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「イルカ先生」
呼びかけられて顔を上げるとカカシ先生がいた。
「あ、どうも」
今の俺は受付所で仕事中。
夕方の受付は事の外、混雑している。
報告書のラッシュだ。
そんな中、カカシ先生が報告書を持って現れたのだ。
カカシ先生の報告書・・・。
気になる、激しく気になる。
あいつらは、ちゃんと任務をやれているのだろうか。
心配だ・・・。
それが顔に出てしまったらしく、カカシ先生がふっと微笑んだ。
「みんな、きちんと任務をしていますよ」
「あ、そ、そうですか」
自分の考えを見透かされてしまって恥ずかしい。
俺は、カーッと赤くなった。
そんな俺を見てカカシ先生は、また微笑む。
「イルカ先生は可愛い人ですねえ」 ・・・・・・何言ってんだ、この人は。
俺は、その発言を聞かなかったことにして報告書の提出をカカシ先生に求めた。
「報告書をお預かりします」
「はい、どうぞ」
受け取って、カカシ先生の報告書を読む。
ふむふむ、あの子たちは俺が心配しなくても、もう立派な下忍なんだなあ。
受付所だってのに、じーんときてしまって、危うく涙ぐみそうになってしまった。
年を取ると涙脆くなるって本当だったんだなあ。
・・・それにしてもよかったよかった。
一人でうんうん頷いているとカカシ先生が上から覗き込んできた。
「何を頷いているんですか?」
「え、いや、あの、その・・・」
言葉を濁す。
そんな俺をカカシ先生は目を細めて見た後に言われた。
「イルカ先生、今日、暇?」
「え」
「お暇なら夜、飯でも行きませんか」
誘われた。
飯か・・・。
躊躇する。
先日、思ったように、もうカカシ先生に関わってはいけないと思っていたから。
幸い、断る理由はあった。
「すみませんが」
俺は笑みを浮かべて、できるだけ穏やかに言った。
「今日は、このまま明日の朝まで受付の仕事なので」
本当だった、今の時期は引継ぎやら新しい人が着任して何かと忙しいのだ。
「そうですか」
カカシ先生は明らかに、がっかりといった風情だった。
「ま、しょうがないですね」
俺を見て心得たように頷く。
「仕事なら」
それじゃ、と片手を上げて、颯爽と受付所を出て行ってしまった。
カカシ先生の後ろ姿を見て、ちくりと胸が痛んだ。
仕事なのは本当なんだ、だから仕方ないんだ。
それにお互いのために距離を置くことが望ましい。
これでいいんだ、と自分を納得させた。



「火影さまは人遣いが荒すぎだ〜」
俺は、ぜいぜいと息を切らしていた。
火影室から上忍の控え室にお届け物の途中で。
「忙しいからって、俺が使いやすいからって」
あれから・・・。
あれからというのは最後にカカシ先生と会ってからという意味なんだけど。
急に、わーっと忙しくなって碌に家に帰れなくなってしまったのだ。
一週間くらい家のベッドで寝ていない。
「眠い!」
真昼間だけど眠さマックスになっていた。
任務に出ているわけじゃなのに家に帰れないなんて!
なんてことだ、全く。
少し愚痴っぽくなってしまったが皆、忙しいのだからどうしようもない。
火影さまだって俺を信頼してくれるからこそ、頼ってくれるのだと思うし。
もう少ししたら、この忙しさも収まるから、それまでの辛抱だ。
「よし!がんばろ!」
今日こそは家に帰るぞ、と決意を固めて上忍の控え室に向かった。



控え室の扉を、こんこんとノックした。
「すみません」
返事がない。
気配を探ると中に人はいないようだった。
「失礼しまーす」
俺は静かに扉を開けた。
やっぱり控え室には誰もいない、珍しい。
「困ったなあ」
上忍の方に書類を届けるように火影さまに言われてきたのに。
届けたら、火影さまの元に即、戻らなければならない。
戻って、また、ここに来るのは面倒だな・・・。
少し待つか。
誰か戻ってくるかもしれないし。
上忍の控え室のソファーに腰を下ろした。
ソファーはふかふかで気持ち良かった。
寄り掛かると、もっと気持ち良かった。
そこに油断があったに違いない。
人のいない静かな控え室、ふかふかのソファーに寝不足な俺。
寝るのに最適、眠るのに準備万端。
書類を手に持ったままの体勢で、俺の瞼は勝手に落ちてくる。
何度か、それを阻止したんだけど気がつく完全に瞼は閉じられていた。
暗闇が心地よい。
あろう事か、俺は上忍の控え室で転寝しまった。
後で考えたら大失態だった。



あったかい・・・。
まどろみ中で俺は温もりに頬刷りした。
ふわふわして柔らかくてあったくて、枕とは違う物が俺の頭の下にある。
なんだ、これ。
ひどく居心地がいい。
浮上してきた意識が再び、眠りに落ちていきそうになった。
ってか起きたくない。
このまま寝ていたい。
優しい手が俺の頭を撫でてくれるのも、居心地の良さに相乗効果を出している。
何回も頭を撫でられて、両親を思い出した。
子供の頃に、よく抱っこされて頭を撫でられたっけ。
会いたいなあ、もう会えないのは解っているけど。
遠くから低い声が聞こえてきた。
「そんな顔しないで、大丈夫ですよ」
今度は肩の辺りを撫でられて安心するように、ぽんぽんと肩口を叩かれた。
「さっきまで幸せそうな顔だったのに。寂しそうな顔になっちゃって、どうしたのかねえ」
・・・・・・この声は。
唐突に意識が浮上して、ぱっちりと目が開いた。
ここ、どこ?
上忍の控え室だ。
景色が横向きに見えるのは俺が横向きに寝ているからであって。
ばっと飛び起きるとカカシ先生がいた。
いたっていうか、密着していたカカシ先生と。
控え室のソファーの上で。
「えっ!、な、なに?」
焦ってソファーから落ちそうになってカカシ先生に抱きとめられた。
「おっと危ない」
俺を抱きとめたカカシ先生は、にこーっと笑った。
「おはようございます、イルカ先生」
「お、おはようございます」
おはようございますって言ったって窓の外は真っ暗だった。
俺は寝ていたんだ、カカシ先生の膝を枕にして。
今の今で、ぐっすりと熟睡していたのだった。



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