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花の咲く色 6



「く、苦し・・・」
余りにもカカシさんが力を込めて抱きしめるので息が出来ない。
呼吸困難。
しかも背骨がボキボキ鳴って、痛い。
体が万力で締められるような・・・。
「い、痛い〜」
悲鳴のような声を上げるとカカシさんが「あ、ごめんね」と抱きしめる手を緩めてくれた。
はあはあ、ぜいぜいと肩で息をする俺。
死ぬかと思った、いや本当に。
「痛かった、イルカ先生」
背中に回った手は俺の背中を優しく摩ってくれる。
「感動の余り、力の加減が出来なくて」
「そ、それはいいんですが、あの・・・」
自分の置かれた状況を思い出して、俺は焦った。
「離れないと・・・。離れてください」
カカシさんの胸を押したのだが、カカシさんは俺から離れようとはしない。
「えー、ヤでーす」
「そんなこと言わないで」
早く事態を収拾しないと、と焦りまくる俺。
周りの人の目が気になって、しょうがない。
こんなことしていたら、完全にバレるじゃないか。
カカシさんに抱きしめれたまま、ジタバタしていたら億劫そうな声がした。
「カカシよー」
アスマ先生の声だ。
「もう、俺たち帰っていいか・・・」
受付所で聞いた疲労感の滲んだ声に、更に疲労感が上乗せされている声だった。
「暴走したら、どんな手を使ってもいいから止めてくれって言われたから、残っていたが」
もーう、いいだろ?と。
「うん、もういいよ」
ありがとねー、協力してくれてとカカシさんは満面の笑みで上機嫌。
「俺たちが帰るから」
「あ、そーかい」
がっくりと項垂れたアスマ先生が印象的で、ちょっと可哀想だった。
理由はよく解らないが、カカシさんに頼みごとされて巻き込まれて。
「さ、行きましょ、イルカ先生」
カカシさんに連れられて控え室を出るとき、俺は思わず頭を下げていた。
「すみません、ご迷惑をお掛けして」
「いや、いいってことよ」とアスマ先生は言って、手を振ってくれた。



カカシさんに手を引かれて、とことこと夜道を歩いて行く。
「あ、あのっ」
俺は話しかけずにいられなかった。
「いいんですか?」
「何がです」
話しながら歩くカカシさん。
「あのまま、控え室を出てきてしまいましたけど、弁解しなくて」
「弁解?」
足を止めたカカシさんは、くるっと振り向いた。
「弁解って何を?」
不思議そうな顔をしている。
「誰に何を弁解するの?」
「何って、その」
言葉に出すのが恥ずかしくて、俺はごにょごにょしてしまう。
「えっと、俺が『好きな人』って言っちゃったので、そのう」
何か言うの照れるな・・・。
「俺の好きな人がカカシさんだって、みんなに知られちゃったんじゃないかなって」
それと付き合っているってこともだ。
思い出すと、この場で座り込んで顔を隠して乙女じゃないが「きゃー」とか言いたくなってくる。
そのくらい、恥ずかして照れくさい。
「ああ、そのことですか」
俺の心配を他所にカカシさんは、あっさりと言う。
「そのことなら心配無用です」
再び、俺の手を引いて歩き出した。
「誰も何も言いませんから」
そうなの?なんで?と訊きたくなったのだがカカシさんは「それよりも」と足を速めた。
「早く家に帰りましょう、二人きりになって話をしたいです」
話って、何の話だろう。
着いた先はカカシさんの家だった。



「あ、ここ・・・」
「俺の家です」
玄関の鍵を開けて、扉を開けて中に入る。
カカシさんの家って、あんまり来たことがない。
専ら、俺の家で生活しているからなあ。
その方が俺が便利なので、カカシさんが俺に合わせてくれている。
有り難いことだ。
カカシさんの家は綺麗だった。
任務に行っていたのに、掃除が行き届いている。
いったい、誰がしているんだろう・・・。
「あ、イルカ先生。ちょっと待っていてもらえます?」
カカシさんは冷蔵庫から飲み物を出すと、俺の前に置いてくれた。
「俺、ささっとシャワーを浴びてきますから」
「あ、はい。どうぞ」
そういえば、カカシさん、任務から帰ってきたばかりだったな。
「待っていてくださいね、帰ったら駄目ですよ」
絶対に居てくださいね、と念を押してカカシさんはシャワーに行ってしまった。
少しすると浴室から、ザーザーと水の音が聞こえてきた。
何だか、ほっとして俺は飲み物を飲んで、一息ついたのだった。



あっという間に出てきたカカシさんは忍服じゃなくて、浴衣を着ていた。
自宅では浴衣の人なのか〜。
俺の家ではパジャマだけど。
カカシさんの浴衣姿に俺は、うっかり見蕩れてというか、見惚れてしまった。
浴衣姿を見るのは夏以来。
胸元ちらりで、普段は見えない鎖骨が見えてしまうカカシさんは何と言うか・・・。
やっぱり、セクシーだ。
大人の色気っていうヤツが滲み出ている。
当たり構わず、色気を撒き散らしている。
・・・すごい人だなあ。
「ん?どしたの、イルカ先生」
「いえ、何でもないです」
ぶんぶんと首を振って、コップに入っていた飲み物を飲み干した。
顔が勝手に火照ってくるのが止められない。
「あ、そうだ。イルカ先生もシャワーしてきたら?」
カカシさんが勧めてくれたので、これ幸いとこの場から逃げ出す。
「着替えは置いておきますから。洗い物は洗濯機に入れておいてね」
「はーい」
「イルカ先生がシャワーしているあいだに、ご飯作っておきますから」
「はーい」
俺が返事をすると俺のお腹も同時に、グーッと鳴って返事をした。



「ご馳走様でした」
カカシさんの作ってくれたご飯をお腹いっぱい食べてしまった。
任務に行っていたカカシさんの冷蔵庫に、これだけの食材があったなんて謎だ。
いつ、買い物に行ったんだろう・・・。
「美味しかったです、ありがとうございました」
「いえいえ、イルカ先生のためなら、いつでも喜んで作りますよ〜」
家に帰ってきてからカカシさんは、ずっとご機嫌だ。
任務の疲れはないのかな。
「片付けは俺がしますから」
疲れているはずのカカシさんを休ませたくて、食器洗いを申し出た。
「ん〜、じゃ、お願いします」
肩をコキコキと鳴らしたカカシさんは眠そうな目をしている。
「カカシさん、寝室に行っていてください。すごく眠そうですよ」
「そうしようかな〜」
そう、カカシさんは寝るべきで。
話があると言っていたけど、一晩寝てからでもいいんじゃないかなあ。
疲れを取ることが先決だと思う。
「待っているから来てね、イルカ先生」
片付けが終わったら。
そして片付けを終わらせて寝室を、そっと覗くとカカシさんは目を閉じていた。
寝息が聞こえる。
疲れて眠っちゃったんだな。
忍び足でベッドに近づく。
カカシさんは、すやすやと寝ていた。
まるで子供みたいな寝顔で。
「ふふ・・・」
思わず、笑いが漏れてしまう。
だって寝顔が、とても可愛い。
手を伸ばして、少しだけ頭を撫でてみる。
起きる気配はなく、ぐっすりと眠っているみたい。
・・・ま、今日のところは帰るとするか。
カカシさんの肩まで布団を掛けて、もう一度、カカシさんを見て。
俺は寝室を後にしようとした。
「どこに行くんですか」
急に低い声が聞こえて、びくっとなる。
下を見ると寝ていたはずのカカシさんが目を開けて、俺を見ていた。
カカシさんの澄み切った目が綺麗。
「ひゃっ」
見つめていたら、足を触られた。
俺もカカシさんから浴衣を借りて着ていたのだけど、その浴衣の裾を割ってカカシさんの手が入ってきて、悪戯に俺の脚を撫でたのだ。
さわさわさわ〜と太腿を触られて、くすぐったくて堪らない。
「や、やめてくださいって、くすぐったい〜」
笑いながら、浴衣の裾を押さえてカカシさんの手の侵入を防ごうとせめぎ合い。
不意に手が引っ込んだ。
と思ったら、ぐいと腰に腕が回って、ぐるりと体が一回転して気がついたときにはベッドの上で天井を見ていた。
そして、カカシさんは俺の上に乗り上げて。
俺を見下ろしていた。
カカシさんの目は綺麗なだけじゃなくて、何かを狙っているように鋭くて。 それに・・・。
それに壮絶に色っぽくてセクシーだった。
危険な匂いがするセクシーさ。
今まで俺が思っていたカカシさんのセクシーさとは一線を画す感じで。
真のセクシーって、こういうことを言うのかと今、正に実体験している俺がいた。






花の咲く色 5
花の咲く色 7




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