AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


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カカシ先生、と呼んでみたのはいいが照れくさくて顔が上げれなかった。
残っていたご飯を急いで口に入れて行儀悪いが席を立った。
「お茶、淹れてきますね」
茶を淹れ直すため、湯を沸かしに台所へと行く。
薬缶に水を入れて火にかけた。
頬に触れると熱かった・・・。
ああ、俺、照れているんだなあ〜。
はたけ上忍をカカシ先生と呼んだだけで。
いったい、どこの乙女なんだ俺は、と自問自答。
まるでアカデミーの恋する女の子みたいだ。
男なのに。
バカなことを考えているうちに湯が沸いたので急須に湯を入れて茶を継ぎ足しに戻る。
はたけ上忍も既に食べ終えていた。
湯飲みに茶を注ぎ「どうぞ」と差し出すと、はたけ上忍は嬉しそうに受け取った。
「ありがとうございます」
ほんと嬉しそう。
ずずっと茶を啜った、はたけ上忍は俺を上目遣いに見ると男前な顔で、にこりとする。
男前な顔だと、どんな顔しても男前なんだなあ。
新発見だ。
はたけ上忍は男前な顔のままで言った。
「も一回、呼んでくれませんか?」
要求された。
「カカシ先生って」
強請られた。



「え、と・・・」
急に言われても困る。
さっきのは勢いというか、雰囲気に流された感が強い。
いきなり言われて、はい、そうですかとはいかないよ。
だいたい、本人を目の前にしてさー。
いや本人ってのは、はたけ上忍だからいいのか。
カカシ先生って呼ぶのは、はたけ上忍本人にだから。
とにかく簡単には呼べない。
雰囲気ってものもあるから・・・。
俺が無言でいると、はたけ上忍が拗ねたように口を尖らせた。
「だって、アスマと紅は二回なんでしょ?」
「は?」
突然、何を言い出すんだ、はたけ上忍は。
「二回って何ですか?」
さっぱり分からない。
「先生をつけて呼んだ回数ですよ。アスマも紅も二回なんでしょ、俺も後一回呼んでくれれば並びます」
・・・並んで、どうすんだ?
そんなの並んで何か得でもあるのか?
お買い得なのか?
返事の仕様がなくて俺が黙っていると、はたけ上忍は言及してきた。
「俺はイルカ先生に二回も三回も何回でも『カカシ先生』って呼ばれたいんですよ」
「・・・俺が呼んで何かいいことでもあるんですか?」
躊躇いながら訊くと、はたけ上忍は大きく頷いた。
「ありますよ!」
自信を持って答えている。
「・・・何ですか?」
いいことって何だろう。
「そりゃあねえ」
はたけ上忍の笑顔が輝いた。
とっておきの笑顔って感じで。
「好きな人には名前を呼ばれたいでしょ」
「へえー」
俺は深く考えずに茶を飲んだ。
ちょうどいい温度になっていて非常に飲みやすい。
あー、茶が美味いなあ。



すっかり落ち着いたところで俺は言った。
「それで?」
「それでって・・・」
はたけ上忍が何やらショックを受けている。
「イルカ先生、今の俺の告白聞いていました?」
「もちろん」
ちゃあんと聞こえた。
「好きな人に名前を呼ばれたいって聞こえました」
「そうですそうです」
はたけ上忍が、こくこくと頷く。
「好、き、な、人、にですよ」
わざと区切って強調している。
俺も同じ調子で返した。
「ですから、好、き、な、人、に呼んでもらったらいいじゃないですか」
紅先生が、はたけ上忍には好きな人がいるらしいって言っていたし。
「あのねえ、イルカ先生」
はあっと、はたけ上忍がこれ見よがしに溜め息を吐いた。
それから、じろっと俺を睨む。
ちょーっと怖い。
「俺の好きな人が誰か知っているの?」
問い詰めるように訊いてくる。
「誰かは知りませんけど・・・」
はたけ上忍の迫力にたじろぐ俺。
「好きな人がいるってことは知っています」
「だったら・・・」
「はたけ上忍は、その好きな人に俺と同じ色の髪を結ぶ紐を贈ったんですよね?」
「そうですよ」
「なら、その髪紐を贈った方に名前を呼んでほしいって言ったらいかがですか」
アドバイスをした。
だが、はたけ上忍はアドバイスが、いたく気に入らなかったみたいで。
「だーかーらー」
はたけ上忍がテーブルの向こうから身を乗り出してくる。
俺の真ん前に来て目を見据えてきた。
「俺が買った髪紐ってのは後にも先にも、ただ一つだけで」
はたけ上忍の目に強い光が宿る。
「その髪紐をあげたのも、たった一人の人にだけです」
・・・ということは、つまり。
「解りましたか?俺の好きな人が」
疲れたように、はたけ上忍は息を吐く。
「俺の好きな人はイルカ先生、あなたですよ」
宣言された。




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