AIで普通の動画を3D動画に変換する
ハイスペック専用サーバー
39周年!BIGサンクスキャンペーン


真実と嘘3



「そんな大事なこと、何で、もっと早く言わないんですか?」
イルカに問い詰められるとカカシは、へらりと顔を緩ませて笑った。
その顔には安心感が満ちている。
自分の置かれた状況に一顧も疑問を持っていないような感じだ。
「だから、イルカさんがいるからいっかなあ〜と思ったんです。」
「なんで!」
「だって、イルカさん、俺のこと何でも知っているみたいだし、イルカさんがいれば何にも心配ないと思ったんだもん。」
確かにイルカは久しぶりに人に会えた嬉しさで、カカシにあれやこれやたくさん話をした。
どちらかというとイルカが話す一方でカカシは主に聞き役だった。
カカシからイルカに何かを話すことはなかったような気がする。
イルカさんと呼んだのも、記憶がなかったからに違いない。
おまけにカカシは、こんなことも言った。



「目覚めて、一目、イルカさんを見たときから俺のハートはどきどきしっ放しです。」
「な、にを?」
すごーく嫌な予感がしてイルカはカカシから目を背けようとしたのだが失敗した。
イルカの両手を、がっしりと握ったカカシの、キラキラと眩しい輝きを放つ瞳に捕まったのだ。
「イルカさん、あなたが好きです。あなたがいてくれれば、他にもは何も要りません。」
一目惚れです、と告げられた。
「一目惚れですが、俺たち、きっと結ばれる運命にあるんです!」
この状況は前にも、一度、あった。
イルカにおかしな術をかけた敵の忍者の言動に、よく似ていた、というよりも、そっくりだ。



カカシのキラキラと輝く瞳から目が離せないまま、イルカは心の片隅で思った。
あの、おかしな術の効力が、まだ切れていなかったんだ・・・。
二週間経つ前に誰かに会うべきじゃなかったんだなあ。
火影様のいうことを、ちゃんと聞いて置けばよかったと思ったのだが、後悔先に立たずである。
がっくりと肩が落ちた。
おまけにカカシは所謂、記憶喪失に近い状態のようで、事態は非常にややこしいこと、この上ない。



記憶が曖昧なまま、イルカが掛かったおかしな術の効力を受けて、誤解が誤解を生んでいる。
「どうしよう。」
カカシに両手を握られたままでイルカは途方に暮れた。
「火影様に何て言おう。それにカカシ先生の記憶はどうやったら戻るんだ、そんでもって。」
明らかにカカシの瞳には、メラメラと恋の炎が宿っている。
「おかしな術は、どうしたらいいんだろう?」
これが一番の問題だった。

自分ではどうにもならない。
綱手にカカシの状態を報告して、どうにかしてもらうしかない。
怒られるだろうなあ。
イルカは綱手に怒られるのを覚悟して、カカシを連れて里に戻ることにした。



念のために人に会わないような時間帯を見計らって里に帰ってきた。
カカシは大人しくイルカに付き従い、始終、にこにこと笑顔だ。
無邪気に笑う姿は可愛らしくて仕方がない。
記憶が曖昧なのを置いといてもカカシはイルカに、よく懐き甘えてくる。

里までの帰り道、休憩した時も、自分に体をぴったりを寄せてきて、くっ付いてくるカカシを好ましく思いながらイルカは、子供にするようにカカシの頭を撫でた。
「カカシ先生って本当は、ものすごく可愛かったんですねえ。」
「カカシさんって呼んでほしいです。」
記憶が曖昧なカカシには上忍師としての先生の記憶がなかったので、先生と呼ばれることに抵抗があるらしい。
「はい、分かりました。カカシさん。」
そう呼ぶと満足そうに擦り寄ってくる。



「イルカさん、大好きです。」
おかしな術にかかったために、自分にこんなことを言ってくるのだと分かっていても、元々、親しい仲なので悪い気はしない。
だから、イルカもカカシの頭を撫でながら言った。
「俺もカカシさんのことが好きですよ。」
「本当に俺のこと、好きですか?だったら、すごく嬉しいです。」
少しも疑っていない目をしてカカシは期待に満ちた顔をして聞いてくる。
「ええ、あの、でも。」
友達をしてですけど、と続けようとしてカカシに遮られた。
「じゃあ、恋人になってくれる?」
「こ、恋人?」
こんな状態で恋人になってくれると言われても、とイルカは困惑する。
普通のカカシではないのだ、術に操られているのに。
おまけに、だ。
「俺たち、男同士ですけど・・・。」
控えめに主張してみるとカカシは、頑として言い放った。



「愛に性別は関係ありません。」
「はあ。」
「二人が愛し合っている事こそが重要なんです!」
「・・・そ、そうなんですか。」
「はい!」
自信満々なカカシに、それ以上逆らうことはできず、術にかかっている間だけのことだから、とイルカは思い了承した。
「・・・俺で良かったら、恋人に。」
恋人という言葉はなんとなく恥ずかしさを感じる。
知らず、頬が熱くなった。
「やったあ!本当ですね!」
イルカの言葉を聞いてカカシは大喜びしている。
「俺たち、今日から恋人ですね!」
「あ、はい、そうですね。」
なんとか笑顔を作ってイルカは、ぎこちなく頷いた。



どうせカカシに掛かった、おかしな術が解ければ、この関係はなくなる。
恋人なんて、嘘の関係は消滅してしまうのだ。
当たり前のことなのだが、そのことを考えるとイルカの胸は、ちくりと針が刺さったような痛みを覚えたのであった。



真実と嘘2
真実と嘘4







text top
top