食堂で 4
あれ以来、イルカが食堂に来ない。
あれ、とはカカシが他の人間と食堂で昼食を摂って以来と意味だ。
カカシは苛苛としながら、毎日一人で昼食を食べていた。
イルカの好物を聞いていたので、昼食はイルカの好物を選び、イルカに食べさせたいと思っていたのに。
カカシの方は準備万端なのにイルカの方がいないのだ。
つまらないし、楽しくない。
それに美味しくない。
どうしてイルカは食堂へ来ないのだろう。
何か怒らせるようなことをしたっけ?
思い当たることといったら、イルカのことを御座なりしてしまい他の人間と食事をしたことだ。
でも何故、イルカが怒るのだろう。
そして、あの時何故、イルカが自分の処へ来ると思ったのだろう?
カカシは解らなくて、深々と溜め息をついた。
「何、食べようかな。」
イルカは久しぶりに食堂に来ていた。
給料日前の一週間は、財布の中身が寂しくなるので弁当を持参して凌いでいる。
今日は給料日だったので、ちょっと良い物食べようと思い食堂に来たのだ。
でも、食堂でのメニューで贅沢しようとする俺って・・・。
少し物悲しいものを感じるイルカだった。
結局、いつものホットケーキにクリームソーダを追加しただけ。
クリームソーダは先日ナルトが美味しそうに嬉しそうに飲んでいて、自分も飲みたくなったのだ。
何かナルト絡みばっかりで恋人の出来る気配なしだな・・・。
独り身のイルカは、いっそうの物悲しさを感じた。
まあ、いいかとイルカは気を取り直してトレーに昼食を取り、近くのテーブルに座ろうとしたのだが。
大声で自分を呼ぶ声が聞こえた。
「イルカ先生。こっち、こっち。」
何事かと、ぎょっとして見るとカカシであった。
そして食堂に居る全員に、どうしても注目を浴びてしまう。
一気に冷や汗が出るイルカ。
カカシ先生、どうしたんだ?
「ここ、ここ。空いてますよ。」
指差すのは自分の前の席。
他にも空いている席はたくさん有るというのに。
そこに座らないといけないのか?
結論は出ているのに葛藤するイルカであった。
イルカが席に座るや否やカカシは質問してきた。
「何で食堂に来なかったんですか?」
「え?」
責めるように言われてイルカは焦る。
俺、責められてる?
「俺、ずっと待っていたんですよ。」
待ってって・・・約束なんてしたっけ?
「もうイルカ先生以外と食べたりしませんから。」
・・・何の話?
「イルカ先生、聞いてますか?」
カカシに問われてイルカは慌てて頷いた。
「あっ、はい。あの、でも・・・。」
「じゃあ、食べましょうか。」
カカシはイルカの答えを聞いて満足したようだ。
にこにこと満面の笑みを顔に貼り付かせている。
話の展開が早くて付いていけない。
イルカは何だかカカシの真意を聞くのが怖くて、話の真相の追求を諦めた。
でも、まあ、いいかな。
穏やかな空気が流れたことに安心する。
イルカはホットケーキを一口食べた。
あれ?
美味しい、この前は味気なかったのに。
もう食べ飽きたと思っていたのになあ。
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