AIで普通の動画を3D動画に変換する


over100−25



カカシ先生は俺の手を引いて、ずんずんと歩いていく。
俺の荷物、通勤用の鞄をいつの間にか持っていたりして・・・。
いつ、持ってきたんだろ、ってか何でそれが俺の荷物だって知ってんだろ?
「あのですね、カカシ先生」
手を引っ張られながら俺は訴えた。
「ご心配していただけるのは有り難いんですけど」
もう大人だから世話を焼いてもらう必要はないです、と言ったらカカシ先生がすごい勢いで振り返った。
「今、なんて言いました?」
「えっと、世話を焼いてもらわなくてもいいって・・・」
カカシ先生は怖い顔をしている。
控え室から出て随分とあるいていた。
人けがなく外灯も少ないので辺りは暗い。
その中で怖い顔しているカカシ先生はひと際、怖かった。
出ている片眉が釣りあがっている。
怖くて思わず、謝ってしまったほどだ。
「・・・す、みません」
「何を謝っているんですか」
「それは」
カカシ先生が怖いからとは言えない。
「なんとなく」
「なんとなくでイルカ先生、誰にでも謝っちゃうの?」
呆れたような声が聞こえた。
「そういうんじゃないですけど」
俺だって、むやみやたらに謝ったりしない。
「なんていうか、その、あの」とごにょごにょいい訳していると、ふっとカカシ先生の雰囲気が和らいだ。
「まあ、俺も悪かったですね。イルカ先生に必要ないって言われて、かっとなっちゃって」
カカシ先生が照れたように頭をかく。
「いえ、俺もすみませんでした・・・」
今度は明確な意思を持って謝った。
俺の不用意な一言でカカシ先生を傷つけたんだなって分かったから。
カカシ先生は何も言わずに俺の頭を撫でてくれた。



で、カカシ先生の家に成り行きのままに連れて行かれた。
上忍の家にお邪魔するなんて初めて緊張する。
「あー、イルカ先生、適当に座っていてねー」
って言われても、どこに座ったらいいんだろうか。
カカシ先生の家はシンプルで寝室とキッチンの二間な造りだった。
一軒家じゃなくてアパートタイプの家で、俺が住んでいるのと同じ感じだ。
珍しくて、きょろきょろしているとベストを脱いで額宛も取って寛いだ状態になったカカシ先生が奥の寝室から出てきた。
「イルカ先生、お風呂にする?ご飯にする?」
「え」
なに、それ・・・。
新婚家庭で聞くような台詞だな〜。
ぼんやりしていたら俺の返事を待たずにカカシ先生が、てきぱきと動き始めた。
「ま、イルカ先生は先に風呂がいいですよね〜。その間に飯、作りますからね〜」 風呂?飯?
カカシ先生が俺を洗面所兼脱衣所みたいな場所に押し込んだ。
「風呂は、もう出来てますから入っていいですよ、ゆっくり浸かってきてください」
「あ、はい」
「着替えは後で置いておきますからね〜」
カカシ先生は、やけにうきうきとしていた。
扉が閉められて俺は取り残される。
「風呂・・・」
風呂場の戸を開けると立ち込めていた白い湯気が出てきて、その向こうにあったかそうな湯船が見えた。
風呂に入りたい。
誘惑には勝てなかった。
人様の家の風呂だけど湯に浸かりたい。
あったかい湯に浸かったら、どんなに気持ちいいだろう。
心身、共にあったまること間違いない。
・・・なんて考えていたら、もう湯に浸かっていた。
「はああ〜」
気持ちがいい。
体中から疲れが抜けていくよう気がする。
それにカカシ先生の家の風呂の浴槽は広くて、手足が伸ばせる。
「いいなあ、こういう風呂」
俺んちは狭いからなあ〜、いいなあ〜。
久しぶりに、ゆっくりと湯に浸かってしまった。



風呂から出たら、実に美味そうな飯が待っていた。
「すごーい」
何より品数が多いのがすごい。
まるで旅館のご飯みたいだ。
「これ、カカシ先生が作ったんですか?」
「俺しかいないでしょ」
カカシ先生が笑いをこらえるような顔をしている。
「割と料理、得意なんですよ、俺」
「へえ」
意外な事実だ。
「食べましょう、イルカ先生」
俺は美味しくご飯をいただいた。
そんなこんな夜も更けて家に帰ろうとしたのだけれど。
「カカシ先生、俺の服はどこですか?」
風呂上りにカカシ先生の服を借りてきていたので、自分の服を着て帰ろうとしたんだ。
「イルカ先生の服?洗濯機の中ですよ」
・・・俺の服はカカシ先生の家の洗濯機で洗われていた。
「あ、乾燥機能もついているので明日の朝までに乾きますからね〜」
そうじゃなくて。
お借りしているカカシ先生の服は明らかにパジャマか寝間着って感じなので、これで外を歩くのはちょっとアレだ。
「泊まっていけばいいじゃない」
カカシ先生は事も無げに軽く言い放った。
「これからも、ずーっとね」



あ、れ・・・。
カカシ先生が言い放ったことを真に受けるわけには行かず、俺は帰ろうとしたはずだった、のに。
今、俺はカカシ先生の家の寝室に置いてあるベッドの布団の中にいた。
なんで、こんな展開に。
でもカカシ先生の家の布団、ふかふか〜。
気をしっかり持っていなかったら、三秒くらいで眠りに落ちそうだ。
それでも、うとうととしてきて瞼が落ちてきて持ち上がらず、開くことができなくなってきている。 ここで眠るわけにはいかない。
風呂に入っているカカシ先生が風呂から出たら挨拶して、風呂と飯のお礼を言って、どうにかして自分の家に帰らなければ。
明日も仕事だし、頑張らなきゃいけない。
ん〜、それにしても眠い、眠くてしょうがない。
カカシ先生、早く風呂から出ないかなあ。
勧められたからって布団の中で待つんじゃなかったなあ。
「疲れているでしょ、横になっていていいですよ」なんてカカシ先生が言うから悪いんだ。
ああ、もう眠くて耐えられない。
「カカシ先生〜、早く〜」
そう言ったはずなのに、むにゃむにゃと意味不明な言葉になってしまった。
半分以上、俺の意識は眠りに落ちている。
ふわっとあたたかい空気が俺を包んだ。
額を触られている感覚。
「俺はここにいますよ」
優しい声が遠くから聞こえた。
「安心してください」
「うん」
夢の中で俺は返事をした。
ふふふ、と誰かが楽しそうに笑う声がする。
「かわいいなあ」
愛しげな響き。
「一緒に寝ていいですよね、ベッド一つしかないし」 眠りに落ちる直後、そんないい訳めいた言葉が聞こえて隣に誰かが滑り込んできた。
そして俺を抱きしめてくれる腕に最大限安心し、本当に眠ってしまったのだった。




over100−24
over100−26





text top
top