AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する
ハイスペック専用サーバー
39周年!BIGサンクスキャンペーン


真実と嘘2



「どうしよう。」
血の気の失ったカカシの顔を見て、イルカは迷った。
「俺、二週間は他の人と接触してはいけないんだけど。」
だけども、そんなことは言っていられないようだ。
カカシが怪我をして倒れている。
体も冷たくなっていて息も細い。
ここに置いて行くわけにはいかないだろう。
ましてやイルカには、そんなことはできなかった。

カカシとは教え子を通じて知り合って、今では結構、仲がいい。
よく飲みに行ったり食事をしたり、休みが合えば一緒に過ごしたりしている。
「もう、二週間くらい経ったし。」
イルカはカカシの手を肩に回して、よっこらしょ、と立ち上がった。
「きっと術の効果は切れている、と思う。」
多分、カカシさんは上忍だし大丈夫だろう、とイルカは自分に言い聞かせて、まずはカカシを助けなければと一番に心に思った。



とりあえず、里に怪我したカカシの保護した旨の一報を入れてイルカは自分が寝泊りしている粗末な小屋にカカシを寝かした。
額に手を当てると少し熱があるようだ。
腕の怪我は左程、深くはなく安心する。
怪我の処置をして包帯を巻き、沢から汲んできた水で額を冷やす。
「カカシ先生。」
苦しげな息を吐くカカシをイルカは心配そうに見つめた。
早く快復しますように、とそう願う。
自分がおかしな術にかかって、のんびりしている間にもカカシは里を守るために任務に出て負傷したのだ。
情けないな、自分は、とイルカの身に起こったことをを悔やみつつ、カカシの看病を一心不乱にしたのだった。



幸い、カカシは上忍であり鍛えられた強靭な肉体を持っていたため、快復は早かった。
次の日になると、自ら目覚めて寝床から起き上がり、イルカに向かって、にっこりと微笑んだほどだ。
イルカはカカシの看病のために傍らに付き添い、カカシの額の冷たい布を何度も替えつつ、睡魔に負けて、いつの間にか眠ってしまっていたようだった。
気がつくとカカシの寝床に突っ伏して寝ており、目覚めたカカシに起こされたのだ。

「カカシ先生!起きたんですね。俺はイルカです、分かりますか?」
頷いたカカシの顔色が良くなったのを見てイルカは嬉しくなった。
「だいぶ、良くなったようですね。」
「はい、体調の方はかなりいいです。」
「本当ですか?良かった!」
人と話すも久しぶりでイルカは更に嬉しくなる。
「倒れていたので心配したんですよ。あのカカシ先生が倒れているなんて驚きました。」
「あなたが助けてくれたんですね。」
カカシは透明な輝きを放つ瞳でイルカを見つめる。
「助けたってほどではありませんが。」と少々イルカは照れくさくなった。
「多分、カカシ先生のほどの忍者なら俺の助けなんて不要だったかもしれないのですけれど。」
「でも。」とイルカは目を細めて、にこりとする。
「カカシ先生が無事で何よりです。」
そう言うイルカの笑顔をカカシは眩しそうに眺めていた。



イルカがカカシの一報を里に入れてから、半日して式が返ってきた。
そこには簡潔に、イルカが二週間したら里に戻るのと一緒にカカシを連れてくればいい、と書き記されてあった。
怪我の具合も酷くなければ、イルカが適当に面倒見てやってくれ、と綱手は言ってきたのだ。



「じゃあ、明日、カカシ先生と一緒に里に帰ればいいのか。」
ほっと一安心したイルカはカカシに里からの知らせを告げた。
「カカシ先生。」
「はい。なんでしょう、イルカさん。」
目覚めたカカシは何故か、イルカのことをこう呼んだ。
普段はイルカ先生と呼ぶのに、今はイルカさんと呼ぶ。
最初に「イルカさん。」と呼ばれた時にイルカは擽ったそうに肩を竦めた。
しかし、イルカは特に疑問を持たなかったようだ。
「時々ですが、俺もカカシ先生のことカカシさんって呼んでいますし。偶に呼び方が違うと新鮮ですね。」
そんな風に捉えていた。



「あ、今、里から伝達があって、カカシ先生の帰還は俺と一緒でいいそうです。」
「そうですか。」
カカシは素直な感じで微笑んだ。
「帰るまでは怪我人のカカシ先生を俺が、お世話をしますので。」
いいですか?とカカシに了承を求めると、カカシは嬉しそうに目を細めた。
「イルカさんにお世話して貰えるなんて嬉しいです、とっても。」
「・・・そうですか。」
「はい。」
カカシは力強く頷く。
「すごく心強いし、それに一緒にいられるなんて夢のようです。」
「・・・なら、いいんですが。」
いつものカカシと違うと、どこか違和感を感じたのだが、そんなことは人恋しさの前に吹き飛んでしまった。

久しぶりにあった人間、それも親しい仲のカカシである。
話し出すと話は尽きなかった。
イルカが話せばカカシが楽しそうに聞いてくれるし、その顔を見れば話は止まらない。
二週間分の話をカカシにしたような気がした。



そして、あっという間に次の日になり、里に帰る日になった。
「じゃ、行きましょうか。」
荷物を背負ったイルカは、身支度を終えたカカシを振り返る。
「木の葉の里まで、そう遠くはないので、半日もあれば着きますよ。」
怪我の方は大丈夫ですね?と念と押す。
「はあ、怪我はもういいんでけど。」
そこでカカシは首を傾げた。



「木の葉の里って、どこですか?」
「・・・・・・え。」
「これから俺たち、どこに行くんですか?」
「・・・・・・何、言って。」
呆気にとられたイルカにカカシは追い討ちをかける。
「実は、俺、イルカさんに助けられる以前の記憶が何だか曖昧なんですよね〜。」
暢気に告白し始めた。
「自分の名前も生地も身分も経歴も、よく思い出せなくて。」
「・・・ちょっと、あの。」
「どうしようかな〜と、ちょっとだけ悩んだんですけど〜。」
イルカを見てカカシが無邪気に、にこりと笑う。
「イルカさんがいるから、ま、いっかー、と思ってね。」
カカシの告白を聞いていたイルカの肩が、ふるふると震えた。
「イルカさん?」
「・・・ま、いっかー、じゃねっー!」
静かな山の中にイルカの怒鳴り声が響き渡った瞬間だった。



真実と嘘1
真実と嘘3








text top
top