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ナチュラル



『ナチュラル15』



カカシのと関係が会社の一部の人に知られてしまった日、イルカが帰るとカカシが既に帰宅していた。
「お帰りなさ〜い」
いつものようにイルカを出迎えて、ぎゅっと抱きしめてくれる。
「ただいま、カカシさん」
イルカも抱きしめ返す。
幸せな時間だった。



カカシの作ってくれた夕食を食べながらイルカは今日のこと話した。
「あのですね、カカシさん」
「なんですか、イルカさん」
カカシが機嫌よく応じる。
その機嫌の良さに便乗してイルカは思い切って言った。
「金曜日のことで、俺の会社の人にカカシさんと俺の関係がバレてしまったんですけど・・・」
カカシさん、怒るかなとイルカが窺っているとカカシは「そーなんですか」と特に怒る様子もない。
「俺なんて、とっくの昔にバレていますよ」
「えっ!」
「隠す必要ないですから。でもイルカさんを見られるのは、とってもイヤなので名前や容姿のことは隠していたんですけど」 この前のことでバレてしまいました、とカカシは苦い顔をしている。
「俺も酔った勢いであんなことをして反省しています」
「そうなんですか・・・」
あんなこととはカカシがイルカを抱きしめたまま離さず、皆がいる前で堂々と家に連れて帰った事実のことだ。
「どうせなら」
カカシは爆弾発言をした。
「ディープキスでもして見せ付けてやればよかったなあ」
「・・・それは、ちょっと」
ちょっというか、かなりイヤだ。
とってもイヤだ。
そんなことされた日には恥かしくて外に出られない。



「まあ、しませんけどね」
カカシは肩を竦めた。
「そんなの見せるなんて、もったいないですしねえ」
「そ、そうですね」
「イルカさんの総ては俺のものですからね」
宣言したカカシにイルカは、ふっと微笑みを浮かべた。
ナチュラルに束縛されているものの、俺って愛されているなあと。
誰かに必要をされているのは嬉しいことだ。
それにイルカもカカシのことが大好きなことに変わりはない。
少々、愛情の表現が雁字搦め的なだけで。
「カカシさん、大好きですよ」
感情の発露のままにカカシに好きだと言ってみる。
「俺も。イルカさんのこと愛していますよ」
カカシも、にっこり笑って応じてきた。
「だから、ずっと死ぬまで死んでからも俺の傍にいてくださいね」
「分かっていますよ、大丈夫です」
イルカの本心だ。
「心配しないでください」
「うん、分かっています。例え、イルカさんが離れようとしても絶対に俺は離しませんけどね」
カカシの束縛宣言を聞いて安心してしまうイルカだ。
カカシさんが好き過ぎて末期だなあ。
一人、心の中で苦笑した。



『ナチュラル16』



「ええっ!」
会社から帰ってきたカカシの言葉にイルカは、びっくりして大声を出してしまった。
「今、なんて言いました?」
「だーかーらー」
靴を脱ぎながらカカシは言う。
「明日、会社を休みます」
言いながらカカシはイルカを抱きしめた。
「ただいま〜」
幸せそうな顔になる。
「あー、イルカさんがいる、うれしー」
ほのぼのとしているが、当のイルカはそれどころではない。
「カカシさん、明日、会社を休むのはいいですけど理由が・・・」
「理由?それはイルカさんが歯医者に行くから」
「・・・それ、カカシさんの会社で言ったんですか?」
「うん!」
元気よく返事をしたカカシにイルカは目眩を感じた。
「な、なんで・・・」
よろめいたところをカカシに支えられる。
「だってイルカさん、歯医者が怖いって言っていたじゃない」
当然のようにカカシは言った。
「だから一緒に行こうと思ってね」
「思ってねって」
子供じゃないんだから、とイルカは思う。
「明日、俺も偶々、休んで歯医者に行くんです」
あー言えばこう言う。
カカシは手強かった。



「あ、あのですね」
なんとかイルカはカカシを説得しようと試みた。
「俺は、もう大人なので歯医者に行くのに付き添いは要りませんよ、それに一日掛かるわけじゃないですし、俺は歯医者のために休むんじゃなくて振り替えで休みになったから歯医者に行くんです」
「そんなことないですよ」
「それにですね」
イルカはカカシを軽く睨む。
ちょっとだけ怒って睨んだのに逆にカカシに「かわい〜」なんて言われてキスされてしまう。
「ちょっとカカシさん、こんなことしている場合じゃなくてですね」
カカシのキス攻撃から逃れようと身を捩じらせても既にカカシの腕の中に捕らえられているイルカは逃れる術はない。
「こんなことって俺にとっては大事なことですよ〜」
カカシは止めようとしないばかりかイルカを抱きしめる腕に力を入れる。
「イルカさん、小さい子供の頃、歯医者に一人で行って怖かったって言っていたでしょ」
「それは・・・」
イルカは言葉を詰まらせる。
小さい頃、歯医者に一人で行ったのは事実だ。
それはイルカの両親がいなかったからで、不可抗力。
どうしようもなかったのだ。
何でも一人でしなければならなくて・・・。
「子供の頃の話で今は・・・」
今は違うと言うとカカシが頷いた。
「うん、今は違うね」
にこりと笑ってイルカを覗き込んできた。
「今は違うよね」
そして、やっぱり抱きしめられる。
「俺がいるから」
耳元で囁かれる言葉は甘い。
「イルカさんには俺がいるからね」
ずっと一緒、と言われたイルカはカカシには適わなかったのであった。



『ナチュラル17』



「ってことで」
取引先との電話を終えたカカシは同じ部署に所属している後輩に命令した。
「明日の商談はテンゾーに任したからね」
「・・・は?」
突然、使命を受けた後輩は目を白黒させた。
「何、言っているんですか?それにヤマトです」
先ほどまでカカシは明日の商談相手の取引先と電話していたではないか。
「明日は先輩がいなけりゃあ、話にならないでしょう?」
「あ、それは大丈夫」
カカシは、しれっと言い放った。
「取引先にも明日は俺、野暮用で会社を休むって言ってあるからさ」
「そんな無茶な」
後輩は顔を顰めた。
「急にそんなこと言われても・・・」
「言われてもって言われてもねー。とにかく、やれ!」
びしっと格好よくカカシは人差し指を突きつけた。
「明日の商談、取引は一任するから!」
「そんな〜」
後輩は弱り顔だ。
「それに休むって何か用でもあるんですか?」
後輩が好奇心で訊くとカカシは何故か威張るように胸を張った。
「明日はイルカさんの歯医者に付き添うの!」
「・・・歯医者」
思わぬことを言われて後輩は絶句してしまう。
「イルカさんって、この前の飲み会で見かけた、あの可愛い子ちゃんですか?」
そう言うとカカシに、じろりと睨まれた。
殺気を込めて。
「確かにイルカさんは可愛いよ。可愛い子ちゃんだよ」
でもな、と後輩に釘を刺す。
「そういう風に呼んでいいのは俺だけだ」
「・・・じゃあ、イルカさんで」
「それもダメ!」
「じゃあ、なんと呼べば?」
「呼ぶな」
それがカカシの答えだった。



「本当は名前も知られたくなかったし、顔も見られたくなかったのに」
はあ、なんて溜め息を吐いている。
「イルカさんは俺だけの大事な人なのに」
ふう、とまた息を吐く。
「俺だけがイルカさんと話して、イルカさんと会うのは俺だけだったらいいのに」
独占力を爆発させていた。
「あー、はいはい。分かりました」
後輩は降参した。
「明日は休んでイルカさんの歯医者の付き添いでも何でもしてきてください。付き添いたってイルカさんの治療中に手を握れないとは思いますが」
「イルカさんって呼ぶなって」
「はいはい」
後輩は半ば、やけになっている。
「先輩は代休も有給も、まだまだ残ってましたもんね」
「そうそう、偶には骨休めしてイルカさんオンリーの休日を過ごさなきゃ」
カカシは頷いた。
「歯医者が怖いイルカさんには俺がついていないといけないしねえ」
歯医者を怖がるイルカさんは可愛いよねえ、とカカシは悦に入っている。
後輩は深い溜め息を吐いた。
仕事のこともそうだが、カカシのイルカへのラブラブっぷりを見せ付けられて。
早く恋人が欲しいとつくづく思ったのだった。



『ナチュラル18』



夕方、カカシが悲壮な顔つきで帰ってきた。
先に帰宅して出迎えたイルカは、そのカカシの様子にひどく驚いた。
「カカシさん、どうしたんですか?」
心配になって駆け寄るとカカシが、がばっとイルカを抱きし笑めてきた。
「えっ!カカシさん?」
戸惑っているとカカシから悲しそうな声が聞こえた。
「・・・明日から二泊三日の出張です」
「え、出張?」
仮にも仕事をしている社会人なら珍しいことではない。
安心してイルカは脱力した。
「あ、出張なんですか。気をつけて行ってきてくださいね」
そう言うとカカシの腕の力が強くなり束縛も強まった。



「イヤです、行きたくありません」
無茶なことを言っている。
「イルカさんと二泊三日、72時間、4320分、259200秒も離れるなんてイヤです!」
子供のように駄々を捏ねている。
「それは、まあ・・・」
カカシの言い分にイルカは苦笑した。
抱きしめられながらカカシの頭を撫でる。
「しょうがないですよ、仕事なんですから」
「そんな〜、イルカ先生〜」
カカシが情けない顔をしてイルカを見つめてくる。
「後輩に出張代わるように頼んだら『それは先輩の仕事です』って冷たく言われて」
後輩というのは例のテンゾーことヤマトのことだ。
「しょうがないですよ、カカシさんの仕事なんですから」
冷静にカカシを諭したイルカは、にこっと笑う。
「カカシさんが帰ってくるのを待っていますから、ちゃんと帰ってきてくださいね」
「もちろんです!」
もう一度、ぎゅっとカカシに抱きしめられたイルカは、やっぱり苦笑したのだった。



ナチュラル11〜14
ナチュラル19〜22




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