AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


over100−21



★オリキャラ注意



「あー、もっしかしてー」
やつは、やけに嬉しそう。
「真打登場ってやつー?」
語尾をわざとらしく伸ばす。
真打って何だよって思いながら、やつに言った。
「いや、あの人は・・・」
上忍で名前は、と言おうとして、はたけ上忍を見ると、すっごく不機嫌そうというより正真正銘、怒っていた。
目が釣りあがって怖いこと、この上ない。
余りのはたけ上忍の迫力に俺が言葉を失っていると、やつは空気を読まずに喋り続ける。
はたけ上忍に向って。
「あー、もっしかして君さー怒ってるー?」
はたけ上忍に『きみ』って似合わない・・・。
「語尾を伸ばすなって」
『きみ』はさて置き、やつの言葉遣いが気になって指摘すると、やつは軽く肩を竦めた。
やつの手の中でクナイが玩具のように、くるくると回っている。
「はいはい」
やつの顔はにやにやと笑っていて、この状況を面白がっているのは一目瞭然だった。
本当に困ったやつだなあ。
「・・・・・・誰なんです、そいつは」
はたけ上忍の口から低い声が漏れた。
「あ、えっと」
そういえば、はたけ上忍の最初の問いかけに答えていない。
つか、こいつのことは何て言えばいいんだろ。
むむむむ・・・。
真実を話すのは簡単だけど、おそらく信じてもらえまい。
目の前の、こいつが人間じゃなくて悪魔だなんて。
言ったところで、はたけ上忍の怒りに火に油を注ぐようなものだ。
・・・ん?
ところで、はたけ上忍は何で怒っているんだろう。



「・・・離れろ」
再び、はたけ上忍の口から低い声が漏れた。
「離れろって、イルカ先生から!」
「はっはーん」
嫌な笑みを浮かべて、やつは手に持っていたクナイを口元に持って行くとバリバリと食べ始めた。
バリバリってかボリボリ?
クナイって咀嚼するとそんな音が出るんだ、初めて知った。
悪魔って金属も食べるのか、腹壊さないのかな〜。
俺が、そんな疑問を抱いているとクナイを食べ終えたやつは「満腹〜」と一言言ってから、目を細めてはたけ上忍を見た。
こいつの場合、視ているんだろうな、様々なことを。
以前に目に映る物だけが見える訳じゃないとか言っていたし。
過去や未来か、その先か・・・。
いったい、何を見ているのか。
やつは俺に捕まったまま格好つけて、びしっと、はたけ上忍に人差し指を突きつけた。
「ずばり!嫉妬だ〜ね!」
・・・・・・嫉妬。
「焼きもちだ〜ね!」
・・・・・・焼きもち。
「頭にきているんでしょ!」
・・・・・・なんか、はたけ上忍の口調に似てないか?
「愛しのイルカ先生と俺が密接にくっ付いているのが我慢ならないんでしょ」
やつは小首を傾げて、はたけ上忍を見ているがどこか小憎らしい。
それから俺の首に両手を回し、もっと引っ付いてきた。
多分、はたけ上忍も小憎らしいと俺と同じ事を思ったはずだ。
手にクナイを持って、さっと構えたから。
殺気が漲って辺りの空気が張り詰めている。
「まあまあ、そんなに怒らないで。肩の力抜いてよーん」
ほんっと、やつは空気を読まない・・・。



「貴様・・・」
言った瞬間、はたけ上忍からクナイが放たれた!
・・・かに見えた。
しかしクナイは飛んでこない。
クナイを投げる体制で、はたけ上忍の体は固まっていた。
意識はあるようで何とか動こうとしている。
目は、やつを睨みつけていた。
「やめろって」
はたけ上忍は何も悪くないのに。
「すぐに動けるようにしろよ。あの人は何も関係ないだろ」
「分かっているって」
やつは俺の耳元に口を寄せた。
角度的にはキスしているかのように勘違いさせるような行為だ。
「あっち行け」
俺の抵抗を無視して、やつは囁いてきた。
「イルカはさ、自分の寿命について知りたいんだろ」
ぴた、と俺は抵抗するのを止めた。
それは、とても知りたかったこと。
だから、こいつを呼んだ。
「教えてもいいんだけど」
ちら、とはたけ上忍を垣間見る。
「今日はヒントだけにする」
「ヒント?」
「そ」
すっと、やつは俺から離れた。
とんと地面を蹴って空中に浮かび上がって、くるりんぱと円を描く。
「思い出せ、イルカ。知っているだろ、自分のことなんだから」
思い出す?自分のことを?
さっぱり解らない・・・。
俺の記憶の中に俺自身が忘れていることが何かあるのか。
「思い出せば、すぐに解決すべて解決」
くるっと空中で一回転して、やつは、はたけ上忍の方へと、ふわふわ漂っていった。
「あ、二本のクナイはダマスカス鋼にしてホルダーに戻しておいたからね!」
またまた、訳の解らんことを言ってやつは「じゃね〜」と俺にウインクして消えた。
空中で、ぱっと。
まるで手品の如く。
相変わらず、変なやつだ。



それよりも!
俺は慌てて、はたけ上忍に駆け寄った。
「大丈夫ですか、はたけ上忍」
あいつに動きを止められて体に支障はないだろうか。
平気かな・・・。
心配そうに見つめると、はたけ上忍は自分のホルダーから二本のクナイを取り出した。
クナイを覗き込むと木目調になっていた。
でも触ってみると金属。
不思議だ。
二本のクナイというのは最初にやつの体を貫通したクナイとバリバリ食べてしまったクナイのことみたいだった。
地面に突き刺さっていたクナイが消えていたし、腹の中のクナイはどうやって取り出したんだ?
クナイを見て顔を顰めたものの、はたけ上忍はクナイをホルダーに収める。
それから俺に向き直った。
「あいつは誰ですか?」
あ、答えるの忘れていた。
「え、えーと」
何も考えていなかった俺は言葉に詰まる。
「あいつとどんな関係なんですか?」
一歩、はたけ上忍は俺に近づく。
はたけ上忍の顔が怖い。
「あいつのこと好きなんですか?」
意表を突く質問だった。
「俺よりも、あいつが好きなんですか?」
問い詰められて俺は、うろたえてしまった。
あいつのことは嫌いじゃない、でも、はたけ上忍と比べることはできない。
小さい頃からの知り合いで腐れ縁のような間柄だ。
やつの存在は親や兄弟、友人、総てに近い。
どう言ったら俺の気持ちが伝わるのか・・・。
何も言えずに近い距離にいる、はたけ上忍を見上げると、はたけ上忍が困った顔になった。
「そんな顔で見ないでくださいよ」
はたけ上忍の手が俺の肩に置かれた。
「俺が虐めているみたいじゃないですか」
「そんなことないですよ」
「さっきだって寂しそうな顔して行っちゃうし」
「さっきって・・・」
「子供たちが俺の方へ来た時ですよ」
見られていた、はたけ上忍に。
俯いて地面を見ると、はたけ上忍の足と俺の足が見えた。
爪先同士、十センチもない。
「もう!イルカ先生!」
頭の上で声がしたかと思うと肩に置かれていた、はたけ上忍の手に力が入った。
考える暇もなく俺は、はたけ上忍に抱きしめられていた。
ぎゅっと、あの安心する腕で。
はたけ上忍の体が、あったかい。
「滅茶苦茶に怒っていたのに怒れなくなったじゃないですか」
それに、と優しい声がする。
「イルカ先生は、あいつのことが好きだけど俺の好きとは違うって解ってくれているんですよね」
あいつは家族や友人みたいなものでしょう、と。
・・・・・・・・・はたけ上忍は何も言わなくても俺の気持ちを理解してくれていた。
とても嬉しかった。
だからなのかもしれない、素直に呼べた。
「カカシ先生」って。
「カカシ先生、ありがとう」って。
そうして俺が余韻に浸っていると、はた・・・カカシ先生の声がした。
「じゃ、次はステップアップして『カカシさん』で!」
やけに嬉しそうな声。
・・・・・・絶対に無理だ。




over100−20
over100−22





text top
top