転がってきたのだろう。
「寝相が悪いんだね。」
それでカカシに迷惑を掛けぬように布団を離れた場所に、別々に敷いたに違いない。



「しょうがないなあ。」
カカシは肌蹴たイルカの浴衣を直してやると元の布団に戻そうとしたのだが、イルカの布団は遠い。
おまけに眠い。
ふああ、と欠伸をしながらカカシは自分の布団にイルカを入れた。
小さい体だし、俺と寝てもそんな狭くないよね。
誰かと寝るのは久しぶりだ。
再び、襲ってきた眠気に身を任せカカシは目を閉じて眠ろうとしたのだが。



「いったーい!」
カカシは再び、イルカに蹴られた。
今度はカカシの脇腹にイルカの足がヒットしたのだ。
「なんという、落ち着きのない。」
本当に呆れたカカシはイルカを布団から追い出そうとしたのだが、ふと、あることを思い出してイルカを自分の胸に引き寄せた。

イルカを抱き締めて、自分の心音が聞こえるようにカカシの右胸にイルカの耳を当てる。
赤ん坊が母親の心臓の音を聞くと安心するというのを思い出したのだ。
暫くの間、そうしているとイルカの体から力が抜けていくのが分かった。
カカシの心臓の音でリラックスしているのか。
寝顔に幼さが感じられて、いったい、この子はいくつなのか、とカカシはそんなことを考えてしまう。
こんな子供に情報収集なんて任務させて大丈夫なのか、と。
暗闇で見るイルカの寝顔は安心に満ちていて、そんなイルカの顔を見たカカシもまた、満ち足りた気分になり自然と眠りに落ちていった。




「朝ですよ〜、上忍さんてば。」
ゆさゆさ、と揺すられて目が覚めた。
「上忍さ〜ん。」
子供の声がする。
「うーん、もう少し寝かせてよ〜。」
カカシは朝の光の眩しさから逃げるように布団に潜り込んだ。
「だーめですってば。」
ばっと布団が剥ぎ取られた。
「眠い〜。」
カカシは往生際悪く布団の上で丸くなった。
「起きてくださいよ〜。」
丸くなるカカシの上に馬乗りになった誰かは、更にカカシを揺さぶった。
「分かった、分かったから〜。」
渋々、カカシが目を開けると、そこには満面の笑みのイルカの顔があった。
「あ、起きた。」と嬉しそうにイルカは言うと「朝餉の用意が整っていますよ。」と湯気の立っているのが見える、部屋にある机の上を指差した。
「一緒に食べましょう。」と誘ってくる。



「はいはい。」とカカシは布団に起き上がり、頭を掻く。
そして言った。
「昨日、名前教えたでしょう。」
欠伸をしてから顔を顰める。
「その、上忍さんはやめてよ。」
違う響きに聞こえるから、という心の声は口に出さず、名前を呼ぶようイルカに要求した。
「でも、なんて呼べば・・・。カカシ上忍?」
「上忍はいらないから。」
「カカシ様?」
「様はいや。」
「カカシ兄さん。」
「兄さんは駄目。」
兄さんが一番、自然なような気がしたがカカシは何となく拒否した。
「カカシ殿?」
「そんなのいや。」
うーんと考えたイルカは、ぽんと手を打った。
「分かった!『貴方』ですか?」
あなたって、どこの新婚さんよ?
がっくりとカカシは肩を落とした。



「普通に名前に、さん付けでいいよ。俺もイルカって呼ばせてもらうから。」
年下だから、さんは省いた。
「じゃあ、カカシさん。」
「うん、イルカ。」
名前を呼んで呼ばれると何だか、とても新鮮だった。




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