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真実と嘘4



発った時と同じように深夜、火影の執務室でイルカは綱手と対峙していた。
違っていたのは、そこにカカシも一緒にいたことだ。
「あの、火影様、ただいま戻りました。」
イルカはカカシのことを考えると知らず声が小さくなった。
カカシの記憶のこと報告してないから、びくびくしてしまう。
「そうかい。お疲れだったね。」
綱手はイルカの顔を見て、何事かを確認するように目を細めると言った。
「あの変な術の効果は切れているね。よかったよかった。」と安堵の息を吐いている。
「シズネもコテツもイズモも出払ってしまって、私一人でどうしようかと思っていたところだよ。」
執務室の机の上の書類の山を苦笑いしながら、ちらりと見る。
「イルカが帰ってきてくれて、少しは仕事の案配がよくなるね。」
物凄く、ほっとしているようだった。



「あのう、火影様。」
おかしな術が解けたことが分かって安心したイルカであったが、他にも大変、気になることがあるのに綱手は触れようとしない。
「何だい、イルカ。」
「ええ、そのう、カカシさんのことなんですが。」
カカシはイルカの横に、ぴったりと張り付いている。
嫌でも目に入る状況なのに、綱手は何故、いつもと様子が違うカカシのことに触れないのだろう。
「カカシ?腕の怪我はだいぶ、良いように見えるが。」
「はい。怪我は良いんですが。そのことじゃなくて、実は。」

恐る恐るカカシの記憶のことを切り出すと、綱手は肩眉をぴくりと跳ね上げてカカシを、じろりと見た。
「記憶が曖昧、だあ?」
綱手に、じろりと睨まれてカカシは「怖〜い。」などと言いつつ、イルカの背中に逃げ込んだ。
「イルカさん、誰なんですか?この怖いおば・・・。」
カカシが言い切る前に、カカシの顔の横を何かが、すごい勢いで通過して行った。
通過した物の後を辿って背後を見ると、壁に文鎮が突き刺さっている。
本当に怖い。
イルカは冷や汗と掻きながら、事の顛末を話し出した。



「ふううん。」
訊き終えた綱手は、はあっと溜め息をついた。
憂鬱そうだ。
頬杖をついて遠くを見ている。
そして深い溜め息をついた。
「私はねえ、他人の恋路に首なんて突っ込みたくないんだよねえ。」
何か思い当たることがあるようだ。
「・・・えっと火影様?」
イルカは綱手の言っていることが、いまいち分からない。
「何で、私が人の恋の成就の手助けをしなきゃなんないんだい。自分に恋の影も噂もないのに、なんでなんだ。」
そんなことを、ぶつぶつ呟いている。



「イルカさーん。」
イルカの背中に隠れていたカカシがいつの間にやら、後ろからイルカに肩に手を回してイルカを抱え込むようにくっ付いていた。
「もう帰りましょう、つまらないです。」
「な、何言ってるんですか!火影様は里を統率する一番偉い方だって説明したでしょう?」
綱手の前で、無礼とも取れる態度を示すカカシにイルカは慌ててしまう。
「だって、俺はイルカさんと二人がいいんですもん。だって、恋人だしね。」
はっきりと、そんなことを言ってしまうカカシだ。
「こ、恋人って、それは、その。」
術が解けるまでの間のことだ、と言ってしまうべきかとイルカが迷った時に綱手が、すくっと立ち上がり、すたすたとカカシとイルカの方に来た。



「火影様?」
「カカシの記憶については少々、心当たりがあるのでね。」
言うが早いが、綱手はカカシの額を指で弾いた。
所謂、でこピンだ。
綱手の怪力で、額を弾かれたカカシは壁まで吹っ飛んでしまう。
「カカシさん、大丈夫ですか?」
イルカが急いでカカシに駆け寄ると綱手は手を、ぱんぱんと払いながら「手加減してやったから心配ないよ。」と言う。
「でも。」
それでも不安そうな顔をするイルカを見て綱手はカカシに声を掛けた。



「カカシ、起きろ。記憶は戻ったんだろう?」
むくり、とカカシは何事もなかったかのように起き上がった。
「あははは〜、見事に戻りましたよ〜。」
爽快な笑顔で応じている。
「自分で自分の暗示をかけて、態と記憶を曖昧にしたんだね?」
「そうです、分かりました?」
「分かるよ、それくらい。」
綱手は、やれやれと元の場所に戻り椅子に、どかっと腰を下ろす。



「なんで、こんな、ややこしいことしたんだい?」
「何でって、そりゃあ。」
カカシは横にいるイルカを見ると、にっこりと笑った。
「大好きな人を恋人にするためですよ。」
「やっぱりね。」と綱手は納得していたが、話の見えないイルカは一人、カカシを見て綱手を見て、またカカシを見る。
「あの、カカシさんは俺が掛かっていた、変な術の効果を受けていて、それで、恋人とかって言って・・・。」
そこでカカシと綱手は声を揃えて言った。
「そんなわけないでしょ。」
「そんなわけないだろ。」
「じゃ、じゃあ、なんで?」
混乱、という言葉が今のイルカには最も相応しかった。



真実と嘘3
真実と嘘5








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