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何でここに、はたけ上忍が?
ここは俺の家だぞ・・・。
さっぱり訳が分からなかった。
どっから出現したんだ、この人。
考えようと思ったけれど、痛みで考えが纏まらない。
ベッドにうつ伏せのままの俺の元へ来て、はたけ上忍は俺の額に落ちていた髪をかき上げた。
「こんなになちゃって、まあ・・・」
顔のほとんどが覆面で覆われているけど、渋面になっているのが分かる。
「また、怪我なんてしちゃって・・・」
はたけ上忍は苦しげな声を出す。
俺を見つめる目も心なしか、苦悩しているように窺える。
なんだろう、はたけ上忍、何か心配事でもあるのか。
それを問い質そうとしたのだが背中が痛んで、それどころじゃなかった。
あっという間に考えが散漫になる。
「・・・イタタタ」
声も出てしまう。
「大丈夫、イルカさん?」
「ええ、はい」
と言ったものの、ぜんぜん大丈夫じゃない気がする。
痛みで、ぼーっとしながら俺は、ぼーっとはたけ上忍を見てしまう。



もしかして余りの痛みに俺は、はたけ上忍の幻を見ているのかもしれないんじゃないか。
だって、はたけ上忍は俺の家を知るはずがない。
ここにいるのは誰なのだろう・・・。
「・・・幽霊?」
俺が小さく呟くと、はたけ上忍が聞き咎めた。
「幽霊じゃありませんよ、本物の俺です」
本物のはたけ上忍。
俺の家に勝手に入って、いるってことは・・・。
「不法侵入?」
「なんてこと言うんですか、イルカさん」
はたけ上忍は手に持っていた紙袋の中から色々、取り出してテーブルの上に並べ始めた。
アイスとかジュースとか、俺が病院で好物だと言ったものばかり。
具合の悪い時に食べたい物だった。
「不法侵入じゃありません。ちゃんと火影さまにイルカさんの家の場所を聞いてから来たんですから」
火影さまが俺の家をはたけ上忍に教えたのか・・・。
「火影さまにイルカさんの怪我のことを聞いて、居ても立っても居られなくて」
イルカさんの家に見舞いに行く許可も貰ってきていますから、だって。
「誰にも姿を見られなければイルカさんの家に行ってもいいって言われましてね」
そうだったのか〜。
はたけ上忍、俺を心配して来てくれたのか。
ということは、あの例の一件は広まっているってことだよなあ。
それを思うと気が重い。
火影さまの自由裁量で、かなり緩やかな処分が下ったみたいだけど詳細は知らされていない。
・・・自業自得とはいえ、あいつはどうなったんだろう。
背中が痛いはずなのに胸が、ちくりと痛んだ。
きっと、あいつにはもう会えないだろうな・・・。
考えたところで仕方がない。
俺は、とりあえず考えることを今は放棄した。




「わざわざ、すみません」
俺は、はたけ上忍に礼を述べた。
「お気遣いいただいて」
「いえいえ、イルカさんのためですから」
「はあ・・・」
そこまで話して気がついた。
「家の中には、どうやって入ってきたんですか?」
火影さまは俺の家の場所を知っていても、俺の家の鍵は持っていないはず。
家の鍵は俺しか持っていない。
「鍵、持ってないですよね?」
すると、はたけ上忍は、くるっと俺の方を向いた。
うつ伏せで寝ている俺の顔の、すぐ傍にはたけ上忍の顔がある。
「合鍵くれる?」
一瞬、何を言われているのか分からなかった。
「イルカさん、合鍵ちょうだいよ」
・・・いきなり何言い出すんだ、この人。
つくづく思考回路が読めない人だなあ。
「なんで、合鍵を?」
ごく自然に質問すると、ごく自然に答えが返ってきた。
「合鍵ないと合法的な手段でイルカさんの家に入れないじゃない」
そんなことを言うってことは今日は合法的な手段で家に入ってきたんじゃないんだな。
そこを突付くと、はたけ上忍は肩を竦めた。
「ほら、忍なら鍵の掛かっている家に入る方法を色々知っているでしょ」
そりゃ、まあね。
「今日は偶々、そうやって入ってきちゃったけど合鍵があれば平気ですよ。ね、イルカさん?」
何が平気なんだか・・・。
会話したら、どっと疲れてしまって、溜息みたいなものが出てしまった。
どうして俺が、はたけ上忍に合鍵を渡さなきゃいけないんだ?
悶々としてくる。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、はたけ上忍がうきうきとした調子で言った。
「イルカさんの好きな物、買って来ましたよ」
何から食べます?と。
怪我をしてから碌に食べてなかった俺は食べ物で簡単に篭絡した。
痛みがひどくて一人で何かするのは辛かったから。
看病してもらい、痛みで考えるのが面倒で。
アイスを食べさせてもらって、結局、はたけ上忍に合鍵を渡してしまった。
俺が明日も怪我のために休むと言ったら、また様子を見に来てくれると言ったので。
甘えてしまったのだ、ついつい。
渡した合鍵は後で返してもらえばいいと俺は、その時、安易に考えていたのだった。



一日、休んで仕事に復帰した。
体は包帯が巻かれていたけど痛みは治まったからいいかと思って。
はたけ上忍は大事をとって、もう一日休んだ方がいいと言っていたけど。
そこで驚愕の事実が知った。
卒業を危惧していたアカデミーの生徒は無事に卒業できて俺は心底、嬉しかった。
アカデミーを卒業したら、次は下忍としても修行が待っている。
スリーマンセルという三人組になって上忍の元で指導を受けることになる。
その上忍は上忍師と呼ばれていた。
そんでもって、その気になっていた子供の上忍師がはたけ上忍だった。
すっごくびっくりした。
その子の他にも密かに気に掛けていた気難しい子の担当にもなっていた。
もちろん、スリーマンセルだから、もう一人の女の子のことも気に掛かる。
・・・というか、子供のことは全部、気に掛かる俺だ。
性格なので、もう自分でも諦めている。
で、その事実を知って俺は納得した。
そっかー、はたけ上忍はこの子たちの上忍師になるために里に戻ってきたのかー。
火影さまからも、はたけ上忍の話を少し聞けたし。
そっかそっか。
はたけ上忍の人柄は、よく知っていたので俺はとても安心した。
この人なら無碍なことはしないだろう。
子供たちを上手に指導してくれる。
よかったよかったと俺は喜んだ。
立派な上忍師の下で子供たちは立派に成長していくだろうな。
俺は、この子たちにもう必要ないかもしれない。
一抹の、なんとも言えない感情があったのは胸の中にしまっておいた。




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