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Time is money 7





イルカは怪我が治ったカカシと久しぶりに酒を飲みに来ていた。
名目はカカシの怪我の全快祝いだ。
カカシが任務で怪我をする前に、待ち伏せをされて連れられてきた店に二人だけで来ていた。




「カカシ先生、怪我が治って良かったですね。」
イルカは笑顔で、そう言って「かんぱーい。」とカカシをグラスを合わせた。
グラスは、カチンと軽快な音をたてる。
「ありがとう、イルカ先生。」
カカシはグラスに口をつけた。
「見舞いにも毎日来てくれて。怪我がこんなに早く治ったのもイルカ先生のお蔭ですね。」
「そんな。煽てても何も出ませんよ。」
少々恥ずかしくなったイルカはグラスのお酒を、ぐっと飲み干した。
「ここの支払いは、細やかながら俺の祝いの気持ちをいうことで持たせていただきますけどね。」
初めから、そのつもりだったイルカは、さらりと、そのことを口にした。
「え?いいですよ。」
カカシは、慌てたように言う。
「いつも割り勘でしょ?怪我だって大したことなかったし。だいたい見舞いに来てくれただけで充分ですよ。」
「まあまあ。」
イルカは酒のお代わりを二人分注文し、嬉しそうに言った。
「いいじゃないですか、偶には。俺の親しい人の怪我が治ったんですから。」
「親しい人ねえ。」
その言葉に何故かカカシは眉を潜める。

「俺って、イルカ先生の親しい友人ですか?」
いきなり思いつめたような顔をして聞いてきた。
聞かれたイルカは突然のことで戸惑ってしまう。
カカシが友人だなんて考えてみたことがなかったからだ。
自然の成り行きのままに、いつも一緒にいたカカシが、イルカにとって友人かなんて問われても答え難い。
「親しい、とは思ってはいますが。友人、となるとカカシ先生と俺、階級も違いますし、なんて言っていいか。」
イルカは言葉に詰まってしまう。
「友人って言ってしまっては語弊があるような。」
しどろもどろになってしまった。




そんなイルカを見てカカシは一言、発した。
「じゃあ、俺とイルカ先生の関係って何なのかな?」
「関係って・・・。」
予想してないことを聞かれて、更にイルカは困惑してしまう。
「えーっと。それは・・・。」
「それは?」
カカシが何かを期待するような目でイルカを見る。
「それは、えーとですね。」
誰かに助けを求めるようにも、そんな相手も存在せずイルカはカカシに見つめられて居心地が悪くなってきた。
丁度、そのときである。
天の助けをばかりに先程、頼んだ酒のお代わりがきたのである。
酒がきたことでテーブルの上の雰囲気も変わりイルカは、ほっとしてお酒を口にした。
カカシもイルカを同じく酒を口にして、先刻カカシがふった話題をなかったかのように、しばらく二人は別の話題で盛り上がる。
酒も追加して飲んで料理も美味しく食べて、話も楽しくイルカの気分がだいぶ解れた時、再び、それは訪れた。




「ねえ。イルカ先生。」
お酒のせいか、カカシが妙に色っぽく見える流し目をイルカに寄越した。
ほろ酔い加減のイルカは、そんなカカシの顔に見蕩れて、これが水も滴るいい男ってやつだなあ、とぼーっと考えている。
カカシ先生のこんな顔見たら、女性はいちころだろうな〜、と。
「俺ね。」
カカシは機嫌がいいのか、にこにこと笑っている。
「好きな人がいるんです。」
「へえ〜。」
釣られてイルカも、にこにこして相槌を打った。
「好きな人ですか。いいですねえ。」




イルカの顔は笑顔のまま、ぴたりと止まった。
カカシ先生の好きな人!
「えーっと。」
酔っているイルカは、思考が上手く纏まらない。
「誰、ですか?」
俺がこんなこと聞いていいのかなあ、なんて思っていたのに口から出てしまった。
立ち入ったことを聞きすぎだよ、と後悔しているイルカに構わずカカシは機嫌よく話し出した。




「俺の好きな人はね。」
「はあ。」
「俺より少し背が低くて、髪はサラサラで少し長くて、目がとても優しい人だよ。」
「そうですか。」
「でもね、いつも明るく元気な人だけど、俺の前だけではね、時々だけど無意識に甘えてきたりして、すごく可愛いの。」
「へええ。」
嬉々として、自分の好きな人を語るカカシはすごく幸せそうでイルカは、どういっていいものやら困ってしまった。
カカシの好きな人って誰だろう?
「その人のチャームポイントは顔の傷とラーメンが好きなことなんだ。」
随分、自分に似ているなあ、なんてイルカは思う。
カカシは目をキラキラさせて、イルカに尋ねてきた。
「俺の好きな人って誰だか分かりますか?」
その目は、イルカが答えを知っているだろう、と大いなる期待が込められていた。




どうしよう。
イルカは緊張してしまう。
俺、カカシ先生の好きな人なんて、ぜんっぜん見当つかないよ。
上忍のくの一の人なんて、心当たりがないし。
窮地に陥ってしまったイルカは悪いと思いながら正直に答えた。
「あの、すみません、分かりません。カカシ先生のお好きな人って、きっと上忍のくの一の方だとは思いますが。何分、俺、上忍の方で知っている方は少ないものですから。」
紅先生やシズネさんじゃないですよね?とも念のために聞いてみたがカカシは首を振る。
本当に申し訳なくなってイルカは頭を下げた。
「ごめんなさい。カカシ先生の好きな人が分かったら応援させてもらおうと思ってはいるんですが。」
肝心の相手が分からなければ、それもできない。




イルカの言葉に明らかにカカシはがっかりしたようだ。
言葉もなく肩を落としている。
慌ててイルカはフォローするように言った。
「で、でも、カカシ先生の好きな人ってラーメンが好きだなんて、なんだか俺に似てますね。それに顔の傷があることなんかも。」
場を盛り上げよう、もしくは雰囲気を変えようとしたイルカだったが逆効果だったようだ。
カカシはイルカを見て何か言おうとしていたようだが結局、黙ってしまった。



せっかく、久しぶりにカカシと会ってお酒を飲んで楽しくなるはずだったのに。
カカシに申し訳ない気持ちと自分の不甲斐なさが入り混じりイルカは悲しくなってきた。
目の前にいるカカシの存在が、とても遠くに感じたのだった。





Time is money 6
Time is money 8





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