月夜の狼男 8
掠れた声が聞こえた。
「も、もしかして、俺達お互いに好きな人が・・・。」
「好きな人が?」
「好きな人が・・・。」
イルカ先生の視線が俺の頭上にいっている。
「好きな人が一致しているのではないかと。」
「一致?」
「はい。」
不安そうな顔のイルカ先生。
俺は。
俺は暫し、その言葉の意味について考えた。
好きな人が一致している、ということは。
「・・・ということは。」
声が出てしまう。
大きな声が。
「ということは、相思相愛ってことですか!」
だって、そういうことだよね?
そういうことだろう?
イルカ先生の言った言葉と俺の言った言葉が脳みそに浸透してくると。
興奮が押さえられなくなってきた。
心臓が生きてきた中で一番、早く鼓動した。
「それでいいんですよね?イルカ先生?」
今更撤回なんてさせないよ。
そんなつもりでイルカ先生の肩を掴んで自分の目の前まで顔を引き寄せた。
「俺達、愛し合ってるってことでいいんですよね?」
「あ、愛し合ってるって、いきなり過ぎじゃ・・・。」
「だって俺のこと好きなんですよね?」
「は、はい。」
イルカ先生が恥ずかしそうに言う。
「ほら、だったら。」
頭の中が、わーっとなって夢中でイルカ先生を抱き締めた。
ああ、生きてて良かった。
心から、そう思った。
「待ってください。」
俺の腕の中のイルカ先生から小さな声が聞こえた。
「何?」
嬉しさのあまり、イルカ先生を離すことができない。
抱き締めたまま聞いた。
「あ、あの、カカシ先生は・・・。」
「俺?」
「俺のことが・・・。」
そういえば言ってなかった。
俺は腕の中のイルカ先生を見つめて。
「大好きです、イルカ先生。」
はっきりと告白した。
告白を聞いた、腕の中のイルカ先生が体中から力を抜けたのが解かる。
ほっとしたみたい。
俺も緊張したけど、イルカ先生もすごく緊張していたしねえ。
「よかった。」
そう呟いて俺の体に凭れ掛かってきた。
お酒も入っているので体が熱い。
俺もお酒で体が熱いけど、心の中もぽかぽかだ。
幸せ。
その一言に尽きる。
イルカ先生を見ると俺の腕の中で目を閉じていた。
寝息が聞こえるから、眠ってしまったらしい。
お酒もたくさん飲んでいたしね。
安心して酔いが回ってきたのだろう。
寝顔を見ていると優しい気持ちになってくる。
嬉しいな。
好きな人に信用されて体を預けられるのって。
今日は、もう俺の家に泊まって行くってことでいいだろう。
怒ったりはしないよね。
イルカ先生を抱き締めたまま、夜空を見上げると。
満月が俺たちを見下ろしていた。
月明かりが降り注ぐ。
ふと、あいつを思い出した。
自称狼男。
あいつも家族に会えたかな。
俺も、恋人になるけど家族にもなるであろう人を手に入れたよ。
狼男が繋ぐ縁か。
不思議な縁だなあ。
性格には狼の耳だったけどね。
月夜の狼男 7
月夜の狼男 9
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