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至難のわざ4



目が覚めて気がつくと傍らにカカシがいて微笑んでいた。
「あ、起きた。大丈夫?あれから、少し熱が出ていたんだよ。」
鎮痛剤の効き目が切れちゃったみたいでね〜、とのんびり言う。
倦怠感が残る体をイルカは、ゆっくりと起こした。
見慣れない部屋にいる。



寝かされているベッドは誰のものだろう?
それに着替えをさせられているけど、このパジャマ、やけに大きい。
訳の解らぬことばかりでカカシを見ると、にこりとされる。
「ん?どうしたの。」
「あの、ここ、どこですか?」
「俺んち。」
「・・・なんで?」
「怪我をしていたから。」
どことなく会話が噛み合わない。



怪我と言われて、足の腱が切れたのを思い出して、布団を捲って右足を見てみると包帯が巻かれて、丁寧に処置がされていた。
誰がしたのだろうか。
怪訝そうな顔をしているイルカに、カカシは温かいお茶を差し出した。
いつの間にか、お茶の準備をしていたらしい。
「あ、どうも。」とお茶を受け取って一口、飲むと気分が落ち着いた。
そして、カカシに聞いてみた。
「あの、この足の怪我、誰が?」
「病院で診てもらったんだよ、腱は切れてなかったって。転んだ時の体勢がおかしかったか、単に打ち所が悪くて痛んだじゃないかって、お医者さんが言っていたよ。だから、ちょっと安静にしていればすぐ治るって。」
「そうなんですか・・・。」
イルカは、ほっとした。
痛みはあったけど、すごく痛かっただけだったのだ。
転んだとっても正面から、すっ転んだんだけなのに、思い出すと恥ずかしいが。。
でも、と、ある疑問が浮かんだ。



「どういう経緯で、俺はここにいるんでしょうか?」
何ゆえ、カカシの家にいるのか判らない。
「ああ、それはねえ。」
事も無げにカカシが言った。
「入院するほどでもない怪我だし、送ろうにもイルカの家はどこだか知らないし、だから俺んちに連れて来たの。」
カカシは自分の分のお茶を飲みながら話す。
「俺、しばらく里にいるし、怪我が治るまで、うちにいたらいいよ。」



「え・・・。ええっ!」
急な展開にイルカは驚いてしまう。
だって、会ったばっかりの人間を怪我をしているかという理由だけで家に泊めたりするか、普通・・・。
普通、しないよな。
それにとイルカは考える。
自分は怪我をしているし、怪我をしているということは必然的に、その怪我の世話も付随してくるということだ。
初対面の相手に、いくらなんでも迷惑掛けすぎだよ。
「あの、俺・・・。」
自宅に帰りますから、と言おうとしたイルカの言葉をカカシは見計らったように遮った。



「小さい子供が怪我をして、家に一人じゃ大変でしょ。」
カカシは、どことなく浮かれているように見える。
「俺、子供の面倒さ、一度見てみたかったんだよねえ。」
楽しそうにしていた。
「俺が家に一人って、どうして知っているんですか?」
「ああ、イルカの報告書を代わりに出しておいた時、聞いたんだよね。」
「そうだったんですか。」



総てが繋がり、納得がいった。
つまり、カカシはイルカを背負って里まで運んで足の怪我を病院で医者に診せて、尚且つ、イルカの報告書も出してくれて、そこでイルカが一人暮らしなのを聞いて、自分の家に連れて来たのだ。
忍服は濡れていたので、着替えさせてくれたのだろう。
少し大きいのはカカシのパジャマだからで、ということはイルカが寝ていたのはカカシのベッドだ。


そこまで行き着いてイルカは、茶を飲み干した湯のみを傍らに置いて、ベッドの上で正座は無理だったので居住まいを正してカカシに丁寧に頭を下げた。
「色々、ご面倒をお掛けしてすみませんでした。それに、ありがとうございます。」
「いーのいーの。」
カカシは、ちょっと驚いていたが、下げているイルカの頭を、よしよしと撫でた。


「子供は、そんなこと気にしないの。」
優しい声に釣られて顔を上げると優しい顔が、そこにはあった。
そして、名を呼ばれる。
「ね、イルカ。」




そこで名前を呼ばれて、恋に落ちたといってはアレだけど、憧れに似た淡い恋心のようなものが芽生え始めたのかもしれないんだよなあ。
イルカは言葉にすると長い回想を、実は短い時間で終わらして、真面目に受付け業務をしていた。
受付け業務の傍ら、途切れ途切れ思い出す。
で、まあ、結局、成り行きでというか、カカシさんちに厄介になることになったんだっけ。
カカシさん、怪我をして動けない俺に、何くれとなく面倒見てくれていたよな〜。
俺のことも子供扱いして、やたらお菓子を買ってきてくれたのが印象に残っている。
それに、イルカがカカシの名を呼ぶとカカシは、ひどく嬉しそうな顔をしていた。
カカシさんカカシさんって、まるで子供が親を呼ぶように、何度も呼んでいたっけなあ。



嫌いになれってことは、呼び方も変えなきゃいけないんだろうな。
出逢ってから、カカシさんって呼んでいたけど、時にはカカシ先生って呼んだりしてさ。
そんなことを考えてイルカは哀しくなる。
なんて呼べばいいんだろう、やっぱり、はたけ上忍・・・かな。
俺のことも出逢ってから、ずっと呼び捨てだったけど、アカデミーの先生になってからは先生を付けて『イルカ先生』と呼んでくれていた。
それが気に入ってくれていたようだったけど、それも変わるのかな。
悩んで考えて、気が滅入ってしまったイルカは、知らず知らずのうちに深い溜め息が出てしまっていたのだった。



至難のわざ3
至難のわざ5




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