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若き忍の星8



ともかくイルカは気力が出てきたらしい。
カカシが言った、話をするとリラックスは満更、嘘ではなかったらしい。
「よし!」
イルカは拳を握って立ち上がった。
「頑張るぞ!」
俄然、やる気になっている。
「あと、もう少しだからな!やるぞ、俺!」
自分で自分に檄を飛ばしている。
「あのさ〜」
カカシは先ほどから気になっていたことを尋ねた。
「あと少しとか、もう少しって何?なんのこと?」
尋ねるとイルカは、にっと笑った。
いい笑顔だ。



「それはですね、この先、もう少し行ったら木の葉の里から来ている迎えとの合流地点なんです」
意外なことをイルカは明かした。
「ふっふっふっ」
イルカは腰に手を当てて自慢げに笑う。 「びっくりしたでしょ、カカシさん」
楽しそうだ。
「俺だって一応、忍なんで里にカカシさんの身分確認と迎えの段取りくらい考えていたんですよ」
どうですか?とイルカは胸を張って威張っている。
「うん、すごいねえ」
本当に感心したカカシは心の底から言ったのだが、如何せん、生来の性格でその発言はのんびりとしたものになってしまったが。
「本当に忍だったんだねえ」と言うのは一言、余計だった。
「すごいすごい」
カカシはイルカを褒めて目を細める。
なんだか大人が子供を褒めているようだった。



「あ、なんか馬鹿にしているでしょう?」
「してないしてない」
「ちょっと抜けてる忍者だとか思っていたんじゃないですか?」
「思ってない思ってない」
「子供だなあとか思っているでしょ?」
「思ってる思ってる」
勢いとノリで、つい言ってしまってからカカシは「あ」と口を押さえた。
「まあ、いいですけどね」
イルカは、ふうと息を出すとカカシの傍らに肩膝を突いた。
背を向ける。
「カカシさん、居心地悪いでしょうが俺の背中に乗ってください」
「悪いねえ」
歩けないのは、どうしようもない。
せめてチャクラが回復していれば分身でも出して自分で自分を背負うんだけど、とカカシは思う。
「世話になるねえ」
いささか老成したような口を利きカカシがイルカの背に手を伸ばした時、イルカが「そうだ!」と思い出したように言った。



「なに、どうしたの?」
カカシがイルカの背後から聞くとイルカが何やら自分の胸元を、がさごそ漁っている。
忍服のベストのポケットから何かを出していた。
「こんな時のために貰った、アレを飲んどこう」なんて声が聞こえた。
「アレ?」
カカシが後ろから首を伸ばすとイルカがベストの胸元のポケットから二つの小瓶を取り出すのが見えた。
小瓶は似たような大きさで、似たような色だ。
中に何が入っているのだろう?
イルカは、その二つの小瓶を見比べて首を傾げていた。
「えっと〜、あれ?どっちがどっちだったけ」
区別がつかないらしいかった。
見たところ小瓶には怪しげな液体が入っている。
カカシは嫌な予感がした。



「ねえ、イルカ」
多分、イルカは小瓶の液体を飲もうとしているのだろう。
しかし今のイルカの状態で、これ以上、薬品等を摂取したら悪い結果を生み出すのではないか。
懸念したカカシはイルカに怪しげな液体を摂取するのを止めるように、声を掛けた。
「ねえねえ、イルカってば」
肩を掴んで強く揺すると「あっ」と声を出したイルカが二つの小瓶を地面に落としてしまった。
「何するんですか、カカシさん」
振り返って怖い目で睨まれる。
「何ってさ」
イルカの怖い目に怯まずにカカシは自分の懸念事項を伝えた。
「それが何か知らないけれど今は飲まないほうがいいんじゃないの」
「大丈夫です」
地面に取り落とした二つの小瓶を拾ってイルカは断言した。
「これは薬品を開発している友人がピンチの時に飲むようにくれたんですから」
「そうなの?」
「そうです、万能薬だって言ってしました」
胡散くさい、とカカシは思ったのだが口には出さなかった。



「それ、二つとも万能薬なわけ?」
「えー、いや。それは一つだけなんですけど」
小瓶は二つある。
「もう一つは違うって言っていました。どっちがどっちだったかな?」
似たような小瓶なので落とした拍子に分からなくなってしまったらしい。
益々持って飲むのを止めさせたいカカシである。
「ど、ち、ら、に、し、よ、う、か、な」
イルカは二つを並べて幼い子がよくやるような指差して決めるという方法を取っていた。
割と適当である。
「こっち」
最後に指が止まった方の小瓶をイルカは選び、残った方をベストのポケットに仕舞ってから決めた小瓶の蓋を開けた。
ぽんと音がして小瓶の蓋が開いてイルカはカカシが止める間もなく、ごくごくと中味を飲み干してしまった。
「あーあ、飲んじゃった〜」
カカシの残念そうな声に対してイルカは元気溌剌になったようだ。
「すごい力が湧いてきた!・・・ような気がする!」
「そう、ならいいけど」
不安そうなカカシを余所にイルカはカカシを背負うと、すごいスピードで走り出した。
「おー、いい調子!」
絶好調だ。
走りも軽快で、次々と景色が目まぐるしく変わっていく。
といっても森の中で木ばっかりであったが。



「あ、合流地点までもう少しです」
イルカが背にいるカカシに言う。
「ほら、あの大木の斜め下に生えている桜の木の下で仲間が待って・・・い、ますから」
急にイルカの声のトーンが落ちた。
それと共に走るを止めて地面に、がくっと膝を突いてしまう。
幸いカカシは手を使って上手く着地しイルカの背から下りた。
「どうしたの?イルカ」
緊急事態かとイルカの顔を覗き込むとイルカの顔は真っ赤になっていた。
その顔をカカシから背けてしまう。
膝を突いたまま左胸を押さえている。
「心臓が痛いの、もしかして」
訊いてもイルカは何も答えない。
「イルカ・・・」
イルカの体に触れようとした時、小さな声が聞こえた。
「い、いから」
声は震えている。
「俺にさ、触らないで」
体も震えていた。
熱でもあるのだろうか。
「よ、寄らないで、あっちに行って、声も掛けないで」
本当にイルカはどうしたのだろう?
明らかに様子がおかしい、普通ではない。



「あ、さっきの薬・・・」
思い当たるのは、それだけだ。
「万能薬とやらの副作用?それとも違う方を飲んだの?」
がくがくとイルカの両肩を掴んで揺するとイルカは辛うじて答えた。
「・・・ち、違う方みたい」
「それって何の薬なの?」
「・・・・・・い、言えません」
「言いなさい!」
場合に寄っては応急処置が必要だ。
カカシは厳しい声でイルカを諭す。
「命に関わるかもしれないでしょ!どんな効能がある薬なの?」
「そ、それは・・・」
強く言われてイルカは口ごもった。
顔も真っ赤だが襟首から出ている首も真っ赤に染まっている。
全身真っ赤になっているようだ。
「・・・・・・・・・好きな子、に飲ませろって言ってた」
「え」
カカシは固まった。
好きな子に飲ませる薬って、いったい・・・。
その薬の正体は何だろう、と。




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