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★オリキャラ注意



そいつは、暗闇の中で顔だけ浮かべて、にこにこしていた。
不気味だ・・・。
木の枝で倒れた俺を、つんつんと突付いている。
これは何だ?と言わんばかりに。
「ねえねえ、なにしてんの〜?」
口調がむかつくのは何故だろう。
「起きて〜、ねえねえ、起きて〜」
辞めろ、と言いかけたのが閃光が、ぱっと俺の頭の中を駆け巡った。
悪魔は、まだ言っている。
「寝てないで遊ぼうよ〜」
遊ぼうよ〜・・・。
まるで幼い頃の俺の口調そっくり。
「ねえってば〜」
・・・・・・幼い頃の話だ。
俺の両親は忍だったから任務に行ってしまうと一人で留守番することも多かった。
ある日のことだ。
任務に行った両親不在で家に一人、庭で遊んでいた。
小枝を持ってアリンコとか草木を突付いて遊んでいた。
一人で話をしていていた、誰もいないのに。
そんな俺に誰かが返事をしてくれたのだ。
「はあーい、カワイ子ちゃん何してんの〜?」
軽い調子の浮ついたチャライ感じの声。
本人も、そのまんまだった。
そのときの容姿は今と変わらない。
俺は返事をしなかった。
知らない人と話しては駄目と言われていたから。
そしたら、そいつは「無視すんなよ〜」なんて言いながら一歩踏み出してきた。
どてっ。
見事に転んだ。
足が縺れて、顔面から受身も取れずに、べしゃっと。
最高に格好悪かった。
格好悪く転ぶ選手権があったら一位なるくらいの転びっぷりだった。



多分、それで警戒心が解けたんだと思う。
俺は持っていた小枝で、そいつを突付きながら言ったんだ。
「ねえねえ、起きて〜。起きて遊ぼうよ〜、ねえってば」
それが、こいつとの最初の出会いだ。
今、はっきりと思い出した。
悪魔はニヤリとした、悪魔らしい笑みで。
「思い出したようだな」
「ああ」
「まあ、とにかく起きなさいよ、寝ていたら危ないでしょ」
誰かの口真似をしたみたいだった。
「うん」
よっこらしょ、と起き上がって胡坐をかいた。
「よしよし」と悪魔は頷く。
「その先は思い出したのかい?」
「いや、まだ」
ちょっと待てと手で制してから記憶を辿る。
額に手を当てて目を閉じた。
「そう、こけて転んで無様だった」
「・・・それはいーから」
「転んだまま、しばらく起きなくて。起きたと思ったら確か・・・」
こう言ったはず。
「お前の寿命を百年伸ばそう、だから転んだことは誰にも言うな」
俺が言うよりも早く悪魔が言ってしまった。
「そう、それ」
口封じされたんだっけ。
「やっと思い出したんだなあ」
悪魔は、やれやれといった風情だ。
「思い出したんだからいいだろ」
そういやあ、そんなこともあったなあ、懐かしい。



とりあえず、あはは〜と笑って頭を掻くと悪魔は頭を横に振る。
「その分じゃ、ま〜だ全部思い出してないな〜」
「全部?」
その先もあったけか?
うーんと腕を組んで考えてみるが、どうも曖昧だ。
「なんか、遊んだような記憶はあるけど」
「ちょっと当たり〜」
悪魔はもったいぶっている。
「早く教えろよ」
「それはねえ」
するすると悪魔が暗闇から出てきた。
暗闇に手をかけて全身が這い出てきたのだ。
シュールな絵面だ。
悪魔は出てくると胡坐をかいている俺の横に膝をついた。
「子供のイルカはこう言ったんだよ〜。じゅみょうってなあに?ってね」
ふふ、と悪魔が今度は人間らしく笑った。
懐かしむように。
「それでね、甘えてきたんだ」
悪魔は楽しそうだ。
「そんなのいらないから、それよりも抱っこ〜ってね」
「う・・・」
恥ずかしい。
子供の頃の自分を人の口から語られるって、ものすっごく恥ずかしいものだなあ。
俺が赤くなっているのにも構わず、悪魔は語る。
「悪魔の中の悪魔、この大魔王の俺の申し出を断って、それよりも抱っこなんて言われたのは初めてだったな」
悪魔は、にこっと笑った。
「でも、その時点でイルカには既に寿命百年授けていたし、取り上げるのも大人気ないか、いや悪魔気ないかと思って、そのままにしておいたのさ」
ん?
ということは・・・。
「え、それって」
「イルカの寿命は本来の寿命に百年プラスされているってことだぜ」
つまり。
「つまり、イルカの寿命は百年余計にあったわけ。100オーバーしているの、オーバー100ね。だから変なこと考えるのは時間の無駄」
すっかり忘れていた、そんな重要なことを。
そっか、俺の寿命は100年もオーバーしていたのか・・・・・・。



「ふむ」
悪魔は立ち上がると考え込むように手で顎を触った。
どこからか生あたたかい風が吹いてきて悪魔の長い黒髪がそよいでいる。
「予定調和が狂ってきているな」
あらぬ方向をみて独り言を言っている。
真面目な顔だ。
「元に戻すの面倒だが戻しておかないと後々、もっと面倒になるな」
いったい、何があったんだ?
呆然と見ていると悪魔が座って俺を見下ろした。
「イルカも少し巻き込まれたんだったな」
「え?」
何のことだ。
「この前、非現実的な出来事に遭遇しなかったか?」
聞かれたので考えてみると思い当たることがある。
「ああ、うん。あった・・・」
あの黒髪の教え子のことだ、絶対に会うはずはないのに会った。
「やっぱりなあ」
悪魔は肩を落とした。
「大きな流れが変化する兆候があるもんなあ、渦が巻き始めているから制御しないと、あちこちに歪みが出る」
ぶつぶつ訳分からんことを言い始めている。
まあ、悪魔には悪魔なりの仕事があるんだろう・・・ということにしておいた。



あーだこーだと一人で呟いていた悪魔は肩を竦めて溜め息を吐いた。
珍しい。
「まー、いいか。どうにかなるだろ、俺は大魔王だから」
俺を見る。
「じゃー、イルカ」
何が、じゃーなんだ、全く脈絡がない。
「送るよー」
「どこに・・・」
ぐるん。
世界が回ったような気がした。
船酔いみたいに胸がムカムカしている。
吐きそう、気持ち悪い。
口元を押さえていると声がした。
「イルカ先生!」
この声は。
「大丈夫?」
覗き込んできたのはカカシさんだった。
そんで場所はカカシさんの部屋。
頭の中には悪魔の声が響いている。
・・・・・・・・・ヒントをあげてもイルカが思い出さないから思い出させてやったんだー、感謝しろよー。
感謝しろって何なんだ?
・・・・・・・・・くよくよくよくよ悩んでないで男なら素直になって当たって砕けて玉砕しろー粉々になれー、ネバーギブアップー。
感謝しづらいアドバイスだった。





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