Time is money 5
カカシの家は綺麗だ、というのがイルカの第一印象だった。
綺麗、というのはイルカにとって物が片付いていて無駄がないということだ。
掃除も行き届き清潔感が漂っていて、きちんとしている。
とても男の一人暮らしには見えなかった。
だから思わず聞いてしまった。
「カカシ先生、どなたかと一緒に住んでいるんですか?」
「どうして?」
カカシが怪訝そうな顔をする。
「だって、家の中が綺麗すぎです。俺の家なんて、週に一度掃除すればいい方で、こんなに片付いてないですよ。」
掃除や片付けが苦手なんです、とついでに付け加える。
カカシは面白そうにイルカを見た。
「誰とも住んでなんていませんよ。俺一人です。」
「でも。」
「俺、掃除や片付けが好きなんです。こう見えて家事が得意なんですよ。」
「そうなんですか。」
俺とは違うなあ、としみじみ思いながらイルカは部屋を改めて見回した。
「羨ましいです、掃除が好きだなんて。」
「なんなら俺がイルカ先生の家を掃除しに行きましょうか?」
多分、カカシは冗談のつもりで言ったのだろうが、イルカは慌てて手を振った。
「まさか、そんな、いいですよ。あ、それより、お茶淹れましょう。」
カカシに今の散らかっている状態の自分の家は見せられたものではない。
「よかったら、持ってきた果物も剥きましょうか?」
急いで話題も変えるように、持参した果物をカカシから受け取り袋から取り出した。
カカシにティーポットやカップの場所を聞いて、早速、お茶の準備に取り掛かる。
イルカの後ろでカカシが小さな声で呟いていた。
「残念。イルカ先生の家に行きたかったのに。」
その呟きは小さすぎてイルカには聞こえなかった。
思いのほか、カカシと話が弾んで気がついたときには時計の針は随分と進んでいた。
「あ、もう、こんな時間になってる。」
イルカは慌しく帰る準備を始めた。
「すみません、こんなに長居するつもりじゃなかったんですが。」
飲み終わったティーポットとカップを流し台に運び、簡単に水洗いをして水切りに伏せる。
「気にしないで、イルカ先生。久しぶりに会えて俺も話がしたかったしね。」
「なら、いいんですけど。」
「うん、イルカ先生と話すのは、いつも楽しいよ。」
カカシの笑みに釣られてイルカも笑みが浮かぶ。
「じゃあ、これで、俺は。」
荷物を持って玄関に向かおうとするイルカの前にカカシは立ち塞がった。
まるで部屋から出したくないように。
「ねえ、イルカ先生。提案なんだけど、このまま、俺んちに泊まっていったら?」
「泊まる?」
「そ、もう時間も遅いしさ。今日の夜は俺の家で、俺と一緒に同じ部屋で寝るっていいと思わない?」
カカシは、ふふ、と意味ありげに笑った。
「二人きりでね。」
何が言いたいのか、カカシは。
さっきも自分が玄関先で帰ろうとした際に手首を捕まれた引き止められた時、真剣なものを感じたが今のカカシにも、それと同じものを感じる。
どうしてだろう?
イルカは考えようとしたのだが、妙にきりりとしたカカシの雰囲気にのまれてしまった。
Time is money 4
Time is money 6
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