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若き忍の星4



「どうかしましたか」
イルカの手に触れたまま、黙っているカカシを不思議に思ったのだろう。
顔にクエスチョンマークを浮かべてイルカがカカシを見ている。
「あ、いや、その」
カカシは慌てて手を離した。
もっと触れていたいと思いながら。
「イルカが怪我とかしてないかな〜とか思ってさ」
「どうしてです」
「えっと、その、ちょっと心配になって」
言い訳めいた言葉だったのに、イルカは嬉しそうな顔をした。
心配、という言葉が効いたらしい。
「そんな心配だなんて」
照れている。
「俺、意外に強運だし、体は頑丈だから心配なんて無用ですよ」
それが、なぜか強がっている風にカカシの目は映った。
なんとなく・・・。
なんとなくだがカカシは思った。
イルカ、寂しいのかなあ、と。
寂しいけれど強がることで、寂しさを吹き飛ばしているような気がしたのだった。



その後。
イルカはてきぱきとお粥を作る準備を始めた。
小さな鍋に水と米を入れて火にかけて、ことことと煮ている。
手際はいい。
寝ているだけのカカシは、それをただ、じっと見ていた。
火の加減を見ながら粥を作っていたイルカは眠いのか、目がとろんとしている。
簡単に言えば、うとうとしていた。
瞼が落ちかかっているのを堪えているような。
そういえば、とカカシは思い出した。
自分が気を失っている間、少しでもイルカは寝たのだろうか。
先ほども外に出ていたようだし。
体調も普通ではないないのに、と思ったカカシはイルカにそれを尋ねようと口を開いたのだが、それより早くイルカが言った。
「あ、お粥ができたようです」
「・・・あ、そう」
言うタイミングを逃してしまった。
「おかずは塩だけですけど、いいですか?」
申し訳なさそうにイルカが訊いてくる。
「うん、もちろん」
こんな場所で贅沢を言うつもりはない。
お粥を食べられるだけでも、目っけ物だ。



「じゃあ」とイルカは腰につけていたポーチを取ると、それをカカシの頭の下に入れて少し位置を上げてくれた。
「食べにくいかもしれませんが」
小さな鍋から匙で粥を掬って、少しずつ食べさせてくれる。
熱さも加減しながらだ。
久々の食事にカカシは思わず言っていた。
「おいしー」と。
「そうですか」
イルカが、よかったと微笑んだ。
「お粥なんて、あんまり作らないから」
「ふーん、料理はしないの」
「いえ、しますけどね。一人暮らしなんで」
「へええ」
「たくさん食べてください。早く良くなるといいですね」
「うん、ありがと」
あっという間に粥はなくなってしまった。
食べ終わると再び、眠りが襲ってくる。
眠ってばっかりだな、と密かにカカシは苦笑した。



「イルカ・・・」
「はい」
すぐそばでイルカの声が聞こえる。
「イルカは、ご飯は・・・」
「俺は済ませました」
でも食べるところを見てはいない。
もしかしてイルカは何も食べていないのかもしれない。
「寝ているの?」
それも気がかりだった。
自分の看病を寝ずにしてくれているのではないか、と。
「俺のことは気にしないでください。今は、自分の体のことだけ考えてください」
早く回復するように、とイルカの声が心地よい。
「ん、ありがと・・・」
瞼が勝手に閉じていく。
閉じていく直前にカカシは思った。
そうだ、俺が敵に追われていることをイルカに言わないといけない・・・。
だがカカシの意思に反して瞼は閉じて眠ってしまったのだった。



カカシが寝たのを見届けてイルカは大きく息を吐き出した。
「はあーっ」
強張っていた肩を揉み解した。
「疲れた・・・」
思わず本音が零れてしまっている。
「いやいやいや」
イルカは首を横に振って伸びをすると、ぐっと体に力を入れた。
ついでに気合も入れる。
「疲れたなんて言ってられないって。眠らなくても、へーきへーき」
一日二日の徹夜なんて忍にとっては当たり前のことだ。
だから平気、とイルカは自分に暗示をかける。
それから残っていた非常食用の固い食料を、ばりばりと食べて水を一口飲む。
それで食事は終わりだ。
実は何だか食欲がないのだ。
「薬のせいかな〜」
早く里に帰りたいなあと、ちょっとだけ弱気なことを思ったが寝ているカカシを見ていると自分が、しっかりしなきゃと思われてくる。
「そうだ、俺しかいないんだから俺がカカシさんを守らないと」
カカシさんは絶対、きっと上忍で俺は中忍だけど・・・と思ったり。
それに、ちらと見たカカシの寝顔は格好いい。
「いいなあ、カッコよくて。彼女いるんだろうな〜」
俺はいないけど・・・と。
こんな時なのに。
やっぱり恋愛関係のことには多大な興味のある、浮き沈みの激しい年頃のイルカであった。




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若き忍の星5




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