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花の咲く色 3



「ん・・・」
起きて伸びをするカカシさんは、今日も上半身裸で。
やっぱりセクシーに見える。
もう九月も終わろうとしているのに、上半身裸で寒くないのだろうか。
俺は今日も、やっぱり布団の中から顔半分だけ出してカカシさんと見ていた。
じーっと見つめすぎたのか、カカシさんが俺の視線に気がついた。
「どしたの、イルカ先生」
俺の額に落ちていた髪をかき上げて、額に唇を押し付けてくる。 「朝から難しい顔して」
つんつん、とカカシさんが俺の眉間を突付いた。
「カカシさん」
「なあに」
「上に何も着なくて寒くないんですか?」
するとカカシさんは嬉しそうな顔になる。
「俺のこと心配してくれてるの」
嬉しそうな顔で、また額にキスされた。
「嬉しいなあ」とにやけながら。
「大丈夫ですよ、イルカ先生と寝るとあったかいから」
そんなこと言っている。
「イルカ先生を抱きしめながら寝ると寒くないですし、安眠できますからね」と。
そんなもんかな・・・。
「さ、イルカ先生も起きて」
「ご飯作ろうっと」とカカシさんがベッドを離れて。
いつもの朝が始まった。



「今日のお迎えなんですけどね」
カカシさんが朝、分かれるときに申し訳なさそうに言った。
「行けそうにないんです、子供たちの任務の後に個人的な任務が入っていたのを忘れてました」
「そうですか・・・」
個人的な任務って、ランクの高い任務なんだろうな。
怪我なんてしなきゃいいけど。
それが顔に出たのか、カカシさんが俺の手を、きゅっと握ってきた。
「そんな顔しないでください、危ない任務じゃないですから」
ちょっと行って帰ってくるだけです。
「なので、夕飯は先に食べていてください。夜半過ぎには帰れると思いますから」
「はい」
「居間で転寝なんてしないで、寝るならベッドで寝てくださいね」
「・・・はい」
カカシさんがいないときは何やかやで遅くまで起きていてしまう。
で、気がつくと居間で寝ていたりするのだ。
俺の行動パターンをカカシさんは、よく知っている。
「じゃ、イルカ先生、気をつけて行ってらっしゃい」
「カカシさんこそ、気をつけて」
任務には危険が付き物だし。
「平気ですよ」
カカシさんは目を細める。
「イルカ先生の処へ、俺は帰ってきますから」
そう言って、俺の頬を撫でた。



夕方。
一人で帰るのは久しぶりだ。
いつも隣にカカシさんがいるのが定番になっているからなあ。
カカシさんが隣にいるのに慣れてしまっている。
里中の、店が立ち並び賑やかな場所を歩きながら俺は一抹の寂しさを覚えた。
・・・カカシさんがいないから。
家に帰っても一人だしな。
どこか寄り道でもして帰ろうかな、と思って矢先、本屋の看板が目に入った。
本屋さんか。
何か面白いものでもあるかもしれないと店の中に入ってみた。
久しぶりに入った本屋は色々な本があって、面白かった。
店の奥の方にはカカシさんの愛読書が山積みになっていたりして。
カカシさんは躊躇いもなく、あの本を買うのかな・・・。
勇気あるなあ、と思いつつも人前で読んでいるのだから買うのも読むのも大差ないのかな。
暫く、本屋の中をうろうろしていた俺は、ある雑誌が目に入った。
男性向けのファッション誌。
表紙には何やら文字が書いてある。
手にとって見てみると、セクシーに見える服の着こなし方、とか何とか。
セクシー・・・。
現在の俺の密かな研究課題だ。
これを読んだら、セクシーについて何か解るかもしれない。
俺は普段は買うことのない雑誌を試しに買ってみた。



家に帰って簡単に夕飯食べて、風呂に入って。
買ってきた雑誌を読んでみた。
ぺら。
ページを捲ると、カッコいい服をきたモデルさんらしき男の人がたくさん。
ぺらりぺらり。
セクシーな服の着こなし方について、講釈が書いているページもあって読んでみたが、ぴんとこない。
それに。
この雑誌の中でカカシさんより、カッコいい人は誰もいない。
カカシさんのように、セクシーに見える人もいない。
服の着こなし方や合わせ方は勉強にはなるが、何か俺の求めるものと違う。
うーん・・・。
とりあえず最後まで読んでみて、もう一度最初から読んでみる。
セクシーについては、また後で考えるとして、洋服の方に見入ってしまった。
ファッション雑誌だし、色んな洋服が載っている。
「あ、これいいかも」
カカシさんの似合いそうな服に目がいく。
「これもカカシさんに似合いそう」
カカシさんが着たら、きっとカッコいい。
「これとか、これも。あ、これも」
別の意味で雑誌を見るのが楽しくなってくる。
「カカシさん、何を着てもカッコいいんだから、もっと色々な服を着ればいいのになあ」
忍服も似合うけれども、私服のカカシさんもいいんだな、これが。
「俺がカカシさんの服、買っちゃおうかなあ。夜、寝るとき用の服も」
目星をつけた服に付箋を貼って印を付けて。
気がつくと俺は眠ってしまっていた。
起きたのはベッドの布団の中だったけれども。



朝、いつも通りに起きてカカシさんがいるのに安心する。
「おはようございます、お帰りなさい」
布団の中で言うと置き出す前だったカカシさんは俺のことを、ぎゅっと抱きしめた。
「おはよう、イルカ先生。ただいま〜」
「昨日は遅かったんですか」
「まあまあ、遅かったかな」
言ってからカカシさんは俺の額に自分の額をくっ付けた。
額と額が、ごっつんこ。
「昨日は、また居間で寝てましたね」
う・・・。
「あれほど、ベッドで寝てねって言っておいたのに。居間で転寝したら、疲れとれないし風邪ひきますよ」
「ごめんなさい」
素直に謝った。
電気も点けたままだったから反省。
「カカシさんがベッドまで運んでくれたんですか?」
俺を。
「そうですよ、俺しかいないでしょ。俺じゃなかったら、大問題ですよ」
それはまあ、そうだなあ。
「ありがとうございます。俺、重いのに」
「ぜんぜん、余裕ですよ。イルカ先生の一人や二人や三人や四人」
「いえ、俺そんなにいませんから」
「そうですね、俺のイルカ先生は一人でいいです」
朝から恥ずかしくなるような台詞を、あっさりと言うカカシさん。
・・・俺には決して真似できない。
「さ、朝ご飯にしましょ」
すっとカカシさんがベッドを出て行ってしまう。
俺も欠伸をしながら、ベッドを出た。
そんでもって居間に行くと昨夜、読んでいた雑誌がテーブルの上に、きちんと閉じて置いてあった。
付箋もそのままで。
ぎくぎくっ。
昨日はページが開きっぱなしのまんまだったような。
カカシさん、見たのかな・・・。
ものすごく焦って慌てて、俺は雑誌を通勤カバンの中に押し込んだ。





花の咲く色 2
花の咲く色 4




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