2.指切り
「パックーン。」
カカシは自分の忍犬を探していた。
お使い頼んだだけなのに、どこに行ったんだろう?
里内で迷子になるなんて、よもや有り得ないし。
迷子になっていたら忍犬失格じゃん。
そんなことを思いながらも心配になって探していたのだ。
「あ!」
パックンを探していたカカシの目に飛び込んできたものがあった。
イルカだ。
結った黒髪を揺らして笑いながら歩いている。
「そうなんだ?面白いね、パックン。」
楽しそうな声が聞こえる。
ずっと聞いていたくなるような響きを持っている声だ。
でも。
「パックン?」
その言葉を聞き改めて、よくイルカを見ると腕の中にパックンがいた。
イルカの両腕に抱えられて、これでもかと尻尾を振っている。
何でそんなところに?
俺はお使い頼んだだけだろう?
歯痒い気持ちにカカシはなる。
俺だってイルカと話したいのに自分だけなんて狡いじゃないか。
じっと見ていたカカシの視線に気がついたのかイルカがこちらを見た。
黒い瞳がカカシを射る。
「あ。君は・・・。」
イルカが何か言う前にパックンが口を開いた。
「なんじゃ、カカシか。どうかしたのか?」
どうかしたかって、それはこっちの台詞だ、と思いながらもカカシはイルカの瞳に中てられて声が出ない。
「そういえば、お使いの途中じゃったな。」
パックンがぴょーんとイルカの腕の中から飛び降りる。
「またな、イルカ。」
「うん。またね、パックン。」
イルカがヒラヒラとパックンに手を振る。
随分と仲が良さそうだ。
思わず、心の中で歯噛みしそうになる。
そんなカカシにイルカが瞳を向けてきた。
「あの。今度は君も一緒に会わない?」
「え?」
「パックンが心配なんでしょう?一緒に会えば安心だと思うんだけど。」
「あ、ああ。そうだね。」
突然のイルカの申し出にカカシは上手く話せなかった。
しかし、カカシの了承を得てイルカはホッとしたようだ。
「良かった。じゃ、約束の指切り。」
無邪気な笑顔のイルカがカカシに細い小指を出してきた。
気づかれないよう、カカシはゴクリと唾を飲み込み自分の小指を差し出す。
手は震えていなかった。
拳万、とイルカは指を切る。
「じゃあ、またね。」
手を振ってイルカは去っていった。
イルカが去った後、カカシは小指を見つめる。
指切りしちゃった、イルカと。
約束しちゃったよ、また会おうって。
今になって指が震えてくる。
そして、どきどきしてくる心臓。
胸が少し苦しい。
「カカシ?」
パックンが不思議そうに見上げてきた。
「気分でも悪いのか?」
「気分はいいよ、でも胸が苦しいんだ。」
更にパックンが訝しげに見てきたが、カカシは気にせず歩き出した。
ふふふふふ、と笑いがこみ上げてくる。
次に会う時までに上手く話す練習しておかなくちゃね。
そうそう、次こそ勝負だ。
頑張れ、自分。
何を応援したいのかカカシは自分でもよく分からなかったが、そんな気分であった。
1.切っ掛け
3.飴玉
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