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まあ、でもと俺は思い直した。
病院に来た時点で治療のために服を脱がされているんだし、しかも誰が脱がしたかも不明だし、そんなに嫌がっても、はたけカカシに悪いと思ったのだ。
せっかく親切でしてくれているのに。
親切を無にしてはいけないし、嫌がっては申し訳ない。
考えを改めた俺は大人しく、はたけカカシに身を任せることにした。
しかし!
はたけカカシは見かけによらず不器用だった・・・。
一個目のボタンは上手く外れたのだが、二個目から怪しかった。
ぶちっ。
「あ!」
ボタンが取れた。
ひゅるる〜。
「げ!」
ボタンが部屋の隅に飛んでった。
どんだけ握力が強いんだ、この人。
握力ってか指力?
上忍だけのことはあると変なところで感心してしまったのだが寝間着は病院からの借り物。
後で看護師さんに謝っておかねば。
はたけカカシは困ったような顔して頭を、がしがしと掻いた。
頭をがしがしは癖なのかもしれない。
「すみません」
はたけカカシは謝った。
「ちょっと緊張しちゃって」
緊張?
そういや、さっきも白湯を飲ますのに失敗した時『緊張して』とか言っていたな。
もしかして意外に人見知りな人なのか?
・・・の割には初対面にも等しい俺に、こうやって色々してくれるのは何故なのか。



ようやく全部のボタンが外れて、今度は寝間着の上を脱がされる。
はたけカカシは俺の上半身を、そうっとそうっと起こした。
途端に体に走る鈍い痛み。
ずきずきして痛い。
俺は知らず、顔を顰めていた。
「あれ?イルカさん」
俺の顔を見た、はたけカカシは焦る。
「あ、痛かった?ごめんね、どうしよう」
どうしようって・・・。
もういいですからと言いたかったが痛みが持続していて伝えることは困難だった。
「そうだ!」
はたけカカシの顔が、ぱあっと明るくなった。
何かを思いついたらしい。
「ちょっと待っててくださいね」
も一度、そうっとそうっとベッドに戻される。
看護師さんに連絡してもらえるのか、と俺が思った時だった。
はたけカカシの手が素早く印を結び、どろんと煙が立ち上ると、そこにはもう一人の、はたけカカシがいた。
本体と、そっくりそのまま同じ容姿のはたけカカシ。
そう影分身だ。
見事なまでの影分身。
病室には、はたけカカシが二人に俺一人・・・。
いったい、はたけカカシは何をするつもりなんだろう。
とっても嫌な予感がした。



要するに。
はたけカカシは一人では困難な俺の着替えを二人なら出来ると考えたのだ。
その証拠に二人掛かりで着替えをさせられた。
二人のはたけカカシに。
いや、はたけカカシは実際には一人なんだけど。
一人のはたけカカシが俺の体を抱きかかえ、もう一人のはたけカカシが慎重に俺の服を脱がしていく。
・・・・・・なかなか、お目にかかれない光景だぞ、これ。
火影さまの孫の口調をまねてみる。
はたけカカシが二人掛かりで男に着替えをさせているんなんて、これ。
それとも、逆か?
俺が男二人に着替えをさせてもらっているなんて、これか。
それほどまでに、まあ、俺はこの事態に混乱していたのだ。
声が出たら多分、おそらく、絶対に俺は言っていた。
「着替えなんていいですから」
病院の人にしてもらいますから気を遣わないでくださいって。
声が出ないことが、これほど、じれったく感じたのは後にも先にも、これきりだ。
二人で着替えさせてくれたから体に痛みを感じることはなかったけれど心に痛みを感じてしまった。
・・・同性である男に着替えを、こんな風にしてもらうなんて。
なんていうか一番近い感情は屈辱的・・・な感じ。
動けない体の分際で我が侭も贅沢もしちゃいけないと分かっているのだが。
よく知らない人に着替えをさせてもらうのは気持ちが付いていかなかった。
頭の中で、あれこれ葛藤していた俺だったが、はたけカカシは二人になると実に手際よく着替えを進ませていた・・・。
「あ、ちょっと!そんな風に触ったら痛いでしょ、気をつけろよ」
「そっちこそ、ちゃんと支えろって。イルカさん、顔を顰めているじゃない」
今、顔を顰めているのは痛みが原因ではない。
「やってますー。イルカさんが痛がっているのは、そっちが悪いからだ」
「いーや、そっちのが悪い。イルカさんは俺の方が痛くないって目で言っているよ」
「そんなことないだろ。イルカさんは俺の方がいいって言うに決っている」
「違う、イルカさんは俺がいい」
「何を言う、イルカさんはなー」
・・・なんか変な喧嘩している。
どうでもいいから早く着替えを終わらせてほしい。
どっちもいいとか悪いとか言ってないし。
だって、どっちも同一人物ではたけカカシだろう。
何を言い争っているんだ。
よく分からん。



で、着替えが終わった時には俺は、ぐったりと疲れていた。
ここ二週間ばかり寝ていたので体力が大幅に落ちていたのが原因でもある。
治ったら体力、取り戻さないと駄目だな、こりゃ。
何も食べてなくて点滴だけだし。
疲れきって目を開けていられない。
一応、はたけカカシにお礼を言いたかったのに。
ありがとうございますって。
一人に戻ったらしい、はたけカカシは俺をベッドに静かに横たえた。
「ごめん、イルカさん」
小さな声。
「疲れさせちゃって」
体に、ふわっと何かが覆い被さってくる。
布団かな?
包まれている感じでは布団だろう。
あったかくて、ほっとした。
同時に眠くなる。
ああ、次に起きるのはいつだろう。
体が少しでも治っていたらいいなあ。
はたけカカシも俺に構ってないで自分のことをしたらいいのに。
忙しい人だろうになあ。
そういや、と俺は夢うつつで思った。
声が出るようになったら、はたけカカシのことを何て呼べばいいのかな。
フルネームをそのまま呼ぶのはマナーに反する。
無難に、はたけ上忍か?
カカシさん、ってのは幾ら何でもないだろうしなあ。
上忍と中忍の間柄だもの。
そうして、うつらうつらを眠りに落ちていったのだが。
落ちる直前に耳元で低い声が聞こえた。
「髪、長いんですねえ」
何者かに、さらりと髪を触られたような気がしたのだった。




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