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助けた人2



自宅に着いたイルカは助けた人の汚れた服を着替えさせ怪我の手当てをした。
その際にイルカはあることに気がつく。
「あれ、腕に包帯?」
助けた人、つまりカカシの左腕の上部に頑丈な布が巻かれていたのだ。
それはカカシがかつて所属していた暗部の刺青を隠すためのもの。
「怪我じゃなさそうだな」
自分で巻いたようだし触らぬ方がいいな、と判断してイルカはそのままにしておいた。
「この人、怪我はたくさんしているけど深い傷はないようでよかった」
ほっと一息つく。
汚れているカカシの顔を丁寧に拭いてやる。
すると隠れていた左目の傷が浮かび上がってきた。
「顔に傷があるんだ」
イルカも顔に傷がある。
忍をしていれば顔や体に傷があるのは、ざらだ。
「傷のある方の目は見えないのかなあ」
隻眼かもしれない。
といっても、やはり忍には片目の者がいない訳ではないので特段、珍しくもない。
「整った顔なのに傷があるのなんて、もったいない」
傷さえなければ男前なのになあとイルカは少し残念に思った。
しかし、いやと首を振る。
「この傷が男前を上げているのかもしれない」
自分の理論に納得していた。
カカシは、そんなイルカの横で、すやすやと眠っている。
寝顔も様になっていた。
「こんな整った顔の人が里にいて会っていたのなら、忘れるなんてこと有り得ないよな」
イルカは頷いた。
因みにイルカは何回かカカシに会ったこともあるし会話もしている。
「この人はきっと他の里に忍者に違いない」
起きたら聞いてみよう、とイルカは思ったのだった。



次の日の朝になっても助けた人は起きなかった。
カカシはイルカのベッドで気持ち良さそうに眠っていた。
「熱はないな」
カカシの額に手を当てるイルカ。
「疲れて眠っているだけみたいだ」
正にその通りである。
チャクラが、まだ回復していない。
昨夜は怪我したカカシを気遣ってイルカはベッドの下で、ごろ寝した。
フローリングの床で寝たので少し体が痛い。
伸びをして体を解しカカシを見ると、ちょうど窓から射しこんできた朝日がカカシを照らした。
照らされたカカシの髪は、きらきらと白い光を放つ。
「おー、きれいだなあ」
昨夜は灰銀色にしか見えなかった髪が白銀色に染まっている。
それを見てイルカは微笑んだ。
「なんかいいなあ」
カカシを起こさぬように髪に触ってみると意外に柔らかかった。
「白くて柔らかくて・・・。そうそう、ウサギみたい」
朝から和んでいる。



調子に乗ってカカシの髪を触って遊んでいたのだが、急にイルカの手が強い力で拘束された。
がしっと掴まれたのであった。
咄嗟にことに身動きが取れなくなっているとカカシの傷のない片目が、ぱちりと開きイルカを見た。
鋭い眼光で。
きらりと光るその瞳はウサギどころではなく獰猛なオオカミが似合う。
イルカはカカシに手を掴まれていたのだ。
意識がなくても本能で手が動いたのであろうか。
邪魔者は排除するように。
鋭い眼光でイルカを一睨みしたカカシは不意に目を閉じ大きく息を吐いた。
イルカを掴んでいた手も力を失い、ぱたりと落ちる。
恐る恐るカカシの顔を覗き込むと寝息を立てて眠っていた。
「び、びっくりした〜」
どきどきする胸をイルカは押さえる。
「すごい怖い目だった・・・」
心臓を鷲掴みされるような感覚だった。
「この人、きっとすごい忍なんだろうなあ」
布団から、はみ出したカカシの手を、もう一度布団の中に入れて寒くないように布団を肩まで掛けた。
「この分じゃあ俺が帰ってくるまで起きなさそうだけど」
深い眠りに落ちたカカシを見てイルカは考える。
「一応、枕元に簡単な食事と水、置手紙を置いていくか」
それらをカカシの枕元に置くとイルカはアカデミーへと出勤していった。



出勤途中、元教え子の一人に会った。
元教え子は元気に挨拶してくる。
「イルカ先生、おはようってば!」
「おう、おはよう」
威勢良く飛びついて元教え子を抱きとめてイルカは笑顔になる。
「今日も任務か?」
近況を訊いてみると元教え子は大人ぶって、ひょいと肩を竦めた。
「任務じゃなくて修行だってば。カカシ先生、いねーんだもん」
「いないって、どうかしたのか?」
尋ねてみると、またしても肩を竦める。
「一人で任務に行って、まだ帰ってこないんだってばよ」と言う。
「へえ、カカシさん任務に行っているのか・・・」
「そうだってば」
俺も連れてってくれればいいのに〜と元教え子は不満そうに口を尖らせた。
「まあまあ」
イルカは元教え子の金色の頭を愛情込めて軽く叩く。
「そんなこと言わずに修行頑張れよ!」
そう宥めてから別れた。



イルカの職場であるアカデミーに到着すると何やら周囲が、ざわめいていた。
「どうかしたのか?」
不思議に思って隣の机の同僚に訊いてみると同僚は声を潜めてイルカに、そっと告げた。
「何でも高ランク任務に出た、はたけ上忍と昨日から連絡がつかないらしい」
「えっ、カカシさんが?」
「そうだ、行方不明で安否が気遣われている」
任務に出たカカシの消息が分からないということだった。
「それは心配だな」
釣られてイルカも声を潜める。
カカシは木の葉の里でも五本の指の入るほどの上忍だ。
「ああ、早く見つかるといいがなあ」
同僚も心配そうにしていた。
「カカシさん、どこにいるんだろ」
イルカは窓の外を見る。
カカシとは顔見知り程度でしかないが同じ里の仲間だ。
高潔な人柄は元教え子の面々から聞いて知っている。
生きていてほしい。
・・・カカシ先生、ご無事で。
イルカは心から願う。



もちろん、カカシは無事だった。
イルカの家のイルカのベッドで、ぐっすりと眠っていたのであった。



助けた人1
助けた人3




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