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若き忍の星6



カカシに頬を撫でられたイルカは擽ったそうにして子供みたいな顔をする。
「カカシさん、やめてくださいってば」
「そう?」
やめてと言われると、やめたくないのが人の心だ。
頬を撫でて手の範囲を広げたくなってきた。
もっとイルカを触って欲求に駆られてくる。
カカシは試しにイルカの首裏に手を伸ばして触ってみた。
その首は意外に細く肌の触り心地がいい。
ただ熱っぽいような気がする、イルカが。
確認のために体にも触れてみる。
熱っぽいの疑惑は確信に変わりカカシが口を開こうとした時、それをイルカの笑い声が遮った。
なんというか、イルカは大笑いしていた。
「く、くすぐったいですって。やめて〜、カカシさん〜」
イルカの体を案じるカカシの気持ちを萎えさせるような・・・。
「イルカってさあ」
とりあえずイルカの体から手を離してカカシは訊いた。
「イルカって、くすっぐたいのに弱いの?」



「さて」
イルカは、すくっと立ち上がるとてきぱきと準備を始めた。
先のカカシの質問に答えないところを見ると図星のようだ。
イルカはくすぐったがりなんだな、とカカシが心にメモする。
カカシの羽織っていたマントを持ってきてカカシに着せ、一時的に外していた暗部特有の鋭い鉤爪が付いている防具を腕に装着してくれた。
「これで俺のこと、引っ掻かないでくださいね」
イルカが、きらりと黒光りする鉤爪を指して、悪戯っ子な笑みを浮かべた。
「うん、まあ。気をつけるけど」
意図が分からずに、一応、頷くカカシ。
「じゃ、行きましょうか」
自分の準備も終えたらしいイルカがカカシの肩に手を貸した。
イルカの手に捕まりながらカカシは立ち上がる。
ふらつく体をイルカの体で支えてもらいながらも、イルカに余計な負担をかけないように最低限の体重だけを預けている。
「で、どこ行くの?」
カカシが質問すると隠れ家の戸を開け、カカシを外に連れ出したイルカは簡潔に答えた。
「木の葉の里です」



走るイルカの息は切れ気味だった。
「カカシさんって意外に重かったんですねえ」
しみじみ言うイルカにカカシは口を尖らせる。
「悪かったねえ、重くてさ」
そんなこと言う。
言っている場所はイルカの背中であった。
イルカは足を怪我しているカカシを背負って走っているのだが如何せん、一人の時のように走ることは出来なかった。
通常は木の上を枝から枝へと移り、疾走するのだが今は人が背中にいるので地上を走っている。
「重いって言ってもカカシさんのは筋肉じゃないですか」
いいなあ〜とイルカは息が切れ気味なのに無駄口を叩いていた。
緊張感を解すように。
イルカに背負われているカカシはイルカの体の強張りからイルカが、ある種の緊張状態にあるのに気がついていた。
まるで追われるように走っている。
逃げるように。



しかし・・・。
「ねえ、イルカ」
「はい、なんです」
「俺、歩こうか?」
イルカの様子を見てカカシは言ってみた。
「肩を貸してくれたら歩けないことないしさ」
「なーに、言ってるんですか」
イルカは笑い飛ばした。
走る足を休めない。
「チャクラの回復も完全ではないのに今、もしここで・・・」
そこでイルカは言葉を切る。
「もしここで?なに?」
その先の言葉を何となく予想しながらカカシは続きを促した。
「いえ、別に」
イルカは嘯いた。
顔が見えないので、はぐらかされても見破れない。
「とにかく」とイルカは締めくくった。
「大丈夫ですからカカシさんは安心していてください」
そうは言われるものの、カカシは一抹の不安が残ったのであった。



隠れ家から相当、遠くに来たであろう。
イルカは半日近くカカシを背負って走っていた。
途中、休憩したがほんの数分。
水分補給をしただけだ。
半日近く走ったイルカは、さすがに疲れたのだろう。
大きな木の下に着くとカカシを下ろした。
「ちょ、ちょっと休憩します」
そう言ったイルカは息を切らしていた。
はあはあ、と肩が大きく上がっては下がっている。
カカシと同じく木の下に座ったイルカは目を閉じて、体を木にもたれ掛けて休んでいた。
イルカの口から低く言葉が漏れた。
「あ、あと、少しなのに。少しなのになあ」
「イルカ・・・」
カカシが声を掛けるとイルカは薄っすらと目を開いてカカシを見た。
「はい・・・。あ、もしかして水ですか」
力ないイルカの手が、ふらふらと自分の腰元に伸び括りつけてある水筒を探している。
「ここにあるよ」
カカシがイルカの水筒を取ってやった。
「すみません」
ふっとイルカが微笑んだ。
「喉が渇いているのなら飲んでください・・・。あ、次には俺も」
走ってきたイルカは猛烈に喉が渇いているに違いない。
だがカカシの方を気遣い優先してくれている。
そんなイルカに対してカカシは胸にこみ上げてくるものを感じていた。
イルカは自分を守ろうとしてくれている。
全力で。
きっと敵に追われていることであろうことは既に察しがついている。



水筒の水を口に含んだカカシは、そのままイルカの口に自分の口を重ねた。
イルカの顎を掴んで唇を重ね、水をイルカの口に流し込む。
流し込まれた水を、ごくりと飲んだイルカは驚いて目を見開いている。
揺れる黒い瞳がカカシを見ていた。





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