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若き忍の星2



「とにかく」
イルカは降ってきた人の片腕を自分の肩に回して意識のない、その体を持ち上げた。
降ってきた人の体は鍛えているのか、体は筋肉質で結構な重量であった。
その重さに思わずイルカは、よろけてしまう。
「う・・・。お、重い〜」
一歩一歩、足を踏み出すが意識のない人の体は、どうしてかひどく重く感じる。
「なんで〜こんなに〜重いんだ〜」
イルカは運んでいるつもりだったが、どちらかというと引きずるといった形容詞が似合っていた。
「くーっ、なに食べたらこんなに重くなるんだよ〜」
ぜーはあ、と息を切らしながら、普通なら歩いて数分のところを倍以上の時間をかけてイルカは目的の場所に、やっとのことで到達した。



どこか遠くで、ぱちぱちと音が聞こえた。
火のはぜる音だ。
あたたかい・・・。
ゆっくりと目を開けると木目が見えた。
天井だ。
天井ということは、ここは室内で。
目だけ動かし、あたたかさを感じる方を見ると囲炉裏があり火が焚かれていた。
「あ、気がついたんですか」
誰かの声がする。
その声の主は近づいてきた。
上から顔を覗き込まれる、ということは今、自分は寝かされているということだ。
「どこか痛いところは?大丈夫ですか」
こちらの身を案じている。
注意深く、覗き込んできた顔を観察した。
まずは木の葉の額宛をしていることに安堵した。
同里の忍であることに。



顔は比較的、幼くみえるがこんなところで単独行動しているということは中忍クラスではあるのだろう。
黒髪を頭の天辺で結んでいる姿が無邪気に見える。
そして顔を横切る傷も無邪気さに一役買っていた。
「あの・・・」
返事をしないことに不安を感じたらしい。
それが素直に顔に出ていた。
思ったことを顔に出したら駄目でしょ、と心の中だけで苦笑する。
「ああ、まあまあ平気」
そう答えると相手は明らかに、ほっとしたようだった。
「そうですか、よかった」
「でもねえ」
眉を顰めて自分の体の状態を調べてみる。
「チャクラ切れで動けないのよ、俺。ついでに足も捻っているから今は歩けない」
「・・・そうですか」
心配そうに何度も目を瞬かせた。
そっと相手の手が伸びて、手と手が触れ合った。
手を一撫ですると、またそっと離れていく。
生きているのを確かめたように。



「あ、そうだ」
相手は幼い顔で、こちらを見た。
「俺、海野っていいます。もう、お分かりかと思いますが木の葉の忍です」
「うん」
ちょっと迷って呼び名がないと不便だろうと名を名乗った。
自分は暗部だし、どうせ、もう会わないだろうという目算もあって。
目の前の少年忍者も、それを心得ているのかカカシの素性を訊いてこない。
「俺はカカシ、かな」
「カカシさんとお呼びしても?」
「いいよ」
「じゃあ、カカシさん」
「うん」
寝たまま返事をすると海野と名乗った少年忍者は、にこっと嬉しそうに笑ったのだった。



「先ほどチャクラ切れって言っていましたけれど」
海野という少年忍者はカカシの世話を甲斐甲斐しくしてくれた。
今は口元に水を持ってきてくれている。
それを一口、ごくりと飲むと体が潤ったような気がした。
「切れたチャクラって、どのくらいで復活するんですか?」
「さあ、どのくらいかなあ」
頭の中の記憶を探りカカシは質問に答えた。
「二、三日寝ていれば元に戻る、と思う」
ちょっと自信がない。
いつも気絶して気がつくのは病院だったなので。
「二、三日か・・・」
カカシの答えを聞くと海野という少年忍者は黙ってしまった。
何事かを頭の中で計算しているらしい。
幼く見える顔が真剣になっている。
忍の顔だった。



暫くして自分の胸を、どんと叩いた。
「大丈夫です!」
自信たっぷりに宣言された。
「カカシさんのチャクラが回復するまで俺がカカシさんを守りますから」
「え・・・」
「安心して養生してください、大船に乗った気でいてくれていいです」
・・・と言われても、とカカシは目の前の少年忍者を見据える。
この人、中忍だしねえ。
そして大事なことを思い出した。
そういや、俺って・・・。
命に関わるような大事なことだ。
俺って追われていたんだっけ。
それも複数の敵に。
応戦して暗部の面を失し、足首捻って、チャクラを使い果たしたのだ。
それを白状するのは暗部として、いささか格好悪い。
逃げてる途中だったんだよねえ。
目の前の少年忍者を巻き込むわけにはいかない。
だいたいにしてカカシも苦戦した相手だ、申し訳ないが、この少年忍者では力量の差があり過ぎるだろう。
どうしよう、困った。
守るって言われてしまったから。
その気持ちを無下にするのは心苦しい。



だから、とりあえず何となくカカシは訊いてみた。
「あのさ」
「はい」
少年忍者は澄んだ瞳でカカシを見る。
その瞳に迷いはない。
「海野、なんていうの?あ、下の名前だけど」
瞳に不思議そうな色が浮かぶ。
どうして、そんなことを訊くのだろうと。
「海野イルカです、けど」
でも答えてくれた。
「そっか、イルカね」
イルカイルカと何度も言ってみる。
響きが心地よい。
好きな名前だ。
「いい名前だね」
そう言うと意表をつかれたのか、イルカは思わずといったように照れくさそうに微笑んだ。
裏表のない笑顔だ。
好感がもてる笑顔に、ぐっと惹きつけられたカカシであった。




若き忍の星1
若き忍の星3




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