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ピピピ、と音がしている。
目覚ましか・・・。
でも俺の家の目覚ましは、もっとやかましいはず。
買い換えたっけ?
まどろみの中で、ぼんやり考えていたら音が止まった。
隣で誰かが、がさごそと動いていて温かさが逃げていく。
温かさが逃げていくのが惜しくて俺は隣の誰かに体を寄せた。
あー、あったかいなあ。
いい心地〜。
また、眠りに落ちていく。
このまま、ずっと寝ていたいなあ。
「ふふ」
小さな笑い声がした。
「イルカ先生、かわいいねえ、ほんと」
楽しそうだ。
「かわいいかわいい」
額を撫でられて・・・。
ふわっと何かが額に触れた。
羽のように柔らかくて、ふんわりとしたもの。
それは、すぐに離れていった。
「まだ、眠たいの?」
耳元で囁くように訊かれて俺は夢うつつで、目を閉じたまま、こくこくと頷いた。
眠い、まだ眠い、すっごく。
「そう・・・」
困ったような声。
「じゃあ、仕事は休みますか?」
仕事・・・。
そうだ、今日は休みじゃない。
俺は勢いよく、がばっと跳ね起きた。



「あ、起きた」
横を見るとカカシ先生。
俺を見て、にこりと笑う。
男前は朝から爽やかな笑顔だ。
「おはよう、イルカ先生」
ふわっと額に先ほどの感触が襲ってきた。
微かに、ちゅっと音がしたりして・・・。
俺は、これまでになく目を見開いていた。
今、カカシ先生、何をした?
動けずにいるとカカシ先生は、さらりと言う。
「おはようのキスですよ〜」
「・・・・・・キ」
ス・・・・・・。
「な、なんで?」
思わず、額を押さえる。
カカシ先生は、にやっと笑った。
「イルカ先生と一緒のベッドで寝て、最初の朝を迎えたんですから、これくらいの役得はないと〜ね」
聞く人が聞いたら、変に誤解されるような言い方だ。
にこにこしながらカカシ先生はベッドから、するっと抜け出した。
「顔を洗ってらっしゃい、タオルは適当に使ってください。その間に朝食を簡単に準備しますから」
あ、着替えは洗濯機の中から出してね、乾いているからと指示されて俺は従った。 おはようのキス云々は後で考えよう。
俺のキャパシティが追いつかない。
だけど、あれだ。
おはようのキスは、そんなに嫌じゃなかったな・・・。
危険な思考かもしれないがどっちかっていうと、毎朝してほしい、ような気がした。



そんなことを思ってしまった自分に、まず驚いた。
びっくりした。
だってさあ、男の人にキスされて毎朝してほしいって・・・。
変、だよね?
・・・うん、変だ、絶対変だ。
冷たい水で顔を洗うと、すっきりとした。
変なことを思ったのは、きっとカカシ先生の雰囲気に飲まれたからだ。
顔を洗って、ふーっと息を吐く。
落ち着け落ち着け。
借りた寝間着を脱いで洗濯機の中から自分の服を取り出す。
服は、ちゃんと乾いていた。
ほのかにあたたかい。
着替えているとカカシ先生の声がした。
「イルカ先生、ご飯食べましょー」
「はーい」
俺は返事をして、とりあえず下だけ着替えて洗面所を出た。



洗面所を出るとテーブルの上に朝飯が用意されていた。
簡単な、と言っていたのに一汁三菜の豪華な朝飯。
焼き魚なんて、いつの間に焼いたんだ。
カカシ先生を見ると既に忍服に着替えていた。
色々、素早い。
カカシ先生は俺を見て明らかに、ぎょっとした。
視線が、うろうろして突然、挙動不審に。
どうしたんだ?
カカシ先生は「こほん」と咳払いをした。
「イルカ先生」
「はい」
「服着てください」
「・・・ああ」
そういや、上半身は裸だった。
「目の毒ですから。いえ、イルカ先生が、その格好でもいいなら俺もいいんですけどね」
何を言っているんだ、カカシ先生は。
訝しく思いながら服を着ようとしたら、つつつと裸の背中を指でなぞられた。
「わっ!」
びっくり仰天して振り向くと、たった今まで向かい側にいたカカシ先生が後ろにいた。
ドキドキドキ。
瞬間移動か!
「傷、もう痛くないですか」
心配そうな声に我に返った。
「え?ええ、はい」
「痕、残ってしまいましたね」
悲しげな声色だった。
カカシ先生が言っているのは俺の背中の傷跡のことだ。
教え子を庇った時にできた傷。
別に気にしていない。
ただ、漸く治ったばかりなので傷跡が新しくて目立つのかもしれない。
背中だから自分では見えないけど。
「目立ちますか?」
聞いてみるとカカシ先生は頷いた。
「結構ね」
「そうですか」 まあ、仕方あるまい。
俺はカカシ先生の視線を避けるように服を着た。



それから朝飯をいただいてカカシ先生の家をカカシ先生と出た。
「一緒に出勤ですね」
カカシ先生はうきうきしている。
嬉しいらしい。
借りた寝間着は洗って返そうとしたら断られた。
「また来た時に来てくださいね、イルカ先生のですから」だって。
・・・俺、またカカシ先生の家に泊まりに来るのかなあ。
外に出ると晴れていた。
青い空に白い雲。
気持ちがいい。
ぐーっと伸びをする。
昨夜は熟睡したので疲れはとれていた。
それもこれも、みんなカカシ先生のお陰だ。
俺は礼を言った。
「カカシ先生、ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして」
カカシ先生は微笑んでいる。
「ご迷惑をお掛けしてしまって」
「迷惑だなんて思っていませんよ」
やんわりと否定された。
「俺、イルカ先生が好きですから何でもしてあげたいんです」
・・・俺は聞こえないふりをする。
「でも働きすぎは気をつけてくださいね」
「はい」と答えたものの、俺は予感していた。
これから、忙しくなるだろうなあって。
だって、もうすぐ中忍試験だ。
待ちに待った中忍試験。
しなければいけない準備が、たくさんある。
たくさんだ。
気が重くなったが中忍試験では更に気が重くなるようなことを待ち構えていた。
カカシ先生との意見の食い違いで口論になってしまったのだ。
しかも大勢の前で。
感情的になりすぎた俺の大失敗であった。



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