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★オリキャラ注意
あれから、はたけ上忍と会わなくなって数日が過ぎた。
なんでも単独任務で里を出ているらしい。
大変だな、上忍は。
はたけ上忍が担当している七班の子供たちは上忍師不在のままで簡単な任務やら修行やらしていた。
里内に用事があってアカデミーの外に出たとき、そんな七班の子供たちに遭遇した。
「よ!」
俺は頑張っている子供たちを労おうと近づいた。
「カカシ先生がいないのに頑張っているな!」
・・・こんな時は、すんなり『カカシ先生』って言えるんだよなあ。
本人がいないと尚更。
「あ、イルカ先生ー!」
子供たちは、すぐに駆け寄ってきた。
三人とも。
すっごく可愛いなあ。
俺は、にこにこして寄ってきて子供たちの頭を撫でた。
「偉いなあ、みんな」
黄色い頭も黒い頭も桃色の頭も撫で撫で。
三人とも可愛い俺の元生徒だ。
それから三人と少し話した。
下忍になってからのこと、カカシ先生のこと、修行の成果のことやら諸々。
口々に報告してくる。
黒い頭の子供も控えめで、ぶっきら棒なところもあるが話してくれた。
みんな、いい子だ。
本当にいい子に育って、と親みたいなことを思ってしまう。
「頑張っているなあ、偉いぞ。本当に偉い!」
感極まって、ついつい、子供たちを抱きしめてしまった。
ぎゅーっと。
子供たちは照れくさそうに笑っている。
・・・抱きしめるのは好きだけど。
俺は、ふと頭の片隅で思った。
抱きしめられるのも最近、好きになりつつある。
ある特定の人限定だけども。
「なーに、しているんです」
その特定の人の声が背後からした。
低い声は威嚇しているような感じだ。
「オレの居ない隙に他の誰かを抱きしめているなんて」
何を言っているんだ、もー。
幸いにして、その発言は俺だけにしか聞こえていなかったようだ。
「あ、カカシ先生!」
子供たちが、その名を呼んだ。
振り向くと腕を組んで立っている、はたけ上忍がいた。
「お帰りなさーい」
子供たちが俺から、はたけ上忍へと駆け寄る。
やっぱ、担当の上忍師が一番、好きだよなあ。
ちょっと寂しい気分。
はたけ上忍と子供たちが和気藹々としているので、はたけ上忍にだけ、そっと会釈して、その場を立ち去った。
はたけ上忍が何かを言いたげにしていたが。
俺の出番はなかった・・・。
そのまま、立ち去ってアカデミーに戻ろうとしたのだが不可解な気配に、はっと振り向いた。
だが振り向き終わる前に、どんっと背中に体当たりされて背中に抱きつかれた。
「ハッロー、イルカちゃーん」
異国で挨拶をしてきて、俺をちゃん付けで呼ぶ、ふざけたやつなんて一人しか心当たりがない。
肩口から覗き込んできた顔を見ると、やっぱり、あいつだった。
「・・・何しにきたんだよ」
「えー、冷たーい」
長い黒髪を風になびかせて人のよさそうな顔をして、にこにこ笑っている、そいつはこの世の者ではない。
何でも悪魔で、悪魔の中でも偉い地位にいるらしい。
詳しくは知らないが。
「せっかく、イルカちゃんに会いに来たのにー」
そいつは言った。
姿は人間の成人男性。
声も人間の成人男性。
「その声でイルカちゃんとか言うな」
あんまり呼ばれたくない呼び名だ。
「えー、小さい頃はイルカちゃんって呼んでいたのにー」
「子供の頃は、だろ」
突然現れて、いったい、こいつは何しに来たんだ?
ま、いっか。
ちょうど訊きたいこともあったし。
俺の寿命が、どのくらい残っているか訊きたかったんだよね。
教えてくれないかもしれないけど。
「あのさ、訊きたいことがあるんだけど」
「はいはい、なーに?」
相変わらず、ふざけた口調だ。
そいつは俺の体に掴まり、正面に移動してきた。
なにしろ、こいつは普段、ぷかぷか空中に浮いているので地面に立つのが苦手だと前に言っていた。
まあ、最初の出会いも一歩、歩いた途端にこいつが転んだのを目撃したところから始まった訳だしね。
やつは俺の体に掴まって歩きながら、なんとか移動して正面に来たのだが、如何せん、正面に来ると俺に抱きついているような格好になる。
・・・・・・抱き合っている格好、やだな。
誰かに見られたら誤解されるような気がする。
気を取り直して俺は訊いた。
「えっとさ、俺の・・・」
寿命なんだけど、と言い掛けたときだった。
しゅっと何かが飛んできた。
きらりと光る、その刃には確実な殺気が纏われている。
ものすごい速さで飛んできた、それはクナイ。
クナイは俺に抱きついているやつの体を擦り抜けて地面に突き刺さった。
抱きついている目の前のやつには実体がある。
現に俺に触って、手の感触もあるし。
なのに、クナイが体を通り抜けていった。
どんな体の仕組みになってんだ、こいつ。
驚いていると第二段のクナイが飛んできた。
狙っているのは俺じゃない。
俺の目の前にいるやつだった。
第二段のクナイは、やつの体を貫通せずに鼻先で止まった。
それを、そいつは、ひょいと掴む。
素手で刃を・・・。
「危ないねえ」と暢気に言って笑っているが、素手で刃を摘む方が危ないっての。
素手で掴んでいるのに血が出ないのも不思議だが。
しかし、それよりも。
俺は辺りを見回した。
このクナイの持ち主を探して。
クナイを投げたのは誰だろう?
こんなに正確かつ綺麗にクナイを投げるのは上忍に違いない。
くるっと首を捻った先にクナイの持ち主は立っていた。
憮然とした表情で。
その持ち主の名は言わずと知れた、はたけ上忍。
はたけ上忍は怖い顔をして、こっちを見ている。
ものすごく低くて威圧するような声が聞こえた。
「そいつは誰です?」
はたけ上忍の鋭い視線は俺に捕まって立っている目の前のやつに、しっかりと突き刺さっていた。
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