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助けた人3



夕方、仕事が終わりイルカが帰宅しても予想通りカカシは寝ていた。
「一度も起きなかったのかなあ?」
枕元の食事や水には手がつけられていない。
寝ているカカシの傍により顔を見ると赤みが差してきている。
「だいぶ具合が良くなった・・・みたいだな」
よかった、と微笑む。
カカシの寝顔も心なしが穏やかになって容態が落ち着いてきているように見える。
「無邪気な寝顔だな」
朝日に照らされて白く輝いたカカシの髪を思い出しイルカは声を出さずに笑った。
「子どもみたいで、それにウサギみたいに可愛いなあ」
その見解をカカシが聞いていたら、即座に違うと否定されそうである。
言うなればイルカはカカシの寝顔を見て、そんな印象を抱いたのであるが後に大いなる間違いであると 自身で身を持って知る羽目になるとは、この時は思いも寄らなかった。



カカシが起きないのでイルカは一人で夕食を済ませてカカシの看病をする。
着替えをさせて体を拭いたり、傷を消毒して包帯を巻き直し。
体を動かし触ってもカカシは起きなかった。
「よく寝ているなあ」
寝すぎるカカシに心配になる。
「こんな無防備で大丈夫かな、この人」
無防備という時点でどこの誰かも分からぬ、 得たいの知れない人物を自宅に連れてきているイルカもどっこいどっこいなのだが。
「ま、いっか」
一通りのことを済ますとイルカはカカシの体を拭いたタオルを持って立ち上がり背を向けた。
その時・・・。
何かの気配を感じて、はっと振り向くとカカシの傷のない方の片目が開いており天井を見つめていた。
「気がついたんですね!」
慌てて駆け寄り驚かさぬようにカカシの耳元で、そっと話す。
「具合はどうですか?」
話しかけると顔は動かさずにカカシは視線だけでイルカを見た。
一瞬で敵か味方かを識別するような眼光だった。
「あ、あの」
その眼光に圧迫感を感じながらイルカは尋ねた。
「何か食べますか?それとも飲み物でも?」
まる一日飲まず食わずで寝ていたのだ。
お腹が空いているのに違いないし、喉だって渇いているはずだ。



尋ねると一度、目を閉じてからカカシは僅かに頷いた。
開いた目には先ほど見せた眼光はない。
掠れた声が聞こえる。
「みず・・・」
「喉が渇いているんですね」
イルカは準備してあった飲み物をグラスに注ぎ、それからカカシに肩を貸して自分に寄りかからせるようにして ベッドの上に上半身を起こさせた。
グラスに手を添えてカカシの口元の持っていく。
「水ですよ、飲めますか」
答えるより早くカカシはグラスに口をつけ、ごくごくと水を飲み干した。
喉が渇いていたのか、何杯かの水を飲む。
水分を取って体が潤ったのかカカシは、ほっと息を吐き出した。
体も、それに合わせて力が抜けてイルカに寄りかかってくる。
「大丈夫ですか、何か食べます?」
「いや・・・」
そこでカカシは、やっと小さく声を発した。
「今はいいです」
「そうですか」
「もう少し寝たいです」
眠りを請うカカシをベッドに戻す。
カカシはイルカを見て微笑んだ。
安心した顔だった。
そして言ったのだ。
「ありがと、イルカ先生」
「え・・・」
目を閉じたカカシは、すぐさま眠りに落ちていく。それをイルカは呆然と見ていた。 それをイルカは呆然と見ていた。



「俺の名前・・・」
知っていた、なんで?
頭の中で、ぐるぐると考える。
俺、この人に自分の名前を言ったっけ?
言ってない、よな・・・。
自分で自分に確認する。
「じゃあ、どうして俺のこと知っているわけ?」
考えても解らない。
「俺のこと知っているってことは、この人、もしかして木の葉の里の忍?」
カカシの寝顔を見て、うーむと腕を組んでイルカはひたすら考える。
どこで会ったか思い出そうとしたのだが思い出せない。
「でもさあ」
見目麗しいカカシの顔を見て、少々失礼なことを言うイルカ。
「こーんなに整った顔立ちの人って一度、会ったら忘れないよなあ」
いつも覆面をして片目しか出していないカカシを、どう思っているのか問い質したくなるような発言だ。
男前の人間は絶対にもててるはずだから女性陣の間で話題になっているはず。
もてていれば、羨ましいと男性の間でも噂になっているはず。
だがイルカは、そんな話聞いたこともない。
そういう情報に疎い聡いは置いといて。
「なんでだろ?」
イルカは首を傾げて、もう一度カカシを見た。
カカシは安らかに眠っている。
「よく眠る人だなあ」
明後日の感想をイルカは漏らしたのだった。



次の日。
カカシは朝になっても起きず、よく眠っていた。
昨日と同じ準備をカカシの寝ている枕元にしてイルカは出勤した。
出勤してからイルカは念のため隣の同僚に訊いてみた。
「なあ、うちの里に顔立ちが良くて、もてる上忍の人っている?」
カカシの鋭い眼光、ただならぬ気配からイルカはカカシのことを上忍だと推測した。
「そんな人、山ほどいるだろ」
同僚は肩を竦める。
「あ、ええっとさ」
イルカは質問を変えた。
「外見はウサギなんだけど、その下には実はオオカミみたいな牙があるって感じの人いる?」
カカシの印象を言ってみる。
「あのなあ、イルカ」
呆れた声で同僚はイルカに冷たい視線を送った。
「ウサギに牙なんてないだろ」
「あ、そうか」
「いったい何を訊きたいんだ?」
逆に訊かれてイルカは首を横に振る。
「なんでもない、ちょっと訊いてみたかっただけ」
変なやつ、と同僚は呟いて自分の机の書類に目を戻した。
イルカも自分の仕事を始める。
だが頭の片隅で思っていた。



あの人、いったい誰なんだろう?
謎は深まるばかり。
カカシの消息は依然、不明であった。




助けた人2
助けた人4




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