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月夜の狼男 4




しまった、今日は満月か?
夜空を見上げると、煌々と光を放つ満月が。
狼男の感染力は未だ切れてないらしい。
迂闊だった。
前回の満月から一ヶ月も経てば、また満月が巡ってくるよな。
特に支障もないから忘れていた。


支障はないんだけど。
でも、今はイルカ先生の前で。
こんな姿は見せたくなかった。
カッコいい姿だけを見ていて欲しい。
気持ちが沈む。



「カカシ先生、具合でも悪いんですか?」
イルカ先生が心配そうに聞いてきた。
「耳が垂れ下がって元気がないですよ。もう休まれた方がいいんじゃないでしょうか。」
「もう遅い時間ですし、俺もそろそろお暇しますね。」とか言っている。
ええ!
「具合なんて全然悪くないんです、元気です。」
帰らないで、とイルカ先生の手首を思わず掴んでしまった。
「帰らないでください!」
イルカ先生は突然の俺の行動に驚いて、小さく目を見開いている。
「元気がないのは本当なんですけど。」
段々声が小さくなる。
「それは具合が悪いんじゃなくて。」
イルカ先生は俺の話を静かに聞いている。
「それは・・・。」
耳がある、こんな姿をイルカ先生に見せたくないと言ってしまったら。
何故見せたくないか、その理由を話さなくてはならない。
その理由ってのは。



イルカ先生を好きだから。



そう言ってしまいたいけど。
こんな成り行き任せの状態で告白はしたくない。
もっと甘いムードの中でスマートに告白したいのに。
ああ、どうしよう。
かといって、掴んだイルカ先生の手首は離せない。
今、離すと確実に帰られてしまいそうだし。
困った。



俺がうんうんと唸っているとイルカ先生が安心させるように笑ってくれた。
「カカシ先生、何か困ってますね。」
耳がまた寝てますよ、と。
「う・・・。」
言葉に詰まる。
「具合が悪くないなら・・・俺、もう少しお邪魔していていいんですかね?」
「も、勿論。」
願ったり叶ったりだ。
できれば泊まっていってほしい。


いや、最終的には相思相愛になって。
同じ屋根の下で二人で仲良く。
ずっと暮らして。
一緒に生きていきたい。



そんなことを考えると耳がパタパタと忙しなく動くのも感じた。
イルカ先生はそんな俺の耳を見てくすりと笑う。
「元気が出たみたいですね。」
「はは、まあ。」
妄想して元気が出る俺っていったい。
あははは、と俺は笑って誤魔化した。
掴んだイルカ先生の手首も惜しみながら離す。

「と、とりあえず飲み直しましょう。」
俺は、自分とイルカ先生のグラスにお酒を注ぎ。
「乾杯。」
ちんと、グラスをぶつけ合い、乾杯してお酒を飲んだ。



それから、まあ、耳から話題が逸れて。
何やかやで楽しく飲めた。
俺も、耳のことは極力忘れるようにしたしね。
イルカ先生の視線が時折、俺の頭上に行くけど気にしないでいた。
お酒も大分進み、俺もほろ酔いだけどイルカ先生は大分酔っている。
これなら、もう帰れないだろうし、帰るとは言うまい。
俺んちに泊まっていくよね。
ふふふ、とほくそ笑み、イルカ先生に更にお酒を注いだ。



満月が天上に来た頃。
ふっと沈黙が降りた。
イルカ先生と二人きり。
沈黙が心地よい。
風も涼しく心地よい。
ああ、好きな人といると幸せだ。



だが。
「カカシ先生。」
イルカ先生の声で沈黙が破られた。
「実はお聞きしたいことがあるんです。」
一大決心したような、固い声だ。
あれだけお酒を飲んだのに、酔いは醒めてしまったかのような声。
俺の方を向いたイルカ先生は躊躇っていたが、はっきりと言った。



「好きな人はいますか?」





月夜の狼男 3
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